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私が、ヤンデレ男に好かれた話  作者: 松花 陽
8/14

ヤンデレが、ついに本性を?!

〈希の視点〉


女「君、よく来るね?本好きなの??」


とある図書館で、僕は本を読んでいた。すると、少し前から話しかけてくる大きなお姉さんが僕の横からやってきた。ここで会うのは、三日ぶりだ。


希「……うん、まあ好き。暇を潰せるくらいには」


女「ふーん。因みに何読んでるの?」


希「これ」


と言って、その本の表紙を目の前のお姉さんに見せる。すると、お姉さんは驚いた顔をしながら、


女「えー嘘!めちゃくちゃ難しい漢字ばっか書いてある難しい本じゃない!!」


希「……そうなの??」


女「そうよ!よく読めるわね」


希「漢字の読みとか意味はわかってるけど、よくわかってない」


女「??……どういうこと?」


希「言葉はリカイしてるんだけど、なんかよくわかんないって感じがするの。例えばこの恐縮って漢字も、意味は覚えてるけど、よくわからないんだ」


女「そうなんだ。……じゃあ、お姉さんがそういうの教えてあげよっか!私、女子大生であなたから見たらお姉さんだから、なんでも教えてあげられるわよ!」


希「本当!!やったぁ〜!」


懐かしい記憶の断片が、暗い空間の中で脳裏に浮かぶ。あの人は……よく僕に話しかけてきてくれた人。今頃、何やってるんだろうか??そこで、記憶の映像は途切れる。それからは、暗い空間だけが目の前に映るだけだった。


「………み……ーー…ぞみ……」


すると、誰かが僕を呼んでいるような声がした。僕は、声がする方に行こうとして……。

そして……。


柊「希、起きて!!」


希「っ!?」


目を開けると、眼前に里紗穂の顔があった。何故だろうと考えると、瞬時に膝枕されている状態だと脳が結論を出す。まさか、里紗穂に膝枕をされる日が来るだなんて……。なんて幸福なのだろう!!しかも、寝起きに最初に映る光景がこの瞬間というのも幸福だ。僕は今、一番幸せな時を味わった。と思いながら心の中でめちゃくちゃはしゃぐ。


柊「よかった、起きてくれて……。はぁ…このまま目覚めないんじゃないかとヒヤヒヤしちゃったよ」


希「……ねぇ、里紗穂」


柊「……ん?何??」


そうして、僕は言った。……その確信をつく答えを。


希「君って、着痩せするタイプなんだね!」


柊「どうやら本当に死にたいようね。本気で殴るから歯を食いしばりなさい」


希「はははっ!………マジすんませんした」


ガチめに怖かったので、苦笑しつつ丁寧に謝罪した。


柊「謝るくらいなら言わなきゃいいのに……」


と言いながら、いつものように呆れたため息を吐く彼女。彼女から、殴る、という単語が出てくるとは珍しい事もあるものだ。だが、あんなに怖い顔を見るのは初めてだな。寝起きに拝みたくはない表情だった。割とマジで、死ぬかと思った。


希「……そういえばなんだけど。いつの間にか僕、着替えられてるみたいだけど……?」


柊「……えっと、ほら!?せっかくのアンタの優しさを無下にして、しかも気絶までさせちゃったからさ。そのお詫びとして、頭を洗ったりしてあげただけ」


希「洗う……もしかして体も??」


柊「頭だけよ!!服を着させる時に見てしまっただけなんだから!!」


希「別に、君に見られたり触られたりしたからと言って、僕は気にしてないよ?僕は君の半裸を見たわけだしさ!………無言で拳に力入れるのやめてくれません???」


やばいな、この話題はもうしないでおこう。彼女の表情が変わる様を見て、一瞬でそう察した。


希「にしても、君のお膝は柔らかくてまた寝てしまいそうになるくらい豪華な枕だな……」


柊「嬉しいんだけど……。重いからさっさと頭を上げてちょうだい」


希「はーい!!」


そうして、僕は言われた通りに頭をどかし、里紗穂の方へと向き直った。


希「……お?また勉強??」


柊「うん。アンタがいなくても、勉強しないとって思ったからね」


希「ふーん。……あ、ここ違うよ」


柊「え??」


希「ここの式ややこしいからね、でも惜しいところまで出来てるよ。すごいねー!」


と僕が彼女の事を褒めると……。


柊「惜しいじゃダメだ。ちゃんと解けないと……」


と、彼女がそうボソッと呟いたのが聞こえた。僕は聞こえていないふりをしながら、彼女にそこの解き方を教えるのだった。


□□□


それからだいぶ時間が経過し、気づけば十時頃。僕たちは就寝しようとしていた。


柊「それじゃあ、そろそろ寝ようか」


希「うん。それはいいんだけど……」

「僕は、どこで寝ればいいの……??」


柊「一応押し入れの中に布団が一式あるからそれで寝てくれればいいよ」


希「ちぇー、もしかしたら君と一緒のベッドで寝られると期待してたのに……」


柊「そんな期待、するだけ無駄だからやめて。布団で寝られるだけでも感謝しなさいよね、全く……」


と呆れつつも、押し入れから布団を取り出し、テキパキと僕が寝る布団を準備する。そうして五分も経たないうちに、布団は敷かれた。


希「早いなぁ!」


僕は驚いた。まさかこんなにも早く布団を敷ける人がいただなんて、思わなかったからだ。


柊「昔、お母さんの実家に行った時、よくこういう布団で寝てたから、慣れてるのよね」

「ほら、さっさと寝るわよ」


希「はーい!」


そうして、僕は念願の里紗穂がいる部屋で、一つ屋根の下、寝ようとしていた。

だが、僕の心は極限まで興奮していてなかなか寝付けなかった。彼女も、さっきからモゾモゾとしており、寝れていないようだった。

気づけば、僕は彼女に声をかけていた。


希「……眠れないのかい?」


柊「なっなんだよお前、起きてたのかよ??」


希「うん。ちょっと落ち着かなくてね」


柊「……私も。一応言っとくけど、アンタがいるから落ち着けないからであって、あなたみたいに興奮して寝れないわけじゃ無いからね」


里紗穂は、念を入れてそう言った。

そんなことは、最初っから分かりきっていることだ。てか、なんでわかったんだよさとり妖怪かよ凄いな!と、そんな事を思いながら、僕は彼女を……押し倒した。

ドサッ!!っと……体を前屈みにして覆いかぶさりながら彼女の手首を掴み、起きれないように封じる。


柊「……っ!?!?」


希「捕まえた♡」


柊「ちょっと、何するのよ!」


里紗穂は、必死に僕から逃れようとするが、僕は動くことはなかった。僕だってこれでも男だ。女に力負けするわけがないのだ。それに、押し倒してしまえばこっちのものだ。僕は彼女の顎に手を添えて、クイッとこちらに顔を向けさせて、無理矢理にでも視線を合わさせる。


希「君がいけないんだよ。僕を愛してくれないから。だからこうやって、君と既成事実を作らなきゃいけなくなる」

「ねぇ、里紗穂。……僕の事は好きかい?」


そんな、本当にヤンデレになった奴みたいなセリフを言う。それに彼女は、こう答えた。


柊「こんなことをしなければ、好きだったよ。……友達として」


希「…‥そっか」


……彼女その答えを聞いて、僕は……。

………彼女から、ゆっくりと離れた。


柊「……へっ?」


……瞬間。彼女の口から、間の抜けたような声が漏れ出す。そして、困惑したような表情を浮かべて、今の現状に混乱しているようだった。そこで僕は、こう口を開く。


希「はーい!ジョーダンでした〜!」


彼女はまたポカンとした表情を浮かべると、数秒後にやっと口を開いた。


柊「はぁぁ〜〜???」


希「いやごめんね?リホちゃんが今、僕をどう思っているのか聞きたくてさ!んで、ちょっと嫌われちゃったみたいだから、離れたんだよ!」

「……まあ、監禁したい欲の片鱗が出そうになったけど。まあでも安心しなよ!もうこんな事はしないからさー!………って、あれ?どうしたの、黙っちゃって??」


柊「ふざけんな!さっきの私の恐怖を返せー!お陰で恥ずかしい思いしちまったじゃねぇかーー!!!」

「もう寝るー!起こしたら怒るからな!」


里紗穂は、そう憤怒して吐き捨てると、すぐに眠りについた。よっぽど疲れていたことが伺える。勉強もあるだろうが、さっきの僕の押し倒しも原因なのだろうか??と、そう思いながら、携帯でやる事を一つ終わらせると、僕も敷かれた布団に体を倒し眠りについたのだった。同じ屋根の下で眠ることを非常に嬉しく思いながら……。


□□□朝


そうして、朝が来た。僕は早速荷物をまとめてアパートの前に出ていた。彼女も、なんだかんだでお見送りに来てくれた。


希「それでは、お世話になりましたー!また機会があれば、泊まりにくるね!」


柊「頼むから、こういう事はこれっきりにしてくれよ。勉強を教えてくれるなら、学校の帰りにでも家にあげてやるからさ」


希「なんなら同棲しちゃう?」


柊「するわけないでしょうが!」


希「大丈夫だって、流石にこれは本気で冗談だからさ!」


柊「今までは、半分くらい本当だったって事か??」


そう聞かれて、僕は正解と言わんばかりの表情を向けて返答する。


希「それじゃ!また学校で会おうね〜!」


そうして僕は、自分のマンションに向かって足を進めた。僕のサブの目的である、彼女の寝顔も撮れたことだし、いやぁお泊まりというのは実に良いものだな……と。そう思いながら……。

それから、どこか寄ることもなく。僕は歩いて、歩いて、歩いて……そして、その場所にたどり着いていた。自分が住む部屋の扉を開けて、靴の確認をする。


希「……よし」


どうやら、あいつ以外に誰か来ているわけではなさそうだ。僕はそれを再確認して、靴を脱いだ。

……すると、僕が帰ってきた事に気付いたのか。リビングの方からドタドタととんでもない足音が聞こえてきた。おっと、どうやらうちの面倒な妹が、起きてしまったようだ。

そうして、玄関にやってきた妹は……次の瞬間。

僕に、思いっきり飛びかかってくるのだった。

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