第五十八話山賊の襲撃
あれから少し経ち、私達は平穏な日々を過ごしていたある日のこと、高年のお爺さんの村長であるデナハニさんが息を切らしながら私達の家を訪ねてきた、「ハァハァハァハァ、オウカ様大変じゃ!」声を裏返らせながら言うその慌てようからただ事ではないのが見て取れるが、一体何があったというのだろうか?
「デナハニさん? 一旦落ち着いてください、はいお茶です。 そんなに慌ててどうしたんです?」
お茶を渡しながらその慌てている理由を聞くと、「おぉ、これはすまないのぉ、実はこの村の近くに最近になって山賊が姿を表すようになったとの報告があったのじゃ! 奴らは前からこの村に現れては、若い女を攫っていくのじゃ、あのモンスターが現れてからは来なくなったが居なくなったと分かったらまた来よった! お願いじゃ! 奴らを撃退してくれ!」その必死さからは、嘘をついているようには見えなかった、あのまず人のことを信じないカナンさえも、「嘘はいってないわね」と耳打ちしてくるほどだった、まぁこのことが嘘でも、最初から引き受ける気でいたので、
「分かりました、その依頼引き受けましょう、ですが一つだけお願いがあります、私達が山賊を撃退している時は、誰も私達の姿を見ないでほしいのです、お願いできますか?」何故このようなお願いをしたのかと言うと、私に力を貸している神が『久しぶりに我も外に出たーい』と駄々をこねているためである、私のお願いに疑問を抱いたデナハニさんが質問してくる。
「何故、誰も見てはいけないのですかな?」
「そうですね、万が一見てしまったら二度と正気には戻れなくなりますね、少しだけですが私怨がありまして、徹底的にやってしまうんですよ、その姿は修羅のようだと言われたことがありまして、貴方達の想像以上に私はその姿を見られるのを嫌うのでね、お願いです」
そう言うと、デナハニさんは何かを察したかのような顔をし、「分かりました、そのお願い村のもの全員に守らせましょう、では私はこれで、村のもの全員に伝えてきます」そう言い、出て行った。
その後に、どういうことなのか理解できていない、エリナ達からどういうことなのかと当然ながら質問を受けた、「どうして、戦っているところを見るな何て言ったんですか?」
エリナ達に私の中の神様が外に出たがっていることを伝えると、納得したように「あぁ、そう云うことですか」とだけ言い、準備を開始した。
そうこうしているうちに、見張りをしていた村人が大声で「山賊だ! 山賊が現れたぞ!!」と叫ぶ。
私は指定の位置に移動し山賊達が現れるのを待つ、村人の避難はカナン達がやってくれている為私はただ山賊達がやってくるのを待っていたのだが、物事はそううまく行かないようで一向に来る気配がないすると、北門の方から音が聞こえた、この村に入るのには二つの門があるのだが、私がいる南門には来ないでわざわざ、迂回し北門の方へと向かっているようだ、「クソッ! 何でわざわざ迂回なんてするのよ!」そう愚痴を吐きつつ北門の方へと走るのだが、果たして今から間に合うだろうか?
そんな思考が頭をよぎるが、「いや間に合う!」そう言い、覚悟を決め、全力疾走して北門へ向かう。
「良いですか、北門の私達は来ることはないと思いますが、こちらに来た山賊の撃退です良いですかガウル何があっても失敗だけはいけませんよ?」真面目な顔でエリナは言うが、一方のガウルは、真剣には聞いていないようであくびをしながら聞いている、「もう! 聞いているのですかガウル!」怒っているエリナをよそに、ガウルは足音がこちらに向かって来ていることにいち早く気づいていた、説教をしているエリナに向かい何時になく真面目な顔で、「エリナ! こっちに山賊来てるのだ! もうすぐ、来るのだ!」真剣な顔で言うガウルを見ては、とても嘘ではないことはわかった。
すぐさま、戦闘準備に入る、だが目視出来た山賊の数は、予想の三倍ぐらいはいた、「こんなの聞いてないわよ! なんでこんなにいるのよ!」混乱している私をよそに、ガウルは冷静に「エリナ! 神様の力を使うのだ! そうすれば、お姉ちゃんが来るまでの時間は稼げるはずなのだ!」その言葉で、ハッとしてすぐさま準備に取り掛かる、だがすぐには召喚出来ないため、ガウルの方を見、少しだけ時間を稼ぐように指示をする、「ガウル! 少しだけ耐えなさい!」そう言うと、意図が伝わったようで、短く「わかったのだ!」とだけ言い、山賊の前に立つのであった。
山賊の前に立つと、スキンヘッドの明らかにボスという男が、一歩前に出て、声をかけてきた、「よう、嬢ちゃん、お前見ない顔だな? この村に来たっていう、新しい冒険者か? ちっと若すぎるが玩具するにしては、丁度良さそうだな、なぁ野郎ども?」そう言うと、後ろに居た男達は、「ゲハハハ!」と小物臭漂う笑い方をする、(うわー明らかに小物臭漂う笑い方なのだ)心のなかで言っていた筈が、顔にはでていたようで、男がまたこちらを見て、「お前俺たちを誰だと思っている? 天下の山賊ギルド、”黄昏の略奪者“の幹部様一行だぞ!」
そんな事を言うが、率直な感想は、「その黄昏の何とかって何なんなのだ? いくらなんでも名前ダサすぎるのではないかなのだ」そう言うと男は、眉をひそめ明らかに怒ってますよと言わんばかりに体を震わせて、顔を真っ赤にし、こちらに怒鳴ってくる、「てめぇ何処まで俺たちを馬鹿にしやがる! 玩具にしようと思ったが、てめぇはここで殺す!」そう言い、拳を振りかざして来る、だがその拳は私に当たる前に地面に落ちた。
その場に居た山賊達は何が起こったのか分からないでいたが、あたしには、何が起こったのか、分かり胸を撫で下ろしていた、安堵した表情で、後ろを振り返り、お姉ちゃんの元へ駆け寄る、「どうにか、時間は稼いだのだ後は任せたのだ」そう言い、村の中へ入る。
「私の家族がお世話になったようだね、それのお礼をしに来たよ!」そう言い、私に力を貸している神をこの場に顕現させる、顕現した神は、やっと出れたと言わんばかりに体を伸ばし始める、そして不気味な笑い声を上げ山賊達に攻撃を開始する。
その様子を、見ていたがそれは戦闘なんて呼べるものではなく、一方的な虐殺であった、その光景に私は目を逸らしながら、猛烈に遅いくる吐き気を我慢するしかなかった、背後からはグチャグチャと何かを潰すような音やゴキッコギャッ等良く分からないが、目を背けたくなるような、光景が広がっているのだろうというのは、想像に難くない。
そして、何分か経った頃、音が止み振り返ると、かの神は満面の笑みでスッキリしたーと言わんばかりの顔で立っていた、あれだけ暴れていたのに血の痕跡などは何も残っていないのを不思議に思い聞いてみたが、『流石に、此処一面を血の海に還すのは、混沌を好む我でも気が引けたのでなサービスだ』そう言い、消えていった。
「あっ、ちょっと」そう呼びかけたが、消えるのが早く居なくなっていた、まだ聞きたいことはいっぱいあったのに、やるせない気持ちになったが、取り敢えず依頼は完了したので、村長の元へ報告しに行くのであった。
その後、聞いた話だが、今回襲ってきた山賊は、幹部の中でも最弱クラスのやつだったらしくまだまだ上がいるとのことだった。
未だいるのかと、思い口をぽかーんと開けていると、かの神からまた来たら我が殺ると頼もしい?返答が来たので大丈夫であろう、そう思い、家へ帰るのであった。




