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私が、ヤンデレ男に好かれた話  作者: 松花 陽
3/14

塾の帰りに……ヤンデレ

希「おっはよ!迎えに来たよ、リホちゃん」


柊「はぁ……なんかもう慣れちゃったわ」


いつものように私の家の前まで迎えに来て一緒に通学路を歩こうとする。


柊「いつもいつも朝から騒がしい奴ね。……どうして朝からそんなテンションでいられるのか理解できないわ」


希「そりゃあ君と一緒にいられるんだもん!たとえ朝だろうが夜だろうが、僕のテンションは常時これなんだよ!君といられるからこそ、どんなに遠い地平線の先にだって、僕は行けるんだよ!」


柊「いやそれは流石に無理でしょ。現実的に考えて……。というか、ふと気になったんだけど……貴方の家ってどっち方面なの?どこにあるとか、そういう話をした事なかったよね?」


希「確かにそうだね……おっ、もしかして気になっちゃう?ついに僕の事が気になり出したってことかな?」


柊「別にそんなんじゃないわ。……ただ単に、ちょっと気になっただけ……」


希「そうなんだ。まあ、とりあえず言っておくとここから真逆のところだね。学校からは割と近いけど、ここからだと少し遠くなるんだよね」


柊「……そ、そうなんだ。じゃあ貴方はわざわざ私と通学路を共にする為にそんな遠くから遠回りして来たっていうわけ?」


希「うん、そうだけど??……何かおかしいかな??」


柊「おかしいでしょ、おかしさしかないでしょ。普通、そんなめんどくさい事しようと思わないわよ。私だったら、寄り道せずにさっさと学校に真っ直ぐ通ってるわ」


希「だって、君と毎朝一緒に学校に通えるんだよ?それだったら、毎日でもここに来るよ」


柊「じゃあお願いする。朝から来ないで」


希「悪いけど無理、だって一緒にいられる時間が減っちゃうもん」


柊「それでも一日のほとんどを私は貴方と過ごしてるわ。充分長く一緒にいると思うけど……?」


希「それでもなんだよ。僕はできれば君と一緒に長くいたいんだ。出来る事なら一日中ずっといたい、24時間どころかそれ以上の時間ずっといたいくらいなんだ」

「だから、これ以上君と一緒にいられる時間を減らすのはしたくないんだよ」


柊「……つまりはダメって事か。……はぁ。せめてその朝のハイテンションは少しでも抑えてもらえないかな??」


希「テンション??あー、それだったら良いよ!やっぱり朝からこんなテンションだとウザイもんね」


うざいどころかずっと隣に入られている時点で鬱陶しいという気持ちなんだけどね。というのを心の中だけで思っておく。もし言って、ヘラれたりしたら面倒だからな。


希「リホちゃん!愛してるよ!!」


柊「……っ!?こんな住宅街の中で堂々とそんな恥ずかしい事を言うのやめてよ!!……なんで貴方はそんなにも恥ずかしげもなくそんな事が言えるのよ……全く」


希「だって大好きからね!だから何度だって言うよ、君の事を愛してるって!」


柊「わかったから、もうそれを言うのはやめてーー!」


と私は顔を真っ赤にしながら、そう彼女に叫ぶ。そんな会話をしながら通学路を歩き、私たちはいつも通りの学校生活を送るのだった。


□□□


ここは、とある塾の教室。私は今、ある人と一緒に自主勉教をしていた。


??「どうしたのアンタ。最近なんか元気ないわよ?あとなんか、最近ため息が多くなってるし」


柊「……え?あ、あー……最近ちょっと疲れてて」


??「ちゃんと睡眠とってるわけ?ちゃんと寝てないと、勉強に力入らないわよ」


この少女の名前は清原沙織きよはらさおり。私の唯一の友達であり幼馴染だ。小学校からの付き合いなのもあり、結構たくさん一緒に遊んだ仲だ。今ではこういう塾の時ぐらいしかたまに会えないのだが、よく自主勉強の時間にはこうして世間話をしている。無論、ちゃんと自主勉をしながらである。


沙織「何か悩みでもあるの?もしよかったらだけど、相談に乗るわよ?」


柊「……うっうん、ありがとう。でも大丈夫だよ!その気持ちだけで充分だから」


沙織「何を遠慮する必要があるのよ。私とアンタは友達、でしょ?だったら、話してくれたっていいじゃない??」


確かに相談するだけならいいのだが、私は出来れば彼女を巻き込みたくなかった。だって関係ないから、迷惑を掛けたくないのだ。


沙織「……どうしても言えないわけ??」


柊「うん。今は言えそうにない、ごめんね……さおりん」


沙織「……ま、別にいいわよ。でも、言いたくなったらいつでも言いなさい、リーホ」


柊「うん!ありがとうさおりん!……うっ!いきなりなんか寒気がしたような??」


沙織「私もなんとなく背筋が凍るような感覚がしたわ」


なんとなく気づいてはいたが。多分……あいつがこの近くにいるのだろう。そして、何故かは知らないが私たちに向けて嫌な視線を送ったという事なのだろう。


沙織「そういえば、あの新刊はもう読んだ?」


柊「いいえ、まだ……。最近考える事が多くて読めてないのよ。さおりん、ここどうやって計算すればいいの……?」


沙織「あーそこは……こうしてこうやって解けば簡単に出来るわよ」


柊「……ホントだ!すらすら解けるよ!ありがとう!」


沙織「どういたしまして……。でっ、考える事って、今リーホが悩んでるやつの事?」


柊「……うん。でも大丈夫だからね」


沙織「そう……ならいいけど。……ねぇリーホ、ここを教えてくれないかしら?」


柊「そこ??そこは……こういう視点から考えてみると、登場人物の気持ちがわかりやすくなるよ」


沙織「ふんふん……なるほど。そういう視点からはこう捉えられるわけね。ありがとう」


とそんな感じで、私たちは会話の中でわからないところを教え合いながら、自主勉強をする。それから数十分くらいの時間が経過して……。


私たちは一緒に夜の商店街を歩いていた。さすがにこの人混みの中なら、アイツに尾行される事がないと思っていたのだが……。


沙織「うぅ、ねぇ……リーホ。なんだか今日寒くない?塾を出てからずっと鳥肌が立ってる感覚がするし、ぞわりとするんだけど……」


それはきっと、背後から来ている視線が原因だろう。私も同じように薄ら寒さを感じているが、もう慣れてしまった。


柊「……ねぇ、さおりん」


沙織「え?何、いきなり?」


柊「さおりんってさ、告白とかされた事ってあるの?」


そこで私は、少し内容を伏せながら彼女に相談する事を決めた。


沙織「ん?ん〜まぁ、多少はあるにはあるけど……それって、もしかして今アンタが悩んでる事と何か関係があるの??」


柊「うん、あるの。で、それをスッパリと関係が切れるくらいに断る方法って知ってたりする?」


沙織「え、えぇ………どうしていきなりそんな事を聞いてきたのか謎だけど……」


沙織は小首を傾げながらしばし悩んで……。


沙織「それに関しては……相手次第じゃない?やっぱり、どれだけ断っても傍に居ようとする奴はいるんだし……私は、そういうしつこい奴らの経験が無いからわからないわ………てか、アンタ告白されたの!?初耳なんだけど!」


柊「……告白、まぁ、告白かな……」


告白と求婚なんて大体同じようなものだろう。


沙織「……ふ〜ん。アンタが告白ね……まさかアンタみたいな冷たい奴の事を好きになる人間が現れるなんてねぇ……」

「よっぽど、物好きなんでしょうね」


その瞬間、さらに背筋が凍るような感覚がした……!なに?!もしかしてこの会話聞かれてるの??


沙織「さ、さむっ……なにこれ、怪奇現象か異常気象??それとも単に私が風邪を引きかけてるだけかしら……」


沙織もその寒さに気づいたらしく、私と同じようにやや震えていた。


沙織「……ごめんリーホ。私なんか風邪気味っぽいからもう帰るわね……。その、アンタも頑張りなさいよ」


柊「あ、うん……お大事にね……」


……ごめん、沙織。私のせいでこんな怖い体験をさせてしまって。などと考えていた時、背後で私たちの様子をうかがっていた本錠希ほんじょうのぞみが私の目の前に現れた。


希「……ちょっと、行くところがあるからどこにも行かないでね。すぐ終わらせるから」


そう言ってどこかに行こうとするそいつの手を私は強く握った。


柊「……待って、どこに行くつもり……?」


希「ふざけた事をぬかすあの女にお灸をすえてやろうと思っただけだ」


柊「頼むからやめて……!少なくとも私が冷たい女である事は事実だから、仕方ないから……!あの子が悪いところなんて一切無いからお願いだからそういう事をしないで!!」


希「……まあ、君がそう言うなら……」


この女と関わるようになってから約一月が経ったが、案外融通は聞いたりしてくれる……。まぁ、時々声が届かなくなる時が勿論あるわけなのだが……。


柊「て、いうか貴方どうやって私たちの会話を聞いてたのよ!!」


希「盗聴器」


柊「まさかだけど……どこかに取り付けているの??」


希「当然だ、里紗穂の身に何か起こったら大変だからね。だからずっと、こうやって聞いてた」


希は耳にかかった髪を見えるようにどかして、耳についたイヤホンを叩きながら、そう平然と告げた。


柊「……今すぐ外すから、どこに付けたか言いなさい」


希「僕がそれを教えると思う??……結構高かったんだからね?それ」


柊「は?でも貴方、うちは貧乏だって……??」


希「あー……それは昔の話。今は投資で稼いだ金があるから、それなりにお金に余裕があるんだよねぇ……。言ってなかったかな?ほんのちょっとだけ金持ちだってさ。まぁ、だからと言って高かった事に変わりはないんだけどね!!そんなことよりさ、今日も家まで送って行くよ!」


柊「まぁ、いいけど。ありがとう……」


希「僕は彼氏として当たり前の事をしているだけだよ??」


柊「いや別に付き合ってないけど……てか、彼氏って何??」


希「なんでもないよ!さぁ、君の家までレッツラゴーだ!」


柊「……?」


そうして、私は無事彼女に送られ家に帰ったのだった。


□□□


私は、ヤンデレというものをよく知らない。別に私には関係ないから、そんな知識いらないと少し前まではそう思っていたからであった。けれど、希と関わるようになってから、ヤンデレというのがどういうものなのか知るべきだろうと思った。

……ヤンデレは、何を仕出かすかわからない……。だから、少しでもそういう知識を持っておいて損はないと思ったからだった。


柊「……少しだけ、どういうものなのか調べてみるか」


そうして私は自分の携帯に手を伸ばして、ヤンデレについて少しだけ調べてみるのだった。

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