始まり
残酷描写ありになってますが、まだわかりません
在り来たりではあるが、私には前世の記憶がある…
ちょっと待って、やり直す。
私には、未来が少しだけ見える…?
全然違うな…
要するに、私の中に乙女ゲームの知識だけが残っている…が、一番しっくり来るかな?
私、西田楓は乙女ゲーム大好きな普通の女子高生、今年の春から女子高生である。
異変に気が付いたのは、入学式。
「生徒会長の七宮春人です、この春麗らかな日に…」
あっ、中学の時のバスケ部に居た先輩だ~部活違うのによく会ってたなー家庭科部だったから、お菓子食べに来てただけだけど…
でも、七宮春人って乙女ゲームの中に出てきたキャラと同じ名前だなー。
「新入生代表、八尾慶吾前へ。」
???????????????
乙女ゲームの中の名前?
何の乙女ゲームだったっけ?
大事なことが思い出せなかった。
家に帰ってまず、最初に持ってる乙女ゲームを全部引っ張り出してきて確認したが手元にある乙女ゲームの中に七宮春人、八尾慶吾の名前は見付けられなかった。
「楓、どうした?ゲーム売る気になったのか?」
声がした方をむくと、楽しそうな顔をした隣人、一条柊が、ベランダからこっちを見ていた。
ヤバイ、あいつ、隠しキャラじゃん。
私は思いっきりフリーズした。
頭をフル回転させて考えたら、思い出してきた。
この乙女ゲームは激ムズで隠しキャラである一条柊は一度も見たことが無かった気がする。
攻略本も買ったけど、一条柊は自分で頑張ってね!みたいな書かれ方でシルエットのみがのっていた。
プロフィールでは、他校の生徒会長をしているとか?
「ひぃ様は生徒会長になったの?」
私もベランダに出て柊君に向かって言った。
「ああよく知ってんな、他校なのに。」
「ひぃ様は頭良いもんね~。」
「なんだ?勉強わかんなくって現実逃避しようとしてたのか?見てやろうか?数学か?物理か?」
「いや、違うから……後できくかもだけど。」
柊君は優しく笑った。
イケメンだとは思ってた。
ハイスペックだとは思ってたけどもさ、まさかまさかのヒロインちゃんに狙われる攻略対象だったなんて…
私なんかモブ中のモブ、背景に写りこんでるその他大勢ぐらいの扱い。
サポートキャラでもなく友達AでもなきゃぁBでもCでもない全校生徒の黒い部分、顔すら描いてもらえないモブ
「楓?大丈夫か?」
ぼーと柊君を見つめてしまった。
しかも心配された。
この男前が彼女にしても大丈夫なヒロインちゃんなんだろうか?
「私、頑張るね」
ヒロインちゃんがどんな女か見極めてやる。
「おお、頑張れ…で、お前は何を頑張るんだ?」
もう柊君の声はあまり聞こえてなかったが私の憧れのお隣さんに相応しい女か見極めることをその日その時決意したのだった。
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