第五十話狩りは続く
次の日も、またギルドの依頼でモンスターを狩り続けていたある日のこと、あの黄色のローブに身を包んだ男が現れた。
その男は自分を、■ス■■と名乗り、害を与える気はないとのことだ、じゃあ何故私を遠くから観察していたのかと聞くと、「君の仲間に、気になるやつが居たそれ故観察していた」
「気になるやつ? 誰のことだ?」
「カナンといったかな、あやつが使役している、あれに興味が湧いている、普段のあやつなら、お前ら全員死んでいるはず、なのに生きているそれが気になるのだよ」
「私達に危害さえ加えなければ、いくらでも観察するといい、だが一線を越えたら貴様を敵と見なし排除する良いか?」
「無論だ」そう言うと男は風が吹くと消えていた。
家に帰り、カナンにあったことを話すと、「別に良いけど、あのワンちゃんが大人しくしてるとは限らないわよ?」
「えっ、いやそんなに危険なの? よくそんなの飼い慣らしてるね?」
「なんか気に入られちゃたみたい」そんな会話をして、次の日に備えて早めに休息を取ることにする。
次の日は、新たに新種のモンスターが発見されたとの報告がありそれの調査を依頼された、その依頼を受け現地へ行くと、その地は荒れ果て草木が根こそぎ無くなっていた。
「まるでショベルカーで掘り起こしたみたい、一体どんなモンスターなのだろう?」そうして探していると、こちらに猛スピードで接近してくる反応があった、私はまぁ気配遮断スキルを使っているから大丈夫だろうと思っていたのだが、明らかにこちらを狙って接近してくる。
(マズイ!)そう思った時には私の体は宙に舞っていた。
(しまった! 油断した!)そう思いモンスターを見るとこちらに追撃をしようとしているところだった。
軌道をかえ無理やり攻撃を避ける、そして追撃を何とかやり過ごし向き合うが相手の方が早く防御するので精一杯なほど苛烈な攻撃を仕掛けてくる。
このままでは防戦一方だ、何か手はないものか、そう考えていると、私の中から、湧き上がる思いがあった、それは全てを消し去りたいという野蛮な思いだった。
(この思いに飲まれてしまったらどうなるのだろう?)そんな事を考えているのもつかの間、気がつくと私は無意識に化身を呼び件のモンスターを、切り刻むように指示をしていた。
あとに残るは、切り刻まれたモンスターの破片だけになり、それは調査の失敗を意味していた。
「しまった、やってしまった、これじゃ当報告すればいいか分からないな」そんな事を言っていても仕方ないのでありのままを話すことにする。
ギルドへ戻り報告をすると、「無事ならそれでいい調査は、またの機会にすれば良いどうせまた出てくるだろう、モンスターというのはそう云うものだ」と逆にこうなることが分かっていたような口振りで言われた。その後も、他のモンスターの討伐で忙しくその日も帰り着いたのは、夜遅くになってからだった、「何だか、サラリーマンになったような気分だわー」愚痴を吐きつつ湯船に浸かり疲れを癒やしていると、マリーが入って来た。
「ご主人様お隣よろしいでしょうか?」
「勿論、マリーっていつもこの時間に入ってるの?」
「大体はそうですね、や引きのことが色々ありますから」そう言う割には疲れをまったく見せない、不思議に思った私は聞いてみることにした、「マリーは疲れって見せないけど、本当に大丈夫? 休みたい時とかは、好きに休んでいいんだからね?」
「有難き御言葉ですが、私は元からそう造られた物ですから、疲労はまったく感じないのです、こうして湯船に浸かるのも何となく楽になっているように感じるだけで本来なら入る必要はないのですよ」
「でも見ている私からすると、たまには休んで貰いたいな、いっつも働いているといつか支障が出ると思うの」
「それなら、明日の討伐依頼私も同行させて頂きたいです」真っ直ぐに目を見て言われると、緊張するが「良いよ、その代わり絶対に無理だけはしないでね? あれ? それだと休みにならなくない?」そう言うと、「屋敷のこと以外をすることが私にとっては休みみたいなものです」と言われた。
次の日、今日の依頼は、エルドシンスベアーの討伐か、これなら少し時間は掛かるが何とかなりそうだと、思いつつ、マリーのもとへいくのであった。
「マリー今回の依頼は、エルドシンスベアーの討伐よ、パンサーベアーとの区別の仕方はわかる?」
「えぇ、パンサーベアーに比べ体格が大きく、お腹に赤い線が入っている個体です」
「それだけ分かれば問題ないね、良し行こうか」そう言い狩り場へと向かうのであった。
狩り場へと着いたが何かがおかしい、全くと行っていいほど生物の気配がないのである、マリーも不思議に思っているようで、「? おかしいですね、生物の気配がしません」そう言っていた。
しばらく当たりを探索していたが、生物の痕跡すら無いまるでこの場所からすべての生物が逃げていったようだ。
「一端帰ってこの状況を報告しようか」そう言い帰ろうとした時、森の何処かでパキリと、枝を踏むような音が聞こえた、「マリー戦闘態勢に」静かにそう言い臨戦状態になるが、音の主は現れない。不思議に思っていると、今度は背後から音がする、今度は、明らかに咆哮のようなものだ、慌てて後ろを向くとそこには私達の倍以上はあるであろう、巨大な熊が立っていたそうこのモンスターこそが、今回の獲物であるエルドシンスベアーである。
私とマリーは、同時に地面を蹴り、エルドシンスベアーへ突貫するのであった。
それから何十分かたった頃、ようやくその巨体は地面に伏していた、「お疲れー、マリー今回はとてもと強い相手だったね」そう言うと、マリーは、「ご主人様は、いつもこんな相手を狩っているのですか?」
「? そうだけど、それがどうかした?」
「最早貴女様はAランク冒険者ではなく、その上のSランク冒険者ではないですか?」
「言い過ぎだよー私なんかよりも強い人が居るんだから、私なんてまだまだだよー」そんな会話をして、ギルドへ戻り報告すると、目を丸くされ、「昇格の手続きを!」と言われ、昇格の手続きをしていた。結局、マリーの、言う通りSランク冒険者になりエリナ達も、Sランク冒険者になることになった。
これからは更に危険なモンスターどの戦闘があるそうなので、気を引き締めて挑むとしよう、と心のなかでそう呟くのであった。




