結成
「浜田ミミさんは意識戻ったが、臓器がかなりヤラれてる。脳もダメージ受けてるし、学校に復帰できるのは来月くらいになりそうだ。」と病院から帰ってきた平野先生が話す。
「どんな毒物なんですか?」高木くんが質問する。
「今アメリカで問題になってるゾンビ薬と呼ばれてる合成麻薬のファンタニルだ。アメリカの若者が就職や
人生に挫折して溺れて街の中をゾンビみたいにフラフラとさまよう姿からそう呼ばれてる。
大学でも蔓延してたよ。とにかく物価が異常に上がって家賃も食料も学費もめちゃくちゃ高いんだよ。
経済力がない若者が1番ダメージ受けて薬に逃げてるんだ。
まさか日本でも…」清が言葉に詰まる。
「違法薬物なんですか?それなら犯罪で取り締まれるんじゃないですか?」ハヤトが聞く。
「いや、普通に病院とかにはある薬だよ。市販薬で無いだけでどこの病院でも薬品会社から買ってるよ。」先生が言葉を選ぶ。何か気になる事があるのだろう。
「末期がんの人の痛み止めなんだよ。モルヒネより痛みや苦しみを散らしてくれる。
ただし素人が扱えるシロモノじゃないんだ。
たった2mgで死ぬんだよ。」先生の話に皆ざわつく。
「2mgなんて!消しゴムのカスじゃん!そんなちよっとで!」高木くんが頭を抱える。
「警察が今調べてるが、浜田ミミさんはハンバーガー屋で3人一緒に離席してる瞬間があったらしい。」田中さんの方を見る。
「アッ、庄司さんがトイレに立ってミミがついて行って私はパイ買いに下のカウンターに行ってました!あの時か!」田中さんが思い出す。
「薬の成分がやっと身体から抜けて目が覚めたんたろう。若くて体力があったから死ななかっただけなんだよ。本当に。」先生が説明する。
「庄司さんは、あれからお母さんのお弁当と水筒持って塾行ってるから大丈夫だって言ってたのに…」田中さんがまた悲しそうに下を向く。
「いや、庄司さんなら絶対口にしてないよ。あの子は賢い。ただ、触れるものに付けられてたら…時間も経ち過ぎてる。」先生も心配そうだ。
「…なんで、庄司さんが狙われたんでしょう?」珠子が挙手して声を出す。
「そうだよな。塾なら皆行ってるし。なんで庄司さんなんだ?」高木くんも声をあげた。
「マイクラも外部から潜り込んだ形跡は無かったらしい。家に警察が来るかもしれないが、親御さんの方には知らせてあるから協力してくれ。」と話は終わった。
「どこかに倒れてたら、もう見つかってるはずだよね?犯人に拉致されたのかな?」珠子がハヤトに話し掛ける。
「拉致しなくても人目のつかない場所に放置されてたら死ぬのは時間の問題だ。浜田はすぐに病院で処置受けられたから命を取り留めただけだ。」ハヤトが珠子が恐くて言えない事を言う。
「やめて!イヤだよ〜そんな事言わないで〜」もう半泣きになる。
「お前って暴力女で口も達者なのに、そういうの弱いよな。」ハヤトが苦笑する。
「攻撃は得意なんだよ。戦うのは好きだ。でも心配するのはダメ!無理〜」珠子が顔を伏せる。
田中さんが高木くんと一緒に珠子達の席に来た。
「手伝って欲しいの。庄司さんは無駄な動きは絶対しない子なの。塾から家までのルートのどこかに居ると思うの。」田中さんが説明する。
「車でも使わないと意識ない女子高生を連れて歩くのは目立つ。絶対、その付近に居ると思うな、俺も。」高木くんもうなづく。
「警察も探してるだろうけど、庄司さんの事を良く知ってる俺らも探そうよ!1分でも早く見つけないと!」高木くんが音頭を取る。
「長谷川ルルが庄司さんと家近いよ。この辺りの地理にも詳しいし。声掛けよ!」珠子がルルに知らせる。
「じゃ、庄司さんの家から出発して塾へのルート探してみようよ!2組探偵団だ!」高木くんが腕を掲げてアニメみたいなボーズをする。
「嘘でしょ?信じられない…」と田中さんが引く。




