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勇戦のアルヴヘイム  作者: 葵衣なつ
世界樹祭編
25/35

第25話『イタクァ再び』

 星歴10017年8月15日午前11時07分、ネプト王国・城下町外れ。


 私、ルナはネプトの住民であるエルフの人達と避難のため外れにある広場に向かっていた。


「…子が…泣い…」


「…?」


 向かっている途中、何かの声が森の深くから聞こえてきた。


「どうしたんだい、ルナ?」


「…いや、なんでもない」


 ヨナがそう聞いてきたのだが心配をかける訳にはいけないのでそう返す。


「なんだったんだろう…」


 それからしばらくして広場につき、メイたちと連絡を取ろうとリュックを漁り始めると、またも何か森の奥深くから聞こえてきた。


「彼の娘よ、私を解き放って。我が真名は…『咲耶姫』」


 何か知っている声のような…少し懐かしい感じがして、同時に…。


「…行かなきゃ」


 私はそう呟きながら、無意識に森の中へと入っていった…。


 ◈◈◈◈◈


 星歴10017年8月15日午前11時23分、ネプト王国・城内地下深く。


 ボク、白炎はアルトランドと共に地下へ侵入していた。


 何故ならばアルトランドの妹が地下に幽閉されていると、城内の兵士に拷問した結果判明したからである。


 アルトランド曰く、地下には『ユグドラシルの木』の根っこにあたる部分が飛び出ている部屋と、そこから採れる上質な薬を作るための作業室のよう所があるだけでそれ以外はひたすらに廊下と階段が続くだけらしい。


 なのでボクたちは一番近い作業室と、そこから少し進んだ所にある根っこのある部屋に向かっていたのだ。


「にしても広いね…何階あるんだ」


「ユグドラシルの根っこから作れる薬は国家機密だからな、確か地下13階まである」


 そうなんだ、と思っているとどうやらその13階に着いたようだ。


 階段のすぐ側に作業室と書かれた個室、そして廊下の奥に少し開けた場所があるのを確認できる。


 アルトランドは作業室を調べるようなのでボクは奥の部屋に行くことにした。


 しばらく歩いて奥の部屋に着こうという時、その部屋から何か嫌な気を感じた。


「…誰だ」


 鞘に収めている刀の柄を握り臨戦態勢を取る。


「あら、そこにいるのはあの弟くんじゃない」


「!」


 部屋から出てきたのは見覚えのある顔に、『あの男』の匂いがする女性だった。


人工神話(クトゥルフ)…ッ!」


「ええそうよ、覚えられてるなんて光栄ね」


 その女性の名は『イタクァ』、大気を操るラヴクラフトの人間。


 そして…ボクの兄を誑かした敵。



「お前ェ!殺すッ!!」


 一瞬の内にイタクァの間合いに入り、鞘から刀を抜く。


『齊藤影吾郎流・抜刀術「打ち上げ花火」』、足の付け根から真上に斬りつける師匠の技。


 本来なら魔獣のような化け物に使う技なのだが奴らは人間ではない、躊躇うことはなかった。


「…ふぅ」


 頭の先端まで斬り、イタクァは真っ二つになったが奴らは不死身で再生能力を持つ、油断はできない。


「とりあえず部屋に入ろう」


 早くガスタを探しここから離れなければ、と部屋に足を伸ばす。


 だがすぐに違和感を感じた。


「これは…!?」


 そこには根っこに繋がられた少女の姿があった。


「どうした白炎!」


 そこに作業室から出てきたアルトランドが来る。


 その彼が部屋にいた少女の姿を見て絶望の表情を浮かべた。


「ガスタ…?」


 その少女こそ、アルトランドの妹であるガスタ・ネイチャレスだった…。

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