第91話ニャルの気まぐれで別世界に
「……てよ……オウ……オウカ起きてよ!」朝から騒がしい、まだ寝ていたいのに。
「うぅ〜ん、あと5分〜」声の主に適当に返答し、布団を被る。
「早く起きーてー!!」そう言い、私の布団を引っ剥がす、
「あぁ〜、私の至福の二度寝の時間が〜」布団を引っ剥がされ渋々体を起こし、自分を起こしに来た者に視線をやる、
「誰?」こんな、胡散臭い、顔の良さだけが取り柄の、エリナぐらいの身長の美少女なんて思い当たるのは一人しかいない。
「なんで覚えて無いのさ! 人のこと容赦なく殴っといて、忘れたなんて酷い!」面倒くさい子だな〜
「冗談冗談、で何の用ニャル?」どうせ碌なことではないだろうけど、一応聞いてみることにする、
「今回はね! どうせ暇して、無駄に時間を浪費してるだけだろうと思って、館の一室の扉を別世界に繋げて、おいたよ!」ほんとに碌でもない事してる、この邪神は、何を考えているのだろうか。
「で、その別世界に繋げて私に何させようって?」そう聞くと、ニンマリと笑い、無い胸を張り誇らしげに言う、
「繋げた先の世界を救ってきてよ! 大丈夫大丈夫、誰か一人同行させるからさ!」そういう問題じゃないんだけどなーと、心の中で言いつつ、
「てか私がこっちにいない間、もしも私に依頼とか来たらどうするのよ?」前回調査した、モンスターの件もあるし何が起こるか分からないから、少しの遠出ならまだしも、別世界に行くとなると、対処出来ない。
「そのへんも安心して、君が居ないない間は、私が君に化けて演っておくから」そう言い、姿を私そっくりに変化させる、パット見は、私だがよく見ると違和感を感じる、何か私とは違うそんな感じがする、
「ほんとに大丈夫なの? 何か違和感感じるんだけど?」万が一バレてこの邪神になにかあったらと、思ったがまぁ、邪神だし大丈夫か。
「そこまで心配してくれるって事は、行って来れるんだね!」しまった、ついつい行くみたいな感じを出してしまった。
「はぁ~、どうせ行かないって言っても強制的に行かされるんでしょ?」どうせこの邪神の事だ何があろうと、強制的に放り込まれるから、変わらないが自ら行きますみたいな事を言うと更に面倒臭くなる。
「じゃあ誰連れて行くか決めておいてね! 繋げた世界は情勢が情勢だから、獣人族の子とか、魔族の子とか、連れて行くのオススメだよ!」そう言うとスタコラサッサと出て行った。
取り敢えず、皆にこの事を話す為リビングに向かったが、皆ニャルから話を聞いたらしく、キラキラした目でこちらを見ている。
「お姉様、誰を連れて行くんですか?」なんでこうもノリノリで、別世界に行く事を楽しみにしているのか、分からないが、私はゆっくり過ごしてるだけでいいのに、誰を連れて行こう?
何か魔族の方が良い的なこと言ってたよね、まぁ年齢も私に近い(?)なカナンにたのもうかな?この屋敷の警備ぐらいは他の子達で出来るだろう、最悪あの邪神も居ることだし。
「うーん、考えたけど、カナンと一緒に行こうと思うよ、エリナ達も強いけど、なにかあった時が大変だからね。
ところで、ニャルは何処に?」私の言葉を聞いて、少し残念そうな顔をエリナ達が見せる、(私だって皆を連れていきたいけど、必ず守ってあげられるとは限らない)
「あの子なら、あっちでジュンコちゃんと遊んでるのだ!」ガウルが指を指した方を見ると、ジュンコと、楽しく遊んでいる、邪神の方へ近寄り声を掛ける、
「ニャル、聞き忘れてたけど、別世界に行っても、私のスキルとか持ち物とかって、どうなるの? それと何したら、こっちに帰ってくれるの? 情勢がどうの、言ってたけど、具体的にどうな感じなの?」
「大丈夫だぞ! この世界と同じように問題なく使えるぞ! あっちの世界を救ってたら、帰ってこれるぞ! どんな感じかは、行ってのお楽しみだ! 扉の先は魔族領に続いているとだけ言っておくぞ! さっそく、カナンと一緒に行ってくるのだ!」スキルとかが使えるのは良いが、長くなりそうだ。
「アイテムとかも、自由に使えるの?」
「この世界と同じで使えるのは全部使えるぞ! ほら早く行ってくるのだ!」なんでそんなに、急かすのかは分からないが、大人しく行くことにしよう。
「カナン、行くよ準備は良い?」
「私は何時でも行けるわよ~、あっお酒飲んで良い?」
「カナンってお酒そんなに飲んでたっけ? 昨日も飲んでなかった?」たまに飲んでいるのは見ていたが、ここ最近、飲む回数が多い。
「なぁに〜? 心配してくれてるの〜? 可愛いわね〜、お姉さん嬉しいわ〜」もう飲んでるしかも完全に出来上がってる、この調子で別世界行って大丈夫なのだろうか不安しか無い。
「取り敢えず〜扉潜っちゃいましょ〜?」でろでろに酔った、カナンに促されるまま、扉を潜る。
「じゃあ皆行って来る、帰って来るまで屋敷の事よろしくね」皆に挨拶をし、別世界へと旅立った。
扉を潜ると、視界が真っ白に染まり目を閉じる、次に目を開けると、そこはあたり一面荒廃した大地が広がっていた。
「カナン、どの方向に進む? 近くには、魔力探知しても反応ないけど?」魔力探知を試して見たが、特に反応は、無い。
「あっち側になにかあるわよ〜?」そう言い、カナンは右を指差す、私の魔力探知には反応は無かったが、何かの建物が、あるのだろう。
取り敢えず、そちらの方へしばらく歩いていたが、一軒の小屋が見えてきた、中を確認すると、小さい子供の死体が何人分か置いてあった。
「死体ね、見たところかなり腐敗が進んでるわね」冷静にカナンが、分析している横で私は激しい吐き気に襲われ、まともに小屋の中が見れなかった。
「ごめん、カナン私外に居る」そう言い、外で、カナンが出てくるのを待つ事にした。
少ししたら、カナンが小屋から出てき、中の状況を、教えてくれた。
「中には死体と、メモがあったわ、死体は、恐らく獣人の子供ね、メモには謝罪の言葉が大量に書いてあったわ、後地図が置いてあったわ、恐らく近くに、魔族の作った国があるみたいよ取り敢えずそこを目指しましょ?」そう言い、地図を、見せられたがなんて書いてあるのか全く分からない。
「カナンここに書いてある文字とか読めるの?私には何が書いてあるかさっぱり何だけど?」
「ん?ニュアンスでしか分からないわよ? 大体こんな感じの事ぐらいしか分かってないわよ?」えっ、それはそうでしょみたいに返された、
「文字が読めないって事はだよ? 普通に考えたら、言葉とかって、通じないのでは? その辺りどうしようか?」悩んでいると、カナンから、
「あぁ、言葉は多分通じるようになってるんじゃない? だって、元の世界の方でも貴女、私達と普通に会話出来てたじゃない、だから大丈夫よ多分……」そういえば、あの世界でも、普通に言葉を、交わせていた。
「じゃあ大丈夫か〜、じゃあ取り敢えず、この国の方に行こうか」そう言い、私達二人は歩き始めた。
かなり歩いただろう、一切変わらない風景に飽きを感じながら、それでも足を止めずに歩いていると、二人の魔族に声をかけられた、
「そこのお前たち、止まれ! これより先は、魔王領であるぞ!」二人ともかなり大柄の、ヘビの頭をした人型の魔族だ、
「フンフン、お前片方は魔族だがもう一人は人間だな? なぜ人が我らが領土に来た? 生贄は先日捧げたばかりだが?」何やらこの世界は、かなりの訳ありな感じだ、人間が悪か、魔族が悪かは、まだ分からないが、取り敢えず話を、聞いてみよう、カナンにアイコンタクトを取り、話を進める、てか普通に言葉が交わせているのは唯一の救いだ。
「まぁまぁそんなに、殺意を出さないでもいいでしょ? それに私達は、別に貴方達と、敵対したいわけじゃないのよ? 取り敢えず私達の目的は、この世界の救済よ、何もしなければ、貴方達とは、敵対しないわ、それに私達この世界のこと何も知らないのよ、色々教えてもらいたいのだけど?」お返しと言わんばかりに威圧しながら、カナンが言うと、
「おい、まさか伝承に語られていた、異世界からの救済主ってこの二人のことなんじゃ?」
「いやだが伝承では、魔族二人じゃ無かったか? 一人人間だぞ?」とかなんとか色々二人で話し込んでいる。
「取り敢えず中へ入っても良いのかしら?」カナンが言うと、
「少しお待ちを! 王に謁見出来るよう、話を通しています」そう言い、待たされることになった。
待っている間少しだけ聞いたが、この世界では元々、人間と、魔族は、互いを認め合い、友好関係を築き過ごしていたそうだが、ある日とある国の王が変わったことをきっかけに、魔族を差別し始め、地底深くへと追いやられたそうだ、今回も戦いは避けられそうにない、出来るだけ争いは避けたいのに嫌なものだ、私は、はぁーとため息を漏らすしかなかった。




