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勇戦のアルヴヘイム  作者: 葵衣なつ
世界樹祭編
19/20

第19話『世界樹祭』

 世界樹祭・前夜、ネプト王国城内。


 その地下にある秘密の部屋、そこには現ネプト国王『イヒド』と黒い修道服を着た女性たち『宣告者(デクレアラー)』がいた。


「国王陛下、アルトランドが何か企んでいるようですが」


『宣告者』の一人、『1』が言う。


「放っておけ。宣告者よ、あやつ一人が何かできると思っておるのか?」


「いえ。ですがここ数日、不審な人物の噂も聞くものですから」


『1』がそう返す。


「ふ、何人増えようともお前ら(デクレアラー)がおれば問題はなかろう。それにこっちには人質もおる」


「…ネイチャレス王家第一王女『ガスタ・ネイチャレス』ですね」


「ああ。あやつとて王族だ。儂に反逆すれば妹に危険が及ぶのはわかっておるだろう」


「…」


「では儂はもう寝る。明日は世界樹祭じゃ」


 そういうと『イヒド』は部屋を出て寝室へと戻って行った。


 しばらくして『宣告者』たちも闇に消え、地下は静まり返る。


 まるで、何も無かったように。


 ◈◈◈◈◈


 世界樹祭・当日。


 私たちはアルトランドという少年の計画を手助けするため世界樹祭が開かれる城下町、その地下にきていた。


「この上は今日祭やるんだよね」


「そうだな。滅びへの序章としての祭りだが」


 アルトランドは下も向きながらそう返してきた。


 そう、今日の祭りはネプト王国の中央にどっしりと構える『森羅龍』ユグドラシルの樹によってもたらされる自然の恵みに感謝する祭。


 だが今の国王は代々ネプトに安寧をもたらしてきたネイチャレス王家を崩壊させ、玉座につき何かを企んでいるというのだ。


 それが今日らしい。


「ご主人様、ヨナ様は持ち場についたようです!」


 そんなことを考えていると後ろを歩いていたメイがヨナからの連絡を受け取り報告してきた。


「…お願い、ヨナさん」


 私はその報告を聞いてそう呟いた。


 しばらく歩き城下町の路地裏に出れる階段の所までくると白炎が「少し計画の確認をしたいので休憩いいですか?」とアルトランドに問いかけた。


「…10分なら」


 そして私たちは確認を始めた。


「まず世界樹祭が始まり国王がユグドラシルの前に出てきたら持ち場についたヨナが射撃する。その後に起こるであろう混乱に乗じてボク、白炎とアルトランドが城内の地下に潜入してガスタ王女を助け出す」


「ふむふむ」


「万が一バレて戦闘に突入することになったらアルが時間を稼ぎ、メイはルナを連れてアルトランドの隠れ家に逃げる」


「ふむふむ」


「…だがおそらくはそう簡単にはいかない。だから各々の判断に任せる。…でいいよな、アルトランド」


「ああ、俺もそう簡単に行くとは思っていないからな」


「…じゃあ行こう」


「ああ」


 時は星歴10017年8月15日午前10時。


 世界樹祭が、始まる。

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