白の姫
家に帰ったら、澄香に戻る。
「さすが!!あそこまでとは思わなかったよ!」
扇ちゃんが褒めちぎってくれた。
「ありがとう」
澄香の声で、澄香の姿で言う。髪の毛も前の長さにもどった。
「これから、悪者退治の仕事がたーくさんあるの!!その時に使うデザインを作っといてくれない?」
「えっ、このままじゃだめなの?」
「いいけど、それ、活動のキャラデザでしょ?そのままでいいの?」
あったしかに。スピカは気に入ってるけど、仕事には使いたくないかも。
「んーーーと」
パソコンを開いて、絵描きアプリを起動する。扇ちゃんものぞき込んでくる。一から作るのは大変だから、テンプレートを使う。
「髪の毛は長い方が好きなんだよね」
扇ちゃんがリクエストを出してくる。私も長い方が好きだから髪を長く描いた。
「色はどうするの?」
「どうしよっかなあ」
扇ちゃんを見る。扇ちゃんは初登場とは異なる14才くらいで、私と同じにそろえてくれている。つやつやの白髪をしていて、目は灰色っぽい。 「扇ちゃんと対照的になるようにしようかな」
「おっ、うっれしいー並んだときのバランス考えてくれてるんだね」
勝手に心を読まないでもらいたい。
澄香はどんどん描き足していく。黒い髪の毛と、白っぽい目。虹色に近くて、オパールみたいな乳白色にする。
「服はどうしよう」
扇ちゃんは丈の短い着物で一貫しているけど、色はころころかえるし髪飾りもころころかえてる。今は薄桃色に蝶をちりばめたかわいいデザインを着ている。
「じゃあ、」
とりあえず、着物とドレスをミックスした感じで、着物の上と、そこから広がっていくスカートにした。ざくんとスリットを入れてみる。とりあえず桃と対極になるように濃い藍色にした。
「一回これでやってみるね」
澄香は立ち上がって、イメージする。最初の炭酸水を頭から浴びせるような感覚は小さくなっていた。
「おおーいいねぇ大人って感じ」
扇ちゃんがまた全身鏡を取り出してくれる。鏡には綺麗な女の子が映っていた。スリットからのぞくふくらはぎが色っぽい。
「ちょっと地味じゃない?」
なるほど、明るい色味が1つもなかった。髪飾りでもつけてみようと髪飾りを出す。花と蝶を模した大きめの髪飾りをぱちんとつけた。
「鞘欲しいな」
ナイフは常に出しておきたい。ホルスターを出して太ももに装着する。良い感じのバランスになった。
「名前はどうする?」
「そーうだねー」
スピカのままでも良いけど、何か変えたい。
「お姫様みたいな名前にしたら?」
扇ちゃんが提案してくれる。お姫様みたいな名前とは?何とか姫って事だろうか。かわいいけど。
「白蘭姫、?」
「いいじゃん!黒に白の色味がリンクしてるって事か。あと、私の名前は?一応相棒なんですけどぉ」
そうか、相棒なんだ。案内役かと思ってた。
「扇ちゃんも姫にするの?」
「うん!いいの考えてね」
いいのとは?白と赤が目立つから兎?私が白だから扇ちゃんは赤にするのか?私のビジュアルもどちらかというと黒だけど。え、まじでどうしよう。
「ええと、、、白月姫?」
兎とはつきで揃えとこ。
こうして、白蘭姫と白月姫が誕生した。