第二章
~第二章~
家に帰るといつもの光景。また痴話喧嘩でもしたのだろう。
皿が割れ、ゴミが散らかっている。
これらを片付けるのが僕の仕事だと知っていて彼等はやるのだろうか。
ああ、そうか。僕だとわかっているから・・・。
少しだけ眠らせてくれ。少しだけ・・・。
ここは・・・家?
母と父がいる。夢の中でも逃れられないのか。皮肉なものだ。
何か様子が違う・・・?
父と母が若く僕も幼い。小さい頃の記憶なのか?
そうだ。昔はこんな風に家族3人で食事をしたり遊園地で遊んだり・・・。
どこから変わってしまったのだろう。
いつからか母は怒りやすくなり、父は仕事を理由にして家に帰ってこなくなり
たまに帰ってきても喧嘩ばかり。
昔は幸せだった。
母の怒鳴り声で目が覚めた。
きっとまだリビングの残骸を片付けていない事に腹を立てているのだろう。
重い足を引きずりリビングへ向かう。
怒鳴り声で喋られても何も頭に入ってこない。頭が痛い。
やっと片付け終わった。
遅い?殴らないでくれ。
使えない駄目な子か。そうかもしれない。
殴られるのも仕方ないのかもしれない。
夕食なんていらない。頭が痛い。眠りたい。
こうして眠るのは現実逃避してるだけなのかもしれない。
けど今の僕にはこれしか安らぎがないのだ。
・・・これは僕の10歳の誕生日の夢?7年前か。すごく楽しい。
優しい母と優しい父。こういう当たり前の光景が今の僕にはとても眩しくて。
嬉しかった。幸せだった。
「お母さんお父さんだいす・・・。」
・・・朝か。
また怒鳴り声で目が覚める。頭が痛いのも変わらない。
階段を上って来る母の足音がする。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ!
ニゲタイニゲタイニゲタイニゲタイ。
僕は机の上にあった睡眠薬を一気に全部飲み干した。