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"牽制"一条柊目線

柊君目線は短めですね

少し広めの生徒会室に書類を束ねる小気味良い音が広がった

「うん、書類はすべて目をとうした。他に何かある?」

七宮は俺に笑顔を見せた。

「いや、帰るよ。」

「何もないなら一条、帰りに何か食べてかないか?」

「おごりか?」

「それは、無理だけど……相談したい事があって…」

七宮の何だかハッキリしない態度に、嫌な予感しかしない。

「それ、俺に相談しない方が良いぞ。」

「ヘ?何で?」

俺は自分の荷物を片付けながら言った。

「俺は今、自分の事でいっぱいいっぱいなんだよ。」

カバンから携帯を出すと、楓に生徒会室に居ることをメールにして送った。

「生徒会長だから?俺だって…」

「どうせ、好きな女が出来たとかだろ?」

生徒会室には今、俺と七宮だけだ。

「…何で?何でわかるんだ?」

お前に、くれてやる気なんてないんだよ。

生徒会室にただならぬ空気が流れる。

「一条…」

七宮が口を開こうとした時、生徒会室のドアがノックされた。

ドアを開けてやると、楓が肩で息をしながら立っていた。

思ったより、生徒会室の側にいたのか?

「早かったな。」

「だって、タイムセール始まっちゃうし。」

「げっ!」

「今日は卵の日何だから、ひぃ様にも戦ってもらうからね。」

「…ハイ。」

楓はそこまで言うと生徒会室を除きこんだ。

「ワンコ先輩、柊君もらって帰って良いですか?」

「えっ!あ、うん、…どうぞ。」

楓は七宮に笑顔をむけると、手をふった。

「ワンコ先輩バイバイ!」

そのあと、楓は当然のように俺の腕に自分の腕をからめた。

「七宮、後でまた連絡するから。」

「あ、うん。」

七宮の顔が青ざめているように見えたが、俺は気が付かないふりをした。



卵の争奪戦に勝利した楓はめちゃくちゃご機嫌だ!

「オムライスにプリン、後はなに作ろっかな~?」

楓にとって七宮に、俺と二人で居るのを見られても何も問題ないらしい。

それだけで安心してしまう自分が単純で嫌になる。

「そう言えば、八尾と二階堂は生徒会室に居なかったな。」

「居なくて良いよ、面倒臭い。」

「面倒臭いって可愛くて、ギャップ萌えなんだろ?」

楓は怪訝そうな顔で言った。

「その時だけね………むしろ、八尾君、二階堂君、ワンコ先輩、三神先生は近寄らないにかぎるね。」

三神先生って誰だ?

「イケメンハイスペック男子なんて、ひぃ様だけで十分です。」

俺はニヤニヤしないように、表情筋を殺した。

「イケメンハイスペック男子って何だよ。」

「そのままですよ!顔がよくて、何でも出来て女子にモテモテな男子。面倒臭い事この上なし。」

一気にテンションが下がる。

そんな事だろうと思ったよ。………いや、少しだけ期待した。

俺の気も知らないで、楓は鼻唄まじりに料理を始めた。

「楓は、俺の事をイケメンだと思ってたわけね。」

「そりゃそうでしょ!最初に会ったときは、イケメンだからってスカシやがって、絶対仲良くできないと思ったよ!仲良くなって、面倒臭いなって思うことも結構あるけど、ひぃ様の側にいれて幸せだと思うわけよ!」

手のとどく距離に楓がいたら抱き締めていたと思う。

「…ひぃ様……お願いがあるの。」

楓は少し眉をハの字にして俺に近寄ってきた。

「ひぃ様に……彼女が出来ても、たまには私と遊んでほしいの?」

「ちょっと思ったの、ひぃ様に彼女が出来たらこんなに頻繁には家に来なくなると思うの…妹みたいな私になんか、かまってらんないだろうけど、たまには私と遊んでくれる?」

バットで殴られたような衝撃だった。

「えっ?俺ってお前のこと妹みたいな存在だと思ってるのか?」

「そうでしょ!」

違うだろ。

俺はお前が好きなの。

結構分かりやすい自覚がある。

「楓は、誰かが自分を好きになってくれるって意識は無いの?」

「誰が私なんか好きになってくれるの?お母さんにすら要らないって言われちゃうのに…嫌われないようにするのが背一杯だよ…」

楓の中にある闇を今日初めて見た気がした。

俺は思わず彼女を抱き締めた。

「好きだ、俺は楓が好きだ。」

楓は俺の腰に遠慮がちに手を回した。

「私もひぃ様大好きだよ!だから、彼女が出来ても、たまには私と遊んでね。」

楓は恋愛以前に自分が愛されると言うことを知らないのだと、初めて知った。

人との距離の計り方を知らないのは、俺ぐらいしか楓のテリトリーに入らないからだ。

何だか悔しくて楓を抱き締める手に力がはいる。

「ひぃ様?」

「楓は、俺以外のやつと抱きついたりしたら駄目だからな。」

「えっ?今日、同じクラスの数井マリナさんに抱きついちゃった………胸揉まれたから、もうしないけど。」

「女子ならいいけど、男は…胸揉まれたのか?」

はっきり言って楓は、胸がでかい。

羨ましい………数井マリナ………敵。

俺は見たこともない、女子に敵意を燃やした。



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