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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

友人

旅行(二日目)

作者: 蒼聖石

友人シリーズ、第5弾、二日目になります。

「う〜〜〜ん……おはよう、徹。けっきょく終わらなかったな」

「……礼をもらってない」

「それは終わったらだ。当たり前だろ?」


 昨日は宿題がだいぶ進んだが、少し残ってしまった。夜遅くまでやればよかったんだろうけど、今日遊びたいからって言って日付が変わる前には寝てしまった。

 ………何もしないから一緒に寝ろとは言われたけど……


「じゃあ飯食いに行くか」

「うんっ」


 昨日の夕飯もそれは豪華なもので、正直喉を通らなかった。自分の体と不釣合いなものは抵抗があるらしい。

 それでもやっぱり腹は空く。徹の後ろをついて宴会場へと向かう。宴会場にはすでに料理が運ばれていて、全員が揃っていた。


「遅いぞ」

「旅行なんだからいいだろ、親父」

「そうじゃぞ。別に全員揃って食べんでもいいだろうに」

「そういうわけにはいきません、お義父さま」


 なんか急に嫌な雰囲気になったな…金持ちってのはよくわからない……

 突っ立ってるとお姉さんに手を引っ張られて横に座らされた。


「あとで水着、買いに行きましょうね」

「え、ええ……」


 うう……いやだなあ……下着履くのも嫌なのに……

 でも今更、男です!なんて言えないし……諦めるしかないのか…


 なんだかピリピリした朝食が終わると皆それぞれにどこかへ行ってしまった。お姉さんと徹を除いて。


「さ、買いに行きましょうっ」

「まだお店開いてませんよ!?」

「ああ、そっか……じゃあ開店時間が近くなったら呼びに行くわね」


 そう言ってお姉さんもどこかへ行ってしまう。

 どうしようか……宿題、終わらせるか………

 徹と一緒に部屋に戻り、残っていた宿題に手をつける。本当に残り少なかったので、2時間ほどで終わってしまった。


「終わった〜!ありがとな、助かった」

「じゃあ今夜、礼な」

「う…わ、わかったよ」

「でもなんで早く終わらせようとしたんだ?」

「だって……気にしないでデートできるし…」


 恥ずかしさで顔が真っ赤になってるだろう。そんな俺の頭を徹はやさしく抱きしめてくれた。

 やっぱり心地いい……

 すると、ドアがノックされた。あまりにびっくりして思わず徹を突き飛ばしてしまった。


「ああ!ごめん!」

「大丈夫……姉さん?」

「そうよ〜。行きましょうっ」


 お姉さんに連れられて近くの洋服店へ。海が近いだけあって、やっぱり水着の品揃えが豊富だ。

 そして本来見るべきである男性用の前を通り過ぎて女性用のところへ……


「ああ!可愛い!こっちも!」

(ホントに…着なきゃダメ?)

(別に海に入る気がないならいいんだけど)

「だめよっ!せっかく来たんだから!可愛い彼女を可愛い水着で砂浜で自慢してやりなさいっ」

「聞こえてたか……相変わらず地獄耳だな…好戦的だし」

「何か言ったかしら?さあ、望ちゃん、これ着てみて」


 渡されたのは腰に布が巻きつけられてる水着。パレオ?だったけか。

 嫌だったけど、断るわけにもいかなくて、渋々受け取って試着室へ。


 恥ずかしい………!でも腰布で隠れるから大丈夫…かな?


「どう?着れた?」

「は、はい…」

「まあ!可愛い!う〜ん…でも胸がスカスカね。どのくらいあるの?」

「え……ひっ!?」


 突然胸のところを触られて思わず高い声が出てしまった……これじゃホントに女みたいじゃないか…


「……ぺたんこ、っていうか無い、わね」

「うう…」

「じゃあ合うサイズ持ってくるから、それを買いなさい」

「……はい」


 そういってカーテンが閉じられる。ドキドキしながら俺は元の服に着替えた。

 着替え終わった頃にお姉さんは戻ってきて、水着を徹に渡した。


「はい、買ってくる」

「わかったよ…」


 仕方ないといった様子で水着を手にレジへと向かう。しばらくして水着が入った袋を手にして戻ってきた。


「じゃあ旅館戻って、着替えたら海に行きましょう」


 今度は旅館に戻ってそれぞれの部屋で水着に着替える。俺は水着に着替えて、徹に大きめのパーカーを借りた。これでちょうど腰まで隠れてスカートをはく必要は無い。

 ただ着替えてる間、徹が見てくるのがすごい恥ずかしかった……


 思い思いの格好で全員がロビーに集まってくる。この旅館が海から歩いていける距離にあるからか他のお客さんも水着の上に何か、っていう格好が多かった。


「じゃあ行きましょうか」


 ぞろぞろと全員で海に向かっていく。一番後ろには執事さんがパラソルとか荷物を持ってついている。

 相変わらずタキシード……暑そうだなあ……

 砂浜に着くと執事さんがテキパキと準備をする。


「望っ、泳ぐぞ」

「わかった」


 パーカーを脱いで執事さんに預けると、昼間まで全力で泳いで遊んで、ヘトヘトになって戻ってきた。


「疲れた〜」

「お疲れ様でございます」

「昼飯買ってくる」

(わたくし)もお手伝いしましょう」


 徹と執事さんが2人で海の家へ行ってしまった。俺はやることがなくて、少し休んで、なんとなく立ち上がって海を眺めてた。

 その時……


「きゃっ!」


 きゃって……きゃ、って……もう……

 そうじゃない!誰だ今俺の尻を触ったのはっ!


「やあ」


 勢いよく振り向くと、いたのはお義兄さん。まさか……この人が……


「胸はあれだけど、いい体してるね」

「や…」

「おい」

「と、徹っ」


 迫ってくるお義兄さんの後ろから徹が現れて、俺はすぐにその後ろに隠れた。


「何してやがった?」

「そ、それは…」

「次に妙な真似したら…わかってんだろうな?」

「ちっ」


 徹の気迫に気圧されてお義兄さんがその場を去っていく。そしたら急に力が抜けてしまって、その場にへたり込んでしまった。そんな俺を徹が抱きしめてくれる。


「怖かった……」

「悪い、後で姉さんに言っとくから」

「へ…?」

「しばらく鏡が見れなくなるだろうよ」

「あの方の浮気性は承知しておりましたが、まさか望様に手を出すとは……。以降このようなことがないようによく視ておきます」

「頼むよ」


 その後もしばらく抱きしめてもらって、落ち着いてから放してもらった。まだ心配してるような目をしてたけど、軽く笑ったら安心した表情をして、すぐに怒りの表情になった。


「なんであんなのが姉さんの旦那なんだっ」

「性格こそ問題はございますが、経営手腕は類稀でございますからな」

「親父達め……!姉さんも断ればいいのにっ」

「そうゆうわけにもいかないでしょう」

「姉さん」


 困ったような表情を浮かべてお姉さんが戻ってくる。そして俺の横に座るとごめんねといいながらやさしく撫でてくれた。


「あの人には、金輪際あんな真似はさせないようにお灸を据えておいたから、安心して」

「………はい」

「さ、お昼食べて遊びましょっ」


 明るい笑顔を振りまいて俺を元気付けようとしてくれる。それが嬉しくて俺はさっさと昼を食べてしまうとみんなと夕方になるまで遊び続けた。

 旅館に戻って、朝と同じように宴会場で夕食をとるが、その場にお義兄さんはいなかった。

 お姉さんに聞いてみたら、世の中には知らなくていいこともあるのよ、と向けた笑みがとても怖かった……


 昨日は部屋の風呂だったけど、せっかく旅館に来たのだから温泉に入りたい……

 でも別館だからと男風呂に入るのはダメだし、かといって女風呂に入るのも……

 あ、そうだ!遅くに入ればいいんだ!

 そう決めると、俺は夜が更けるのを待って女風呂に向かった。


「やっぱり緊張するな……誰も入ってきませんようにっ」


 万が一、誰かが入ってきても大丈夫なように大き目のタオルを胸から巻いておく。これで多分大丈夫。

 体を洗うときは気配に気を使いながら洗って、風呂には見えないように体操座りの状態で入った。


「ふぅ〜……気持ちいいなあ、温泉」

「あら、望ちゃん」

「お、お姉さん」


 完璧に気を抜いていた……全然気づかなかった……

 いまさら出ることも出来ないし、先に上がるのを待とう。

 体を洗っているお姉さんのほうを見ないようにしてると、いつの間にか風呂に入ってきたお姉さんが近づいてきた。


「ありがとね」

「え?」

「徹のこと。あの子、不器用で頑固で表情が少ないでしょ?それでも付き合ってくれて」

「そんな……」

「望くんと付き合い始めたんだろうなあ、って時期からあの子、明るくなったわ」

「そうですか?……って!ええっ!?」

「男の子でしょ、君」


 そういってくすくすと子どものように笑っている。ただでさえ恥ずかしいのに余計に恥ずかしくなってきた…


「いつからですか?」

「はじめから。あの子が女の子と話せると思えないもん。それに、確かに可愛いけど、女にはわかるのよ、違いが」

「……そうですか」

「あの子の事、これからもよろしくね」


 それじゃさき上がっちゃうね、と言って、お姉さんはいなくなった。

 反対はしてこなかった。きっと反対はしたいんだろうけど、徹のことを考えてのことだと思う。

 あいつがお姉さんが好きなの、なんかわかるな……


「さて……」


 のぼせてしまう前に風呂から上がると、俺は浴衣に着替えて部屋に戻った。

お礼のところは18禁になるのでムーンライトの方へ

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