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番外編:あの時の依頼者より 〜小さな土地の、その後〜

この春、あの一軒家を離れて二年が経った。


新しい住まいは便利で、何も不自由はない。

でも、あの家の縁側で飲んでいたお茶の味が、ときどき恋しくなる。


ヒロさん、元気ですか?


あのとき、「納得するまで話しましょう」と言ってくれたこと、今も心に残っています。


正直、立ち退きには不安しかありませんでした。けれど、あなたが“この家を大事に思ってるのは、伝わってます”と言ってくれた一言で、すっと気持ちが軽くなったんです。


引っ越すとき、庭の桜を切らずに移植してくれた業者さんのことも、ちゃんと覚えています。


そして今、その桜は、新しい家の前で今年も花を咲かせてくれました。


近所の子どもたちが、“この木、きれい!”と声をあげてくれたとき、

ふと、思ったんです。


土地って、思い出ごと引っ越せるんですね。


***


ヒロさん、今はどんな交渉をしてますか?

また誰かの“最後の一歩”に寄り添ってるんでしょうか。


どうか、あのときのように、静かに、でもまっすぐに、

誰かの“想い”を聞いてあげてください。


私は、あの家と、桜と、そしてあの交渉を、一生忘れません。

番外編第4弾は、“あの時の依頼者”からの手紙という形で、その後の時間を描きました。


直接的な登場は少なかったけれど、ヒロさんの仕事はこうして“静かな記憶”として残っていく。


それこそが、このシリーズが描いてきた“土地と人のつながり”の証かもしれません。


次回は番外編最終話――かつてヒロさんと対峙した“あの男”側から見た物語。

視点が変われば、正義もまた揺らぐ。その真実を、ぜひ見届けてください。

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