表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Zwei  作者: マサキ
11/13

確信

どこの病院だろうか……

外壁はボロボロ、壁や床かヒビだらけで……

まるで、お化け屋敷だ。

それに気温も低い。

それは、病院と呼ばれる建物の中でもあまり変わらない。

ただただ、冷たい。

どこまで歩いても見る限り壁・壁・壁……

その時思った。

ここは、囚人を閉じ込めておく牢獄みたいな……

「ここ」

前を歩いていた宮藤が立ち止まり、指差す方向には少しだけ光がもれている扉があった。

そこには、間違いなく『真崎捺樹』というプレートがかかっていた。

「早く……」

催促されるがままに扉を開ける。

今までの景色が嘘だったかのように逆光が目に映える。

「………っ」

「~~~~~……?」

確かに聞こえた。

聞き覚えのある声、ただ逆光で顔を見ることが出来なかった。

「なんで、望月がここに!!」

「捺樹チャン……?」

何かが、おかしい。

感動の再会……たはずだったのに

「帰るんだっ!!!!」

「捺……っ」

「帰ってくれっ!!!!」

「甘えてんなっ!!」

今まで聞いたことのなきくらいの声で叫んだ。

耳から伝わるその声が頭に響いた。

「宮藤……?」

「望月チャンは、強くなった」

「どーゆーことだよ、深舩……」

「もう話してもいいと思う……10年も経ったんだ。」2人が何を話してるのか分からなかった。

「捺樹、ちゃんと言っとけ」

「深舩…っ」

「じゃあ、な」

が閉まっていく……


宮藤が部屋から出て


なんてことのないのに、何故かとても悲しく思えた。「望月……?」

今まで聞いたことのなきくらいの声で叫んだ。

耳から伝わるその声が頭に響いた。

「宮藤……?」

「望月チャンは、強くなった」

「どーゆーことだよ、深舩」

「もう話してもいいと思う……10年も経ったんだ。」2人が何を話してるのか分からなかった。

「捺樹、ちゃんと言っとけ」

「深舩……っ」

ゃあ、な」

扉が閉まっていく……

宮藤が部屋から出ていく……

なんてことのないのに、何故かとても悲しく思えた。「望月……?」

宮藤が出ていった後もずっと扉を見ていたワタシに、ベッドの上で横になっている捺樹チャン”……

先に声を発したのは、捺樹チャンだった。

「なんでもないよ……」

そうだ……

今、知りたいのは2人が何の話をしていたか。

「さっき言ってた、もう話してもいいこと、て何……?」

「それは……」

さっきから気になることは、1つじゃない。

目は動いているのに……

体が1mmも動かされていない……起き上がってもいいのに……

でも……

「何を聞いてもいいように準備したよっ」

「え……?」


「だから、言って?」

もう捺樹チャンが1人で、悩まなくてもいいように……

「全部、受け止めるからっ」

1人で思い込まなくてもいいように……

「ワタシは、捺樹チャンを助けたいからっ」

もう捺樹チャンが、

1人でこんな所に居なくてもいいように……

ワタシが、力になるから……

……ね?


全部かは、分からない。

でも、今捺樹チャンが話せることは全てだったと思う。

1度も目は、会わせてくれなかった。

ただ、それだけ胸の中で渦巻いていたんだと……

それだけずっと胸の中に秘めていたんだと……

ワタシが知っていた事は、

宮藤深舩が側にいたこと、

友達で、親友で……

それだけ。

教えてくれた、そるはあまりにも残酷過ぎた。

今は、どこにいるかも分からない両親がワタシ達に暴力をふるう人だったと……ワタシがまだ7歳だったとき、両親がワタシを刺殺しようとしたこと、

それを助けようとした捺樹チャンが巻き込まれてしまったこと、

そこに宮藤が居合わせていたこと、

宮藤は足がすくんで捺樹チャンを助けることが出来なかったらしいこと、

捺樹チャンは重傷だったけど我に返った両親が病院に連れていってくれたこと、なんとか一命をとりとめたこと、

刺されたショックの後遺症として首から下が全く動かないこと、

今でも毎日のように宮藤が会いに来てくれていること……

ワタシは、何も知らなかった。

「望月、ずっと1人にしてごめんね……?」「ううん……でも……」

「……どうした?」

「でも、ワタシ何も知らなかったよ~~」

捺樹チャンも今まで1人だったのに……

たった1人で頑張ってたのに……

ワタシは、捺樹チャンは死んでもないのに……殺してもない宮藤を恨んで……憎んで。

恨む……?

憎む……?

よく考えてみると矛盾。

何故、宮藤は殺してもない捺樹チャンを殺したと言ったのか……

何故、10年前……7歳の時の事を覚えていないのか……

何故、捺樹チャンがいなくなってしまったのが5年前だと思ってたのか……

ワタシの頭の中は、何かが狂ってる。

「望月が言いたいことは、なんとなく分かる。」

「え?」

「今、記憶と記憶がすれ違ってるでしょ……?」

「……うん。」

「それも全部、教えるから」

「………」

ワタシは、5年間もの間、病院の一室で過ごしていたらしい。

だから、目が覚めたときには、5年が経っていたたという訳だ。

目が覚めて、ベッドの隣にあった椅子には宮藤……

[良かった。

それと、捺樹のこと……ごめん。]

そう言って病室を出ていってしまった。

それから、1日だって会う事はなかった。

……だから勘違いしてしまったんだ。

宮藤が捺樹チャンを殺したんだ、と。

この5年間……そこには、そんな事実無かったのに。「嘘じゃないよ……深舩俺を殺したと思ってる。」

「え?」

捺樹チャンは、こうして生きてるのに……

それは、宮藤も知ってるはずだし……。

「深舩は、全部自分のせいだと思ってる……俺の体が動かなくなったことも」

「だから……」

辻褄が合った。

『俺が捺樹を殺したから?』

何だか、涙が溢れた。

自分を責め続けてる彼をワタシは、追い詰めてしまったんじゃないか?

彼の気持ちを踏みにじってしまったんじゃないか?

彼の気持ちは、いつも捺樹チャンとワタシに向けられていたのに……

なんて、ひどいことをしたんだろう……

「謝らなきゃ……」

………っ!!!!

ワタシは、何を言ってるんだろう……

久しぶりに捺樹チャンに会ったのに、10年も会ってない兄との再会なのに……

でも、このまま宮藤が現れてくれない気がして……

「行っておいで?」

「捺樹チャン……」

ありがとう…

「深舩も後悔してる」

何のことかは、分からなかったけど……気づいたら扉に手を掛けていた。

「昔、3人で遊んだ公園っ」

「ありがとっ」

どうして、捺樹チャンが宮藤の居場所を知っているのか不思議に思ったけど……

それと同時に忘れていたはずの景色が浮かんだ。

ブランコと滑り台、ベンチが2つ……ただ、それだけの小さな公園。

でも、ワタシ達3人は笑っていた。


今頃になって思い出すなんて……


今まで忘れてしまっていたなんて……


本当にバカだ。

ワタシはもう、とっくに……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ