幼なじみ(涼風)
「おい、これは何だ?」
俺の小指には、赤い糸が繋がれていた。
犯人は今、俺の隣で暢気に自分の小指に赤い糸を結んでいた。
「え? 何って、赤い糸だけど?」
「そうじゃないだろ、何故赤い糸を結んでるんだよ」
俺が、ちょっと机にうつ伏せになった隙にこんな事になっていたのだ。
「えー、嫌だ?」
「嫌に決まってるだろ!」
アホかこいつは。 俺は、ちょっと苛々しながら赤い糸を外そうとした。
その瞬間だった。
「あ、ダメ!」
「なっ……」
俺は、ビックリして、思わず声がでた。
「どういう意味か分かってるの?」
それから、一呼吸おいて沙那がそう聞いてきた。赤い糸の意味?
「なんだよ? ただの赤い糸だろ?」
俺がそういうと、沙那は少し俯き小さな声で何かを言った。
「う……め……の……赤い糸」
「は? 何の赤い糸?」
よく聞き取れなかった俺は特に何にも考えずに聞き返した。
その瞬間、沙那は俺の方を向き、赤い糸以上に顔を赤くして言った。
「想太が好き」
俺は驚いた。
だって、生まれた頃からずっと一緒にいた沙那から告白されるとは夢にも思ってなかったから。
だから、そんな俺からでた言葉は俺自身も予想してなかった。
「え? それと赤い糸何の関係あんの?」
それを聞いた沙那は突然立ち、赤い糸を外して一言言い俺の部屋から出ていった。
「バカ! 勉強もできないで、あんたの頭はなに入ってるのよ」
あ、そういえば勉強を教えてもらってたんだっけ?
え、てか何やってんの俺?
「まったく、急すぎるんだよ」
冷静になった俺は、沙那の後を追いかけた。
たった一言言うために。