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勇戦のアルヴヘイム  作者: 葵衣なつ
世界樹祭編
21/35

第21話『メイ・クロスフォード-追憶I-【イマジナリーフレンド】』

「…私の子が泣いている」


 ネプト『ユグドラシルの森』、その中央の開けた場所にぽつんとある『社』。


 その中に置いてある一つの像がカタカタと動き出した。


「森羅を統べし私の子が泣いている…。あの男にいいように操られ、己の愛す自然を他人の意思で壊そうと。そこに己の意思は無く、その先には大いなる悲しみと怒りと憎しみしか残らず。止めなければ…」


 ガタンッ、とその像が倒れると同時にある少女の元に『言ノ葉』が送られた。


「彼の娘よ、私を解き放って。我が真名は…『咲耶姫』」


 ◈◈◈◈◈


 ゴゴゴ…と大地が揺れる音がする。


 なにか化け物のような唸り声が町中に轟く。


 私たちはすぐに地上に出て声のする方角へ走る。


 そこ…広場にいたのは修道服を着た数名の女性と深い緑色の龍だった。


 それは昔、お母さんが読み聞かせてくれた御伽噺に出てくる龍のような姿形をしていた。


 アル様は住民が避難する時間を稼ぐために魔術を行使して龍と戦い始め、ご主人様は私と一緒に怪我人を担いで避難することに。


 途中、右腕を負傷したヨナ様も合流。


 そして広場から離れようと走り始めた瞬間、龍の尾が当たり崩れた瓦礫がご主人様の頭上へと降り注ぎそうに。


 思わずご主人様を頭突きで押し出しましたが石に躓き、倒れてしまいました。


「死ぬ…?」


 その時、私の記憶は途切れた。


 ◈◈◈◈◈


 私、メイ・カトルは普通の家庭に生まれたそこら辺にいるごくありふれた女の子。


 一つ、違う所があるとすればイマジナリーフレンドがいること。


 彼女の名前はメイ・クロスフォード。


 同じ『メイ』で、姿は瓜二つの同じ年の女の子。


 彼女の存在を認知できるようになったのは物心ついた頃でした。


「メイちゃん、何してるの?」


 初めは驚きました、でもいつの間にか生活に浸透していたような気がします。


 彼女は私の話をいつも聞いてくれて、話し相手になってくれました。


 周りの大人や友達は気持ち悪いだとか言ってきたけれど、彼女は私にとっては存在する人で、大切な友達…いや親友でした。


 イマジナリーフレンドがいること以外は普通の女の子でした…あの日がくるまでは。


「お母さん…?」


 私が9歳の頃、学校から帰ると玄関でお母さんが死んでいました。


 どうやら空き巣に殺されたらしいです。


 それからしばらくして葬式が開かれ、そこである男の人が私の前に現れました。


「君がメイだね?僕はウェスタ・クロスフォード。君の父親だ」


 その日、私が産まれてすぐに死んだと母に言われたはずのお父さんが目の前に現れたのです。


 この時私は直感で分かりました、母は嘘をついていたのです。


 一夜の過ちで産まれた私という存在を秘匿しなければ父にとって死活問題であり、その父の名乗った性…『クロスフォード』。


 父は伯爵家の人間だったのです、ですがこの時同時に疑問が湧きました。


 何故今になって父が目の前に現れたのか、それも死活問題であるはずの私の目の前に。


 その父から発せられた言葉、これが私の全てを変えました。


「メイ、君は次期当主候補としてクロスフォード伯爵家の人間となることが決まった」

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