第31話『リヴィアサン討伐』
星歴10017年8月12日午前11時3分、西の大陸・最西端の王国『ガルド』。
代々魔導師を排出してきた学園のあるその王国で1つの危機が訪れようとしていた。
星歴7004年、2代目大賢者『ミネルヴァ・アーカイブス』により封印された魔界の門。
その封印は年々解かれつつあったのだが、魔獣が出現することはなく3000年近く再封印が施されることはなかった。
だが今年10017年6月28日の昼頃その門の封印は解かれ、海に陸に空に魔獣が溢れ出した。
その事態を重く見たのかすぐに王国の結界師と魔導師が動き出し、彼らの尽力の結果『最上級結界』をもって簡易的な封印をすることができた。
だが結界を施す際、海にリヴィアサン率いる魔獣たちが逃げ込み、海では無力である彼らと王国は悩みを抱えることになる。
しかし結界を施すのとほぼ同時期に、とある『魔導師』が倭ノ国の侍に討伐の依頼を出していた。
そして今日その侍が到着し、港町『ロズベリー』で食事を楽しんでいた。
◈◈◈◈◈
「あ、あのお客様…」
「…ん?なんじゃ?」
儂、齊藤影吾郎が依頼人の到着を待ちつつ食事を楽しんでいると店のスタッフらしき人物が話しかけてきた。
「先程女性が『下に水流れる石で灰は待つ』とお伝え下さいと言われたので…」
儂へ待ち合わせ場所を教える師匠からの暗号だろうと理解し、立ち上がる。
「あぁ、わかった」
そう言ってスタッフに代金を渡しその店を後にした。
そして儂は下に水流れる石…おそらく噴水のことだろう、そこに向かう。
噴水は店からそう遠くない場所にあった、そこで儂は周りを見渡す。
すると噴水を隔てた先に灰色のフードを被った少女を見つけ、すぐにそこへ歩き出した。
「…師匠が依頼人だろう?」
「…そうだが」
どうやら当たっていたらしく、少女はフードを外す。
「久しぶりだな、大体50年ぶりか?バカ弟子」
「54年ぶりですよ師匠…いや、2代目大賢者『灰被りの大賢者』ミネルヴァ・アーカイブス師匠」
「フル名称で呼ぶな、恥ずかしい」
ミネルヴァ・アーカイブス、彼女は3000年前『第二次人魔大戦』にて魔王『サタナエル』とその率いる『七つの大罪』を倒し、封印した魔導師の頂点『大賢者』。
彼女が人の寿命を越えて尚生き続けている理由は魔王を倒した際にかけられた『不老不死の呪い』によって死ぬこと、そして歳をとることができなくなったからである。
それ故に彼女は17歳のまま、こうして生き続けることになった。
「で、リヴィアサン討伐だが…」
あの後儂と師匠は近くの港に移動し、依頼の話を始める。
「できそうか?」
「ええ。海の中でも戦えるように師匠に鍛えられましたから」
「はっ、何十年前の話だよ…ま、任せたぞ。死ぬなよ」
「心配ご無用。儂はこんな戦いで死ぬほど弱くはありませぬ故」
そうして儂は愛刀『死淵丸』を携え海に潜った。
しばらく潜水していると深くの所から獣のような唸り声が聞こえ始め、刀に手をかけた。
「ヴォアラララー!」
しばらくすると龍の頭に長い首、そして水かきに発達した羽が見え、それと同時に空に打ち出される。
「はっ、わざわざ儂の独断場に出させてくれるとは粋なやつよのぉ」
リヴィアサンの口が儂の身体を飲み込まんと開き、近くに迫る。
「魅せてみせよう、リヴィアサン。齊藤影吾郎抜刀術…『鎌鼬』」
刀を鞘から空中に弧を描くように勢いよく引き抜く。
その直後リヴィアサンが儂の身体に最接近し、それとほぼ同時に上顎と下顎が斬られ引き裂かれる。
息を失ったリヴィアサンは海上に浮かび上がり、儂はその上に立つ。
「ふぅ」
その後儂は師匠から依頼金を受け取り、師匠の申し出でリヴィアサンは王国の研究所に送られた。
「…で、もう1つ用事があるんじゃないですか?師匠」
「気付いていたか。少し気になることがあってな、お前にはその護衛兼潜入調査について欲しいのだ」
「気になること…ですか」
「ああ、だから私は『ヤード共同学園』の生徒として潜入することになる。お前には剣術の先生として潜入、情報収入と地下の調査を頼みたい」
「分かりました師匠、引き受けましょう」
「そう言ってくれると思っていたよ」
そうして儂と師匠は学園に潜入することになった。




