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宛先不明

作者: 尚文産商堂

その手紙が俺の手元にきたのは、どうしてだろうか。

宛先人欄が空白なのに、なぜか、俺のところへ届けられた一通の手紙。

それが、始まりだ。


中には一枚の紙が入っていた。

あぶり出しかと思うような真っ白な紙で、どこにでも売ってそうなレポート用紙だ。

この中に、どれだけの秘密が隠されているのか、俺には分からなかった。

分かるわけがなかった。

なにせ、その紙は、何一つ文字が書かれていなかったからだ。


実際に少しだけあぶっても見たものの、なにも文字は浮き出てこなかった。

それは当り前だ。

何の紙かすらわからなかったんだから。


それから俺は、あきらめて紙を見つめていった。

「お前は何者なんだ」

そしたら、どこからから声が聞こえてきた。

「お前が何者なんだ」

「俺は俺だ」

「ならば俺も俺だ」

禅問答のような、よくわからない会話が続く。

「なら聞こう、この手紙はなんなんだ」

「これが手紙に見えるのか」

その声は笑い飛ばした。

「手紙などではない。だが、おぬしは選ばれたのだ。選ばれたからには、その責任が生まれる」

声が何を言っているのかが俺には理解できない。

だが手紙だと思った白紙の紙は、自然と文字が浮き上がってきた。

「世界は広いぞ。お前はどうしたい」

見たことがない文字のはずなのに、なぜかすらすらと意味が分かる。

「……なるほどね」

分かった途端、なにをすべきなのかがわかる。

「どうした」

声が聴いてきた。

「行くよ」

「そうか」

どこへ行くかは分かった。

何を為すべきなのかもわかった。

あとは、それを行うだけだ。

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