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13 最終回

 

 え、この人何いってんの?


 それがモゼリーの心の第一声であった。だが、彼女はハッと思い出す。



 クロードがモゼリーを妻に迎えたいと言い出したのは、悪女を望んでのことかと思っていたが、国王との謁見で聖女の噂を喜んでいたように思われる。




 では、クロードはモゼリーを欲して婿入りしたいと言い出したのではなく、別の目的があったのではないか?




ーー例えば、モゼリーの住まう国、オレオ島とか。




 王妃はチラッと側妃様にいじわるをしてきたかのようなことを言っていたが、離宮に籠もっているというのは相当なものだったのかもしれない、とモゼリーは思い当たる。




ーーもしかして、側妃様をオレオ島に連れてきたい、療養させたい、というのが真の目的なのでは?




 だが、クロードの意思に反して、モゼリーが王妃に認められてしまった今、オレオ島へ側妃様を受け入れさせたくても横槍が入ると危惧したのではないだろうか。





「側妃様を、お母さまをオレオ島に連れていきたいということでしょうか」


「え?」


 モゼリーの問いかけにクロードは驚いた。

 想像を思いっきり逸れる回答だったからだ。



 だが、その言葉で彼は国の混乱を避けることや、モゼリーへの恋ばかりに気が取られ、母のことを自分が配慮出来ていないことに気がついた。




「よいのだろうか……」


「療養目的だときちんとお話しすれば、今の陛下なら、分かって下さるのでは……」


 クロードは思う。




 モゼリーは自分の何倍も包容力のある、優しい女性なのだろう。だからこそ恋心には疎いのかもしれない。


 ならば、生涯かけて、彼女にこの思いを伝えなければ。




「モゼリー姫、ありがとう。俺は貴女を愛している。叶うならば生涯、貴女を守る権利を俺にくれないだろうか」


 クロードは一歩進み出ると、モゼリーを抱きしめた。



 初めての抱擁、初めての愛の言葉に戸惑いながら、顔を赤くするモゼリー。



 彼女は、恋心というものを知らない。



 だが、クロードのことは初めて会った時からなぜか気になる存在だった。


 見合いの時に、彼に自分のことを気に入らないか? と尋ねられた際、正直者の彼女が、とても気に入ったと思わず答えてしまうくらいに。


 モゼリーはオズオズと抱擁を返す。




「よろしくお願いします。クロード様」



 ★



 翌年、オレオ島では盛大な結婚式が行われた。幸せそうな新郎新婦の隣には、新郎の母が泣きながら息子の幸せを喜んでいたと言う。




 ガリア国王と王妃はかつての側妃と息子への罪滅ぼしも込めて、自らが在命の間は、オレオ島への限りない支援を誓う。



 

 次期オレオ島の国王となるクロードは、これまでの経験を活かしガリア国からの守護がなくなった際に、他国から攻め入られても自国を守れるだけの自衛の力に尽力した。




 彼の発案で出来た街づくりと湾岸に作られた防衛壁は、後の平和な世では観光名物として人気をはくしたと言う。





 モゼリーは今日も、妖艶な美貌に聖女のような微笑みを浮かべて、愛する夫が紡ぐ不慣れな愛の言葉に頷く。


 いつしか恋していたクロードに彼女は、今日こそ伝えるのだ。


「愛しています」

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長編に挑戦したいと言いながら、

2万字ちょい……(´д`)


でも、作者的には新記録です!笑


最後までお読み頂き、

ありがとうございました! 





 

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