第一章
~プロローグ~
一年たった今もこの子は目を覚まさない。
~第一章~
朝が来た。いつもと同じ変哲もない朝が。
母がまた怒鳴り散らしている。
起きるのが数分遅れたのに腹を立てているのだろう。
リビングへ向かうが朝食などできているはずがない。
怒鳴っている母を尻目に学校へ向かう。
学校に行っても意味なんてないのだけれど。
学校に近づくにつれて、足取りが段々と重くなっていくのがわかる。
やっとの思いで教室に着き、真っ直ぐ自分の席へ向かう。
もちろん友達などという関係の人物は存在しない。
席に着き、机の中を漁ると
『体育館に来い』
とだけ書かれた紙切れが入っていた。
溜息が出る。いつもと変わらない日常。
『いじめ』という行為を行う者は罪悪感など微塵も感じていない。
彼等からすればただのゲームなのだから。
僕は玩具と同じ。壊れたら違う玩具で遊べばいいだけ。ただそれだけの事だ。
教師に相談?聞いてくれるはずが無いじゃないか。
いつだって間の立場の人間は強い者に味方するのだから。
悲観的?現実的と言ってほしいね。
いくら綺麗事を言ったり夢物語を見た所で、現実には何も反映されない。
全部無駄じゃないか。期待などしても無駄なら僕は最初からしない。
・・・さて教室に戻るか。
さっきまで僕で遊んでいた奴等は既に席についている。いいご身分だな。
教師が何か言っている。
転校生・・・?
別に興味はない。人との関わりなんて面倒なだけだ。
月影 夢?
変わった名前だな。まあ関わらないのが吉か。
ガヤガヤうるさい・・・。
人の喋り声は嫌いだ。頭が痛くなる。
こんな場所に居たくない。でも僕には居場所がない。
僕は学校に何の為に来ているのだろう
僕に友達も教師も必要ないのに。
やっと授業が終わった。早く帰りたい。
帰りたい?帰りたいのか・・・?僕は・・・。
帰っても怒鳴られて殴られるだけじゃないか。
でもこの空間にいるよりは・・・。
頭が痛い・・・どこにも・・
どこにも僕の居場所はないんだ・・・
気分転換にいつもと違う帰り道から帰ろう。
ん?あれは転校生の月影?
こちらを向いて真っ直ぐ僕を見つめてくる。
面倒くさい。関わりたくない。早く帰ろう。
僕はサッと目を逸らし、月影の横を通り抜けた。
月影の横を通り抜ける時何か言っていた気がするが気にせず足早に僕は家に帰った。