"自分の中の矛盾"二階堂昴目線
むっちゃ短いです。
あの日、彼女とぶつかった。
思った以上に吹っ飛ばされて教室のドアに頭を打ち付けてしまっていた。
彼女の事が心配になった俺は彼女を抱き上げた。
奇妙な悲鳴を上げる彼女が可笑しくて、止めてやる気にはならなかった。
保健室に向かおうと動いた瞬間。
彼女の手が俺の首に回った。
彼女から良い匂いがして、俺の腕の中に居るのが女の子だと意識してしまった。
彼女の柔らかさが彼女の声が彼女の匂いが全ての神経に繋がっている気がした。
保健室について俺の腕の中から彼女が居なくなった喪失感が半端なかった。
彼女が俺の携帯の番号もメアドもいらないと言ってムカついた。
彼女の元に俺の連絡先がある。
何かあったらすぐに連絡が来るって信じて疑わなかった。
全然連絡が来ない事にイライラした。
そんな時に会ったのは数井マリナだ。
俺のイライラした気持ちをどうでも良い物にする独特な空気を作り出す女。
数井のお陰で彼女から連絡が来ない事もどうでも良くなった。
数井は一緒にいて楽しい。
彼女はイライラするのに目がはなせない。
彼女は俺に笑いかけたりしない。
数井は俺を癒すような笑顔を向ける。
どう考えても彼女を好きになる理由がない。
どう考えても数井に惹かれるはずだ、はずなんだ。
それでもやっぱり彼女を目でおう………
「二階堂君?大丈夫?私でよかったら力になるよ!」
数井のその言葉に癒される。
「お前は俺が弱ってる時に限って側にいるな!」
「二階堂君が弱ってる時に側に居たいって思ってるからかな?」
数井の笑顔に、また癒される。
「なぁ、お前のことマリナって読んで良いか?」
「えっ、うん!もちろん!」
数井の顔がほのかに赤くなり、とびきり可愛い笑顔を向けてくれた。
だが思う、この顔を彼女がしてくれたらと…
きっと、逆らえずに好きになってしまうのだろうと………
短めでごめんなさい。