親友は………!?
最初は楓ちゃん目線
後半は六木奏ちゃん目線です!
何でこんなことになったやら。
ただいま、複数の女子に囲まれています。
それもこれも、なにも考えてない攻略対象者達のせいだと思っています。
「私達が、何を言いたいかわかりますか?」
「は、は~ぁ」
生徒会メンバーに近寄るな!って事ですか?
ですよね~
私も近寄りたくないです。
私は乾いた笑いを浮かべた。
「「「私達の御姉様になってください!」」」
突然の女の子達の言葉に私はフリーズした。
へ?何を言った?
「私達は食堂で御姉様がイケメン集団を黙らせる姿に惚れ込んでしまったのです!」
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
「うん、御姉様にはなれません。」
「「「そんな~」」」
私はひきつる顔を笑顔で固定してダッシュで逃げ出した。
教室は安全ではない。
私はそのまま家庭科室に逃げ込んだ。
「あれ?カエちゃん!今日は早いのね!」
学年は違うが部活が一緒で中学から仲良しの六木奏は柔らかい笑顔を私に向けた。
癒し系の可愛らしいゆるふわカールの茶色がかった髪の毛が女子力の高さを物語る茶色の瞳の生徒会副会長、それが奏ちゃんだ。
「カエ、早くなんか作って~。」
彼女は五島忍、同じクラスで運動部を掛け持ちしているボーイッシュな女の子。
黒髪ショートボブに勝ち気な黒目で私を見つめている!
「カエさん?」
私を心配したように見つめるのは、2年でダントツ一位の美少女、四門美鈴様だ。
髪の毛は天然で薄い金髪で瞳は翠色の美人で、ベルギーの血が流れてるとか。
この3人とはめちゃくちゃ仲良くなった。
最初は奏ちゃんが中学の時の先輩だったことから、美鈴様と知り合いになった。
忍は向こうから友達になりたいと言ってきて今にいたる。
「こ、怖かった~女子に囲まれた~。」
3人の目が見開かれた
「私の大事な妹を誰が囲んだって言った?」
「おし、私がもう二度と無いように潰す。」
「カエさん、怪我してな~い?」
3人が心配してくれて嬉しくて奏ちゃんに抱きついた。
「いっぱいの女子に御姉様になってくださいって言われたよ~!」
私の言葉に3人は私から視線を外し、溜め息をついた。
「カエちゃん………なにしたの?」
「いや、私達はさーカエが結構男前だって知ってるよ!だけど普通にしてたら、そこまで気に入られないだろ?」
「カエさん…なにしたの?」
私は、少し迷いながら食堂でのやり取りを話した。
「うん、駄目だね!私でも惚れるよ!」
奏ちゃんは呆れているし、忍は笑いをこらえて変な顔になってる。
美鈴様はいつもと変わらない笑顔を私に向けている。
「だって…関わりたくないのに…寄ってくるからムカついて」
「カエはキレた時がいっちばん格好良いよ!マジ惚れる!マジ見たかった!」
「二階堂様はどんな反応だったかしら?普段俺様な人間が打ちのめされる状況って、ゾクゾクしますね!」
美鈴様が怖い。
「二階堂君…?ムカついてカレーうどん食べてたから見てなかった…取り合えずお通夜のようだったよ!」
3人は大爆笑だった。
美鈴様ですら楽しそうにクスクス笑っている。
「もう、食堂でお昼しない…」
3人は優しく私の頭を撫でてくれた。
ちなみに、彼女達はヒロインのライバルキャラのはずなんだけど………どちらかと言えば攻略対象者より、私を可愛がってくれている気がする………?
「奏ちゃんは七先輩の事を好きなんじゃないの?私にムカついたりしない?」
「何で?春人君とカエちゃんだったらカエちゃんの方が大事だよ!」
私はかなり驚いた!
「私も!八尾っち大好きだけどカエの方が大事!」
「二階堂様とは、家が決めた許嫁ですが…要らないので誰にでも差し上げます!勿論、カエさんが一番大好きです。」
私は3人に苦笑いを浮かべた。
「みんながそんなに大事にしてくれる価値が私には無いよ」
みんなは優しい笑顔を作った。
「カエちゃんに私達が求める事は、大事な友達で居てくれる事でしょ!」
「カエには笑顔でいてもらわなくっちゃ!」
「カエさんは私の癒しです!そんなカエさんが煩わしいと思うなら、愛しい人でも踏みつけて差し上げます!」
踏むんだ………
私は3人にとびきりの笑顔を作った。
「ありがとう。皆が居てくれて、私は幸福者だよ!」
3人はそれに答えるように微笑んだ。
だって、知らなかったんだ。
彼女達がこの学校の中でどんなに権力と財力とスペックをさねそなえているかを……
私は知っている。
春人君がカエちゃんの事を好きなのを。
中2の終わりごろ、家庭科部に春人君が来るようになった。
変かも知れないけど、カエちゃんと居る春人君はヘタレで可愛くてさらに好きになった。
カエちゃんは一切春人君に興味が無さそうだったし…
食堂事件では複数のイケメン男子がカエちゃんの機嫌を悪くしたようだ。
全くもって空気のよめない駄目男どもだ!
私の中でカエちゃんは大事な妹。
下手な男にくれてやる気は毛頭無い。
その点、カエちゃんの話の中に出てくるひぃ様とやらは合格点だと思う。
カエちゃんの事を一番に考えてるし、カエちゃんを困らせないように自分の嫉妬心も制御しているみたいだ。
生徒会の仕事をしながら、春人君から二階堂君そして八尾君を見た。
「……チッ」
思わず舌打ちしてしまった。
「!?……えっ?気のせいかな?カナさんの方から舌打ちが聞こえた気がするんだけど…」
春人君に気づかれ、また舌打ちしたくなった。
「…春人君、食堂でカエちゃん怒らせたんだって?」
私の言葉に春人君は笑顔を凍りつかせた。
「さっき、カエちゃん女子に囲まれたって泣いてたわ。……私の大事な妹分に何かあったら春人君でも許さないから!」
私は絶対零度の微笑みを浮かべた。
「えっニッシー女子に囲まれたって大丈夫なの?」
「ええ、貴方達がカエちゃんを怒らせるから無駄なファンが増えちゃったじゃない、カエちゃんに女の子の恋人が出来ちゃったら貴方達怨んでやる…」
3人の顔色が悪くなったところで私は笑顔を作った。
「じゃあカエちゃんと放課後デートする予定だから、後宜しく!」
私はそれだけ言い残して生徒会室を後にした。
あれ?親友達に愛情うけまくってるな楓ちゃん。