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私が、ヤンデレ男に好かれた話  作者: 松花 陽
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ヤンデレが、切れた?!

希「おっはよ!リホちゃん」


柊「ふあぁ……。まさか、お前に起こされる日が来るとはな」


彼女は眠そうに欠伸をしながら、そう呟く。


希「起こすと言っても、僕はただ君の部屋のインターホンを押しただけだよ??というか、珍しいよね。リホちゃんが寝坊しかけるなんて」


柊「……べっ別に寝坊なんて誰だってするわよ??てか大体、お前が早く来過ぎるからだろ?今日なんでそんなに早いのよ…….??」


それは人形に仕掛けたカメラのお陰、なんてことは言えないので……。


希「たまたま早く起きちゃったから早めに行って驚かせようかなと思っただけだよ!」


と嘘を口にした。


柊「ふ〜〜ん……。本当か……?」


平常運転で僕を疑う彼女……。やれやれ、まだ僕は信用されていないみたいだな。それとも元から鋭いだけなのだろうか??


希「本当だよ…。僕が一回でも嘘をついた事がある??」


柊「……確かに、私はお前に嘘を吐かれた事はない……それでも、アンタはヤバいから信用しようにも信用できないのよ」


希「そうか……なら。信用してもらえるようにもっと頑張ればいいわけだ!!」


柊「ポジティブ過ぎるでしょ……。もう、どうやったらアンタは私を好きじゃなくなるのよ」


希「それは一生無理だから諦める事をオススメするよ??」


柊「はぁ……」


毎度のごとくため息を吐く彼女。そこで僕は、気になった事を彼女に質問する事にした。


希「そういえばなんだけどさ??」


柊「……何よ?」


希「リホちゃんってさ?学校ではさ塩対応の里紗穂って呼ばれてるよね??」


柊「えっ……?待って待って??いつから私そんな意味わからない異名がついてるの??」


彼女は、意味がわからないと言った顔をする。


希「ありゃ?知らなかったんだ?学校では結構君はそれで有名だよ??まあ、たしかにリホちゃんは冷たいし毒舌が出る時はたまにあるけど……関わってみると結構優しくて良い子じゃん!だから、僕を救ってくれた。そんな君を、僕は愛してるんだよ!!」


柊「……ふ、…ふ〜〜ん………。そう、それはまあ嬉しいから。ありがと……」


希「あっ、照れた!やっぱり君は塩対応よりツンデレだよね!かわいい〜!」


柊「うっうるさい!ロン毛!青!童顔!!」


希「あっ、久しぶりの毒舌いただきましたー!」


まあ、毒舌と言ってもこの程度毒舌にも入らないわけだが……。これが彼女にとっての毒舌なのだろう。やっぱり、優しい人なんだなと……改めて思う。


柊「……あっそういえば疑問に思ってた事なんだけど……」


そうして彼女は、その疑問を僕に告げる。


柊「ヤンデレってさ、好きな人を狂おしいほどに愛してくるけど、たまに監禁とか拘束とかをしてその好きな人を尊重しない事をしようとするわよね。いや、いつかはあなたも私にそれをする可能性があるから怖いけど……。アンタは、そこまで狂ってるって感じがしないのよね」


希「……なるほど。つまりは、僕が君をいつまで経っても拘束したり監禁しないのかが疑問と言うわけだね!」


柊「……うん。そう言う事……」


希「うん。たしかにほとんどのヤンデレが他人の心を尊重せずにそういう行動に至る人は多いね!殆どのヤンデレが自分の気持ちを一番に行動して、勝手な事をする。でもね、僕は逆に尊重したいんだよね。そんな勝手な真似をせず、その人の意思を一番に考える人。僕はそういうことを大事にしていきたい人間なんだ」

「たしかに、時折君を監禁したいと何度か思う事があったけど……そんな事をしたら嫌われてしまうし、調教なんてしたら君の本来の性格を壊しそうだから我慢してるんだ!」


柊「……なるほど。なんだか、あなたらしいようでいつもとは違うあなたの一面を見られた気がするわ。尊重ね……考えてみれば、殆どの人間が自分を一番に行動する。普通の人間でも、狂った人間でも……そういう行動をするのは変わらない。それが、人間としてのさがなんでしょうね。あなたを例外として……」


そう言って、僕の方へと視線を向ける。その見つめる彼女に向かって、僕はにぱっとした笑みを見せる。


柊「………それにしても、アンタやけにヤンデレに詳しいわね……??なんかそう言う経験でもあったの??」


希「まあ、こっちにもそういう経験があったってだけだよ!ほら、僕の話はこれでいいでしょ!」


と言って適当にはぐらかしておく。まあ、この事は別に言う意味も無いしな……と、そう思った僕は別の話題を彼女に出していくのだった。

そんな会話を繰り広げながら僕らはのんびりと通学路を歩いていく。今日も彼女のかわいい一面を、僕は見ることができた。あぁ、僕はなんて幸せ者なんだ……と、そう思いながら幸せに浸るのだった。


□□□


希「うん??」


あれから、学校に辿り着くと……靴箱に何やら異変があった。開いてみると……そこには大量の画鋲が仕込まれてあった。


希「……古典的だねぇ〜……」


さて、何故こんな事をされているのだろう。僕にはこんな事をされる覚えが全くもってわからないのだが……。


希「ふむ、とりあえずこの画鋲をどうするかだよな……」


面倒臭いのでその辺にばら撒いてやろうかと思ったが……そんな事したら里紗穂に嫌われてしまいそうなのでやめておく事にした。

にしても、こんな意地悪をして何を考えているのやら……。と言っても、これをした奴なんて特定出来ないし、こんな事を先生に言ったとしても無意味であろう……。


柊「おーーい、どうしたのぉ???」


……珍しく里紗穂が僕のほうの靴箱へと顔を見せる。


希「おぉ、悪い悪いなんでもないよ。……ちょっと忘れ物をしてしまったみたいだから、リホちゃん先に教室行ってて」


わざわざ報告する意味も無いと判断した僕は、作り笑顔を浮かべてそう言った。


柊「……あっそうなの……。でも大丈夫??アンタの家ってこっから近いけど間に合うの??」


希「大丈夫だって、どこに置いたかちゃんと覚えてるからさ!」


柊「ふーん……そう。なら、私は先に行くから遅れないようにね……というか。考えてみれば、その忘れ物の原因って私の家に来てるからよね……。そういうヘマしちゃうならもう私の家に来ない方がいいんじゃ……?」


希「別にいい、いい!僕が好きでやってるんだからさ」


最愛の人に嘘を吐くのは気が引けてしまうが、もしかするとこんな僕に多少なりとも心配をしてしまうかもしれない。そんな迷惑を掛けるのは嫌だったので、僕は優しい嘘を吐いた。


柊「そうか、じゃあ遅れるなよ」


そう言って廊下を歩く彼女の後ろ姿を眺めながら……姿が消えるのを待った。

……にしても、処理が面倒だなぁ。

特に怒りとかは湧いてこない。何故ならば、僕の事だから……。きっと僕は、自分に無関心だ。簡単に命を投げ出せるような奴だから、それも当然と言えるのだが……。ただ……誰がこんな事をしたのかだけ気になる。こんな回りくどいことなんかせずに直接言って来ればいいものを……。


希「いや、なるほど。直接言ってくる勇気がないからこそこういう嫌がらせをしてくるのか……納得納得」


そう結論付けて、僕はその画鋲の掃除をする。案外余裕を持って掃除をすることが出来て、チャイムが鳴る五分前には教室に入る事が出来た。いやぁ、やっぱり好きな人に嘘を吐くのは辛いなぁ……と、そんな事を思いながら。


□□□


希「んじゃリホちゃん、帰ろうか!」


下校時間、僕は彼女の教室に来ていた。


柊「あのねぇ……ここは私のクラスでアンタは別のクラスでしょ??」


希「まぁそうなんだけど。けど終わったし、暇だったから。それに、別のクラスに入っちゃいけないなんていうルールは存在しないし」


柊「確かに存在はしてないけどさぁ………わかってよ、周りの視線とか……」


……確かに、妙な視線は感じていた。試しに視線がする方向に顔を向けると、目が合った少女はわざとらしく顔を背けた。


希「……なるほど、有名人になるとこういう弊害へいがいもあるんだね」


柊「そういうこと、あなたと関わってからこういう視線で見られる事が増えてきてね。出来るなら廊下か靴箱辺りで待ってて欲しいんだけど」


希「……う〜ん、せっかくならすぐにでもクラスに行きたいけど、迷惑が掛かるならそうしておいた方がいいのかな……」


柊「ほんと、物分かりが良かったり、良くなかったりと差が激しい奴ね」


希「そこが僕の良いところでもあるからね!!」


柊「出来るならずっとそれでいてほしいものだわ……。それはそうと、今日学校に間に合ったの?……少しだけ心配してたんだけど」


その話題を出されるとやや胸が痛くなる。……僕はそれを顔に出さないようにしつつ、


希「ギリギリセーフでなんらくクリアだったよ。……心配かけちゃってごめんね」


柊「いや、いいのよ。私のせいで遅刻しかけたんだし、アンタが謝ることではないわよ」


そんな会話をしながら、僕らは教室を出る。

……その、妙な視線を向けられながら。


そうして僕らは、帰路を辿っていた。と言っても、彼女の帰路な訳なのだが……。


柊「こうやって一緒に帰り道を歩くのはいつまで続くのかしら」


希「そりゃあいつまでも、だよ。……僕はずっと里紗穂を愛し続けるからね」


柊「私はいつか、アンタが飽きると睨んでいるんだけどね」


希「ふふん!だったら賭けをしようじゃないか。里紗穂は僕が飽きる事に賭け、僕は僕が飽きない事に賭ける」


柊「それで、私が賭けに負けたらどうなるの?」


希「それはもちろん、付き合ってもらうに決まってんじゃん!」


柊「そんな賭けするわけないでしょうが!しかも、多分私が勝ってもあまりメリットはないんでしょ!?」


希「そだね〜……。僕が君から離れる事なんてゼロに近い確率だから、里紗穂がこの賭けに勝つわけがないんだよね」


柊「未来が見えるわけでもないのに、そんな断言しないでよ……」


呆れながら、いつものため息を吐く里紗穂に、僕は言いたかった事を言った。


希「そうそう、リホちゃん。ちょっと明日用事があるからもしかすると朝行くの遅れるかも」


柊「ふ〜ん、珍しいわね。まぁ、たとえ遅くても私は先に学校に向かうからね?」


希「まあでも結局?僕とリホちゃんの家は逆方向だから、リホちゃんの家に向かってる途中でバッタリ会いそうだけどね!」


柊「確かに、それはありそうね」


と、里紗穂は苦笑交じりに言うのだった。

……そうして、次の日。僕は朝早くから支度をし、とある場所に向かったのだった。


□□□


その場所とは、昇降口。またの名を、靴箱、下駄箱とも言う。……そう、昨日の画鋲を置いた犯人を見つける為だった。僕の予想では、前日の夜、当日の朝にそういう嫌がらせをすると考えていた。……そして、十分程度待ち続けていると、とある男が朝早くから登校してきた。その男はまず、僕の靴箱に向かって何やら仕込んで……そこから帰るかと思いきや。なんと、里紗穂の靴箱に向かい、そして……少し戸惑いながらも何かを仕込もうとしていた。

あぁ……なるほど。

僕は、この前の出来事を思い出す。あの日、里紗穂は何かを隠していた。きっとあの時、昨日の僕と同じような嫌がらせを受けていたんだろう。……犯人を特定するだけにしようと思っていたが、里紗穂にもそれをしているなら話は別になる。

僕は物陰から出てきて、ポケットからそれを取り出してその男の背中に押し付ける。


??「……えっ??」


希「動けば殺す」


??「な、なんだよ……というか殺すって、ここは学校だぞ??」


希「……知るかよ。学校だからなんなんだよ。で、お前は今何をした?……僕らの靴箱に、一体どういう嫌がらせをしたんだ??」


低く、冷たい声でその男を尋問する。

僕だけならばまだ良かった。けどこいつは、触れてはいけない物に触れようとした。だからこそ、後悔させてやるのだ。今自分が、何に触れ、何を目覚めさせてしまったのかを……。……その体に、ぎっしりと……。

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