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勇戦のアルヴヘイム  作者: 葵衣なつ
世界樹祭編
28/35

第28話『目覚める少女』

 神様と会った後、私はただ我武者羅に森の木々を掻き分けて町へと走っていた、


 私たち月下竜団の中で1番弱い私が行っても足手まといになるだけなのは何となく頭の中で分かっている。


 だけど、何故かは分からないけど、アルたちが危険な予感がして私が行かないといけないと、私の中の何かがそう叫んでいた。


「ハァハァ…」


 走る度に足に感覚が無くなっていく感じがする。


 私の鼓膜を破るかのように心臓の音が五月蝿く鳴り響いて、少し不快な感覚もする。


「お願い…ッ!間に合って!」


 私はただ、衝動のままに走る。


 嫌な予感を胸の中に秘めたまま。


 ◈◈◈◈◈


 星歴10017年8月15日午前11時51分、ネプト王国・城下町『ユグドラシル広場』。


 俺、アルとメイは森羅龍と宣告者(デクレアラー)を足止めしていた。


 奴らはどうやら白炎たちが向かった城の地下に用事があるらしく、そこにアルトランドの妹・ガスタもいるらしい。


 それに白炎たちは既にラヴクラフトの配下の1人と戦っているようだ、白炎が通信で知らせてくれた。


「何故あなたは戦うのです?もう愛した人は死んでいるというのに」


 宣告者の1人が戦闘の最中に揺さぶりをかけてくるが無視する。


「あなたは何故、ラヴクラフト様の言うことを聞かないのです?あの方と永久の血盟契約さえすれば愛した人を甦らせてくれるのですよ?」


「…死人は生き返らない、それが世界の理だ」


「そんなルールなんて10000年前の『あの日』から一変されているんですよ?それにあなたは新世界の住民、旧世界の理に倣うのは可笑しいのではなくて?」


「理なんていつも変わらねぇ」


 本当にイライラする。


 あの男の崇拝者である宣告者、人工神話の連中…奴らには世界の理なんて通用しない。


 神様連中から人の心を無くした亡き骸と言われるのも納得がいく。


「ルールは変えられる、何故あなたは分かろうとしない!現にあなたは12年前のあの日、彼女が成したことを見ていたでしょう!」


「見ていたさ!だけどそれとこれは違う!」


「違くないと分かっているでしょう!彼女は腹の中で死んだはずの子供を蘇らせ、彼女は己の身体を依代にこの世に誕生させた!これを理を変えた以外になんと呼ぶつもりなのです!」


「愛だ!」


 すると宣告者たちは頭に疑問符でも浮かび上がったのか、それとも理解できなかったのか一瞬固まった。


 俺はそこに間髪入れず攻撃を入れる。


「うぐっ!」


 宣告者たちは一瞬よろけるがすぐに立ち上がった。


「愛…?そんな不確定な感情の事象が理をらねじ曲げられるとでも思っているのですか?」


「あんたらには分からねぇだろうよ、親からの愛ってやつは全てを凌駕するんだ。あいつがそう言ってたから違いねぇ」


「馬鹿なんですか!?そんな出鱈目は通用しない!ラヴクラフト様でも理をねじ曲げられなかったと言うのに!」


 宣告者はその矛盾した発言に気づいたのかすぐに口を閉じた。


 その言動で俺は1つ確信した。


「やっぱり、あいつに権限はないんだな」


「…!?何故…」


 やはりか。


「何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故」


 すると宣告者たちがいきなり壊れたのか同じ言葉を連呼し始めた。


 壊れたのだろうか。


「何故何故何故何故何故何故何故…壊す、毀す、壊す…殺す…ラヴクラフト様に逆らう者には死を」


 宣告者たちの目が赤く輝く。


 それと同時に死を直感した。


「メイッ!」


 すかさず後ろで森羅龍と戦っていたメイに危険を知らせる。


「はい…ッ!?」


 メイも何かを感じたのか右手の人差し指を下に向け、宣告者たちに上から重力を乗せた。


 だが抑えきれなかったのか前にいた宣告者たちが俺に向かって走ってきた。


「くっ!」


 走っても間に合わない、死んでしまうと直感した。


 そして宣告者たちの攻撃が届きそうになった瞬間その攻撃が消えた(・・・)


「…え」


 いつの間にか俺の顔はルナたちが避難した方向を無意識に向いていた。


 その方角から少し幼さを感じる女性の声が聞こえる。


「月ノ神ガ命ズ。黒キ服ヲ着ル者ハ攻撃ヲ辞メヨ」


 そこに立っていたのはルナだった。

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