第三章
~三章~
夢でなら僕は存在しててもいいんだ
夢でなら僕は・・・幸せなんだ
一生夢にいたい、
僕は幸せになりたいだけなんだ・・・・
こうやって家族と過ごしていると此処が現実であっちの世界が夢なのでは無いかと
期待を持ってしまうくらい
此処は居心地がいい・・・。
朝食も用意されているし、何より母と父が笑顔だ。
現実では笑顔などずっと見ていない。
・・・・夢の中でくらい現実の事を考えるのはよそう。
今日は父と母と遊園地に行く日だ。
遊園地のマップを指差しながら
「これとこれとこれに乗りたい!」
小さい子みたいにはしゃぐ僕を見ている母と父の顔はとても優しかった。
一通り乗り終え、帰りの時間が迫ってくる。
「まだ帰りたくない。もっと遊びたい。」
と駄々をこねる僕を怒らず、優しく声を掛けてくれる母と父。
幸せだ。こんな家族に恵まれて僕はとても幸せだ。
母と父が僕の両親で良かった。初めてそう思った気がした。
これが現実ならもっと・・幸せなのにな・・・。
遊園地から帰ってるときに父が
「今日は外食にしよう!」と言って車をレストランに走らせた
外食なんてどれくらいぶりだろう!
僕はわくわくした
「なんでも好きなの食べていいぞー!」
「わーい!じゃあ僕ハンバーグ!」
何気ない会話がとても楽しかった。
「あらあらゆうすけ、こぼしてるわよ」と笑う母の顔がとても綺麗だった
ようやく食べ終わり家に帰る
なんて楽しい一日だったのだろう明日も幸せな一日になるといいな。
でも僕は寝るのを躊躇った
寝てしまったら元の世界に戻ってしまうのではないか?
そんなの絶対嫌だ。
僕はここにいたい!
ここが現実なんだ!ここでなら僕は必要とされる!
ここが現実なら眠っても何も問題なんてないじゃないか!
少し疲れた。眠りにつこう。僕は布団に入ってすぐ眠りについた。
おやすみなさい。お母さんお父さん。
今日は学校だ!
あさごはんを食べてがっこうへいそぐ。
学校が楽しみなのも小学生振りだ。ワクワクしながら鞄を持ち学校へ急ぐ。
「おはよう!」
教室に入った途端、そう声を掛けられた。
「お、おはよう」
僕も戸惑いながら返す。
こうやって友達と会話を交わしたのはいつ振りだろうか。
『友達なんていらない』と言い続けてきた僕も、いざ会話し始めると楽しくて仕方が無い
声を掛けてくれた子は英次。昔からの大親友だ。
英次と話していると、僕の席の周りにどんどん人が集まってくる。
学校なんて行く価値もないと思っていた。けれど今はすごく学校が楽しい。
会話を楽しんでいると教室に先生が入ってきた。
「ゆうすけ、また後でな。」
英次にそう言われ、僕は笑顔で頷く。
「皆さんおはようございます。今日は転校生を紹介しますね。」
どんな子だろうと教室内がざわめく。少し経つと可愛らしい女の子が入ってきた。
「月影 夢です。宜しくお願いします。」
月影 夢・・・?会った事がある気がする。
でも思い出せない。どこで会ったんだろう?
月影は僕をじっと見つめてくる。
すると話しかけてきた。
「私、あなたのことを知ってる。」
僕の事を知ってる・・・?
会った事があるのだろうか。
あっ授業が始まる!集中しなくちゃ。
先生の出した問題に英次が答えている。流石英次だ。
なんて思っていたら僕の番がきた。でもこんな問題くらいは簡単に答えられる。
黒板の前に立ち、問題をスラスラと解いていく。
「よくわかったわね!難しい問題なのに!」
へへと僕は得意気になった。褒められるのは嬉しい。
すると授業終わりのチャイムが鳴った。
僕は急いで英次の元へ駆け寄り、昨日行った遊園地の事など他愛のない話をした。
放課後になり、帰りの支度をしていると僕の席に英次がやって来た。
「今日お前ん家行っていい?」
断る理由もない。もちろんOKだ。
「じゃあ帰って支度したらお前の家行くわ!」
どうせ英次の事だ、家に来るのが遅くなるに違いない。
そう思い、今日は少し遠回りして帰ろうと決めた。