告白
気がついたら、ワタシはいつもの朝と同じ天井を目にした。
カーテンを越えて入ってくる日差しが眩しすぎる。
「……痛っ」
昨日の一撃の余韻がワタシの右頬を刺激した。
……今日もまた学校。
長谷川つぐみ……せめて彼女が同じクラスじゃなかったら行きやすかったのに。そんな事を考えながら、ダルい体を精一杯動かした。
「おはよー」
「おはよっ」
「おー、はよっ」
ワタシに対する態度が明らかに変わっていた。
いつもは、目すら合わせない人ばっかなのに……
挨拶の嵐だ……
ワタシに向かって交わされる挨拶を全部、曖昧な会釈で済ませて席につく。
隣の席にアイツは、いない。
まだ、来てないだけなのかましれない。
ただ、空いている席を見た時……“良かった”と“来なければいいのに”と思ってしまった自分がいる。
昨日あんな事があったんだからそれもそうか、と納得すらしている。
「おはよ。」
空気が変わった気がした。いつもと何ら変わらない彼の声にビクついたり……しなかったり、したり……。
声のトーンも.明るさも……全部が彼だった。
いつも通り、
いつも通り、
いつも通り、
そう自分に言い聞かせたのが良かったのか、1日何もなくうまく過ごせた。
と、思っていたのに……
[屋上に来て 鈴堂 弥]
下駄箱を開けて靴を取りだそうとした時、1枚の小さな紙が落ちた。
「何、これ……」
いつもと違う文面をみて、驚きを隠せない。
[人殺し]
[被害者ぶってんな]
[穢れてる]
そんな事ばかりが並べられた紙しか見た事が無かったから……まさしく、予想外の文面。
結局、出した答えは……
「帰ろう……」
靴をタイルの上に置こうとして、少し前屈みになったとき……
鞄が掛けられてたいた方の腕を引っ張られて、その反動で床にドスッと音を立てて鞄が勢いよく落ちた。
「宮藤……」
折角、1日何事もなく乗り越えられると思ったのに……
妙に真剣な宮藤の顔なんか見てしまったら……
「それ、鈴堂から?」
何で知ってるの……?
「て、書いてある。」
「屋上だろ?」
「行かないよ?」
……なんか
「アイツ、真剣なんだっ……だから」
……それって
「行くだけでもいいから……さ」
鈴堂、て人を応援してるみたいに聞こえる……
それが、何よりも気に食わなかった。
「行かないっ」
「あいつの気持ちも考えろよっ」
……全部、嘘だったんだ。
「ワタシの気持ちは……?
宮藤の言葉で頭ぐちゃぐちゃなのに…っ」
何、口走ってるんだろ……
ただ、そう考えると苛立って、苛立って
「行けばいいんでしょ……」
「ちょ……っ」
行かないと言えば、行けと言う……
行くと言えば、戸惑ったような……躊躇っているような声で引き止める……
心の中で“どうしたらいいのよ”と叫んだ。
床に落ちた鞄を乱暴に拾い上げ、屋上に向かった。
決して宮藤に言いくるめられた訳じゃない。
ただ、1歩でも早くこの場から離れてしまいたかっただけ……