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Zwei  作者: マサキ
8/13

告白

気がついたら、ワタシはいつもの朝と同じ天井を目にした。

カーテンを越えて入ってくる日差しが眩しすぎる。

「……痛っ」

昨日の一撃の余韻がワタシの右頬を刺激した。

……今日もまた学校。

長谷川つぐみ……せめて彼女が同じクラスじゃなかったら行きやすかったのに。そんな事を考えながら、ダルい体を精一杯動かした。

「おはよー」

「おはよっ」

「おー、はよっ」

ワタシに対する態度が明らかに変わっていた。

いつもは、目すら合わせない人ばっかなのに……

挨拶の嵐だ……

ワタシに向かって交わされる挨拶を全部、曖昧な会釈で済ませて席につく。

隣の席にアイツは、いない。

まだ、来てないだけなのかましれない。

ただ、空いている席を見た時……“良かった”と“来なければいいのに”と思ってしまった自分がいる。

昨日あんな事があったんだからそれもそうか、と納得すらしている。

「おはよ。」

空気が変わった気がした。いつもと何ら変わらない彼の声にビクついたり……しなかったり、したり……。

声のトーンも.明るさも……全部が彼だった。


いつも通り、

いつも通り、

いつも通り、

そう自分に言い聞かせたのが良かったのか、1日何もなくうまく過ごせた。

と、思っていたのに……


[屋上に来て 鈴堂 弥]

下駄箱を開けて靴を取りだそうとした時、1枚の小さな紙が落ちた。

「何、これ……」

いつもと違う文面をみて、驚きを隠せない。

[人殺し]

[被害者ぶってんな]

[穢れてる]

そんな事ばかりが並べられた紙しか見た事が無かったから……まさしく、予想外の文面。

結局、出した答えは……

「帰ろう……」

靴をタイルの上に置こうとして、少し前屈みになったとき……

鞄が掛けられてたいた方の腕を引っ張られて、その反動で床にドスッと音を立てて鞄が勢いよく落ちた。

「宮藤……」

折角、1日何事もなく乗り越えられると思ったのに……

妙に真剣な宮藤の顔なんか見てしまったら……

「それ、鈴堂から?」

何で知ってるの……?

「て、書いてある。」

「屋上だろ?」

「行かないよ?」

……なんか

「アイツ、真剣なんだっ……だから」

……それって

「行くだけでもいいから……さ」

鈴堂、て人を応援してるみたいに聞こえる……

それが、何よりも気に食わなかった。

「行かないっ」

「あいつの気持ちも考えろよっ」

……全部、嘘だったんだ。

「ワタシの気持ちは……?

宮藤の言葉で頭ぐちゃぐちゃなのに…っ」

何、口走ってるんだろ……

ただ、そう考えると苛立って、苛立って

「行けばいいんでしょ……」

「ちょ……っ」

行かないと言えば、行けと言う……

行くと言えば、戸惑ったような……躊躇っているような声で引き止める……

心の中で“どうしたらいいのよ”と叫んだ。


床に落ちた鞄を乱暴に拾い上げ、屋上に向かった。

決して宮藤に言いくるめられた訳じゃない。

ただ、1歩でも早くこの場から離れてしまいたかっただけ……


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