表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

不真面目と卑猥女教師


保険医=卑猥みたいなイメージが付いてますね。まああくまでイメージですけど。


午前8時45分――




舞台 月浜学園 HR――










キーンコーンカーンコーン…と。



これまた平凡なチャイムが、ここ月浜学園に響き渡る。




……おっと、紹介が遅れたな。






やあ、みんな!!


ボクの名前は先山さきやま 公介こうすけ!!




自称不真面目クンの、永遠の23歳さ☆(歯キラーン!)




いい歳こいて何が不真面目だよーとか、マジでキモいソッコー嘔吐しそうーとか言うヤツは、ボクの怒りの鉄拳で顔面の骨格変形させるからそこんとこヨロシクね♪






……とまあ、脳内で誰に向けて喋ったワケでもない自分で言って吐き気を催すような自己紹介が終わったところで、だ。




今オレはここ月浜学園で数学教師をやっている。

まだここに来て一年ニヶ月、教師歴も一年ニヶ月というビックリな新米だが、まあそこそこ頑張って生きている(?)。



そんで、そんなオレが先ほど不真面目だったオレを返せと言ったのには、きちんとした理由がある。






――異常過ぎる。


それが、オレがこの学園に来て真っ先に感じた率直な意見であり、不真面目を取り戻したくなった理由の一つだ。







あ? 何が異常過ぎるって?



それはだな………


「あら? 先山先生ではないですか。

どうされました?

こんな廊下の真ん中で立ち止まられて♪」





後ろから、凛とした女性の声が聞こえた。





……あー、ほら喜べテメェら。



異常者第一号の登場だ。



「おはようございます、テンナ先生」





「クス……おはようございます、先山先生♪」




川の流れのようにさらっと煌めく綺麗な黒髪。


そこらの近所のガキもアホみたいに鼻を伸ばして興奮しそうなくらいのナイスバディ。


何もかも魅了してしまいそうな勢いで、妖艶に優しい色を放つ瞳。


そんで極めつけは純白の保険医のカッコ。

(現に保健の先生)





彼女こそが我が学園が誇る美貌の持ち主、天夜あまよ テンナ先生である。







突然だが、この学園の教師になるには、試験を受けなければならない。



『教師公認試験』。

略して(別に略さんでもいいだろうと激しく思うが)教験。


ちなみに競争率は5.0倍である。




オレがそれを受けた時にお世話になった担当教師が、このオトナの色気をMAXで放出してるテンナ先生ってワケだ。




なんかこの人には色々迷惑かけたが、今では無事月浜学園で一緒に教師として勤めている。



しっかしこの先生、すっげえ美人なのに、内面が……………



「それでどうされたのですか?先山先生。

もし何か悩みがあるなら、良ければ私が相談に………」



「あーいえいえ!!

全っ然大丈夫なんで!!

ちょっと職員室に忘れ物してきちゃったなぁーとか考えててですね……」


「まあそれは大変。

避妊具なんて職員室に置いておけませんものね」


「今どうして避妊具だと決めつけたんですか!?

そうじゃありませんよ!! 筆箱とかあるじゃないですか!!」



「あら?

もしかして先山先生は筆箱にお守りとして避妊具を入れているというお方だったり……」



「しませんよ!

なんのお守りですか!

テンナ先生はオレが性犯罪をするとでも!?」




「いえいえ、そんな事は…………………………………ごめんなさい」



「なぜ今オレの顔を見て謝ったんですか!?

そんなに性犯罪者みたいな顔してますか、オレ!!」



「ちwwwかwwwんwwwまwwwwww」



「誰が痴漢魔ですか!

てかなんか腹立つな、その笑い方!!」



「ちょwwwwおまwwwww痴漢魔てwwwwwwwww」



「うるせえ!」



「ワロスwwwwwwwww」



「黙れ!!」




「ふふふ……落ち着きましょう、先山先生。

意味もなく興奮すると、先生のアソコに悪いですよ♪」




「アソコ!?

アソコってどこ!?

テンナ先生、今かなりヤバい発言しませんでした!!?」



「えっ?

私が言ったのは血圧の事ですけれど…」



「紛らわしいなぁオイ!! 大体血圧の事アソコなんて言いますか!?」




「……………」


「いや、無言はやめましょうよ!!」




「さて、それでは私そろそろイかせて貰いますね♪」



「超スルーですか!

あと“行く”っていう文字が少し卑猥な感じに変形していると思ってるのは、オレだけですか!?」


「ええ、あなただけね♪」



「オレ以外の人全員常識力が麻痺してますね!」



するとテンナ先生は綺麗な黒髪をふわりと手で掻きあげ、


「それよりも、先山先生。

忘れ物が本当なら、早く取りに帰った方が良いですよ」


「えっ、マジすか!

……うわホントだ。後5分しかねぇ。

ありがとうございます。オレ急いで取りに……」






「私以外に避妊具をお守りにしている事バレたら、先山先生の地位が危ういですものね♪」



「そっちか――――――――――――!!!

それは確かにヤバいけど、オレそんな事してませんから!!

その誤解絶対他の人達に言っちゃ」



「さーきやーま先生はー、ひーにーんーぐをー♪♪♪」




「スキップをしながら大声で変な歌を歌うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

生徒に聞かれたらどうすんですか…………ってああ!!

もう居ない!

スキップ早過ぎるだろあの人!!」






テンナ先生はどこか遠くへ行ってしまったが、驚くことに、あの変な歌は聞こえてくる。



……どれだけ大声で歌ってるんだあの人は。


他の教師や生徒に聞かれたらどうしてくれる。








まあみんなもう分かったと思うが、あの人の脳内は常にピンク色だ。


毎日楽しーわーうふふえへへあははは〜…ってな感じだ。




あと授業を一度見学させてもらったが、かなり卑猥だぞ。



あの人は自覚しているのだろうか。

自分が卑猥な発言をしている事を。



生徒達(♂)はかなり興奮していたが(事実オレも)、いい加減あの人にはそういう発言を自粛して貰いたい。








……はあ、朝からいきなり疲れた。


これから更に問題児達の相手をしなくちゃならないってのに、あの人はホントに……





あ、ちなみに忘れ物ってのは真っ赤なウソだ。


早く逃げたかったから、その場しのぎで考えたウソだ。




まあ結局逃げられなかったけど。


あの人はかなり頭がキレるから、多分ウソだってバレてただろうな。








とにかくオレは今、オレが担当するEクラスの教室へと続く道を進んでいる。




ここでまた突然だが、この月浜学園のクラス編成を教えておこうと思う。


学年は1・2・3年とあるわけだが、それらには各々4つのクラスがある。


A・B・C・Dという具合にな。







……ん、なんだ?

何かおかしいだと?



ああ、そうだ。

ご名答。







オレが受け持つのはEクラス。



実質、“存在しない”クラスだ。





何事にも例外はある。

コレがどういう意味か分かるか?




……そう、Eクラスは問題児収容クラスだ。


収容って言い方は物騒かもしれないが、実際その通りだと思う。




Eクラスはこの月浜高校とは少し離れたプレハブ校舎にある。



実はコレ、Eクラス専用に建てられたモノだったりする。




学費の無駄使いじゃね? とツッコミたくなる気持ちはよく分かるが、抑えろ。



実は、本当にそうした方がいいんだ。





ヤツらはお偉いさん達の話し合いで正式に決定された問題児達。


過去に学園を脅かすある事件を起こした、危険人物。


学力の低下が著しい、言わば超ド級ウルトラバカ。


自分の利益になることばかりを考えて、非行に走ってしまった者。





そんなヤバいヤツらが集まるこのEクラスの担任に、何故かオレが大抜擢。



どうやら、新人はEクラスの担任を任されるらしい。

ヤ〇クミですか、オレは。





Eクラスが設立されたのはおよそ5年前らしいが、その間何人もの新米教師が途中で辞めていったらしい。


詳しく聞くと、教師いびりが酷かったとか。





そして、このEクラスにはもう一つ重要な拘束がある。


それは、卒業試験。





Eクラスに入ってしまえば、ヒドい事に大学や就職への道は相当厳しいモノになる。

最大問題児のレッテルを無条件に貼られちまうからな。






……そして、そんな将来不安な彼らを縛り付けるために、ある規則がある。



それが、卒業試験。



簡単に説明すると、この試験に合格出来なければ、学園から出られませんよという規則。

まあ、これくらい常識だろ?






……でもここ月浜学園の束縛は異常だ。


学園を囲む塀の高さは15メートル以上あり、校門には学園長のコネでかき集められた正式に訓練された警備員。



2・3年前には学園中に監視カメラが設置されていたが、ある事件がきっかけで取り除かれたらしい。







まあつまり何が言いたいかと言うと、卒業試験に合格しない限り、Eクラスの奴らはこの学園から出る事が出来ないっつう事だ。




何でそこまでするかって?

そりゃあお前、最大の問題児達を社会に垂れ流す事なんて危険過ぎるだろうよ。





どうやらここ月浜学園は、時間が経てば反省するだろうなんて甘い考えをお持ちでは無いようだ。


そのため3年生になっても試験に合格出来ずに、未だに汚いプレハブで蔓延ってるヤツらがいるワケだ。




んで、制度が設立されてから5年の間このEクラスにやって来たヤツらは、5人だけ。


つまり、だ。









現在Eクラスには生徒が5人しかいねぇ。


そんで、何度もしつこいがオレがそれを任されている。



……まったく、貧乏クジもいいとこだぜ。


初めての教師生活が、まさか問題児だけのクラスとはな。




まあ結構刺激的な毎日が送れそうだし、ケンカなら絶対負けねぇ自信あるから、多分大丈夫だろ………ってのが、オレが初めてここEクラスに訪れた時の感想。









――まあ、見事に裏切られたよ。


このEクラスで大切だったのは、何も腕っぷしの強さだけじゃなかったんだ。







心の強さ。


ソイツを履き違えていたオレの末路は…………ああ、思い出したくねぇ……。




嫌な過去を脳の片隅に置いたオレは、顔を上げてみる。





“Eクラス”と書かれた錆びたプレートがあった。


いつの間に外出てんだよとかいう質問はナシだ。





オレは端正に磨き上げた黒淵メガネをすちゃっとかける。





……うむ、今日もイイカンジだ。

ちなみにオレの視力は両方2・0。

イイカンジにダテメガネだ。






「……さーて、先山選手の入場です。今日はどんな刺激達が待っているのでしょうか、っと」



独り言を呟きながらドアを開くと、ガラララ……とこれまたヘーボンな音が響き渡った。


とりあえずこの学園の面倒なルールだけ覚えてくれればおKです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ