第三十七話不穏な影
ある程度街が安定してきた時、商人がやってきた、「おっ、君が新しい君主かい? 俺は商人の花瀬透だよろしく。 ところで、売り物になるようなものはあるか?」
「オウカだよろしく、売り物になるようなものか、ちょっと待っててくれ」そう言い、育てていた作物や布を持って行く、それらを見せると、透さんは驚いたように目を開きながら。
「こんなに上質なものどうやって作ったんだ? これだけ上質なら高値で売れるぞ」
「ちょっと、工夫をしただけさ、売上の何%かこちらにくれればいい」
「分かった、期待しててくれ」そう言い、透さんは品を売りに行った。
「これで財政は安泰かな?」
一度家へ戻り、この事を皆に報告したら、とても嬉しそうにしていた。
アネスは、まだ記憶が戻らないようで、今はまだ只の魔族の女の子の状態だ、ガウルに懐いているようで、一日の大半をガウルと一緒に過ごしている。
「今日は他になにかやることってあったっけ?」
「今日は、お姉様教会の手伝いがありますよ、その後は、街の人達が増えるようなにかの策を講じるのもありますよ」
「うへぇー、ハードな一日だー」そう言いつつ、エリナと、一緒に教会へと向かうのだった。
扉を開けると、真那さんが壊れたステンドグラスを直している最中だった。
「真那さん、何か手伝うことは?」
「それなら、椅子を直してください」そう言われ、椅子を直していくことにした。
「エリナ、直すのって簡単?」
「えぇ、簡単ですよ、直したい物の、完成形を意識して魔力を流すだけです」
「思ったより簡単だね、さっそくやってみるよ」そう言い、やってみることにした、言っていたとおりとても簡単で、すぐに直すことはできた。
「おぉ~、すごく簡単に出来た、何かおもしろーい」
エリナの方も終わったらしく、黙々と椅子を、直していく、全部終わった頃には、昼を過ぎていた、「オウカさん、エリナさんありがとうございます、そろそろお昼にしませんか?」そう言われ有り難くお昼を貰うことにした。
「二人のために、お弁当を作ったので、食べてみてください」そう言い弁当箱を差し出す。
「ありがとう」そう言い弁当を開けると、とても美味しそうな料理が入っていた、一つ食べると見た目通りとても美味しい、ガツガツと、一気に全部食べ終えてしまった。
「とても美味しかったよ、ありがとう」エリナの方も大方同じく、一気に食べたようだ。
真那さんが笑顔で「お粗末様でした」と言う、その笑顔はとても眩しかった。
さぁ次の場所へ向かうとしよう。
エリナと一緒に、街の方へと歩いていく。
「真那さんとても料理上手でしたねお姉様」
「ねっ、毎日食べたいぐらいだよ」そう話していると、人だかりができているところを見つけた、「どうしたんですか?」エリナが声をかけると、一人がこちらを振り返り、「おぉ、領主の実は、盗みを働いた者が居りまして、その処分をどうするか話していたんですよ」
「この街では、以前はどうしていたんだ? 決まらないなら、以前と同じでいいのではないか?」
「そうですな、他にいい案もないですし、以前と同じでいいでしょう、皆領主様から以前の処罰でいいと、許可が出た」そう言い、皆言うと他のものはそさくさと、準備をし始めた、「なにが始まるんだ?」
「以前は、罪を犯したものは、奴隷に落としていましたので、奴隷の紋章を刻む準備ですよ」
「なるほど、こういう感じなのか」感心していると、すぐに紋章は、刻まれ馬車に乗せられ、連れて行かれた。
「そういうことなら、先言ってくれればよかったのに」エリナが、少し目を伏せながら言う。
エリナをなだめつつ、何か手伝うことはないか聞くが、特に何もないと言われその日は、家へと帰るのであった。
家へつくと玄関で鎧を着た騎士のような人が立っていた。
「なに用かな?」そう声をかけると、「お前がここの新しい領主か? せめて、自分の、奴隷ぐらいちゃんと躾けとけよ!」そう言い、どこかへ行ってしまった。
「何だったんだ?」エリナと顔を見合わせ、家の中へ入る。
「ただいま〜」
「お帰りなのだ!」ガウルが嬉しそうに、こちらへ来る。
「そういえば、家の前に騎士がいたんだけど何か知らない?」
「なんか上から目線て苛ついたから、返り討ちにしたのだ!」誇らしげに胸を張る。
「あまり乱暴はだめだよ? 相手がどんな人がわからないんだから」頭を撫でながら言うと、「分かったのだ! 次からは気をつけるのだ!」と返ってきた。
「さっ、お風呂に入ろ?」そう言い、お風呂に向かうのであった。
「今日の夕飯担当は誰だっけ?」
「今日は、エリナなのだ!」
「エリナか、どんなメニューだろ?」
「肉なのだ!」
「ガウルは何時もでしょ」何気ない会話をしながら、お風呂に入っていた。
そうこうしているうちに、早いことで夕飯の時間へとなった。
ガウルの、言った通り、主に肉料理が並んでいた、しかも性のつく料理ばかり。
「あのー?エリナさん?」
「お姉様には頑張ってもらわないといけませんからね」照れながら言う、私はハハハと、苦笑いをしながら、料理を口へ運ぶ、エリナの料理は、美味しいので、ついつい食べすぎてしまう。
この時、窓から覗く人影があったのには誰も気付いていなかった。




