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第9話 敵襲

 レオンが村の様子を見に行った少し後、

 ルナールとダンは黙々とテントの設置を行っていた。


「……ダンさんは、ここに来て不満はないのですか?」


 ふと、ルナールがダンに尋ねる。


「……まあ、不満はないと言えば、嘘になりますがあそこに居ても、執事長が私の邪魔をしてきていたでしょうし、最悪、殺されていましたし、レオン様も噂と違い、誠実な方だと感じました。今の状況は言うほど悪くはないですね。そういう、ルナールさんは、どうなんです?」


 テントの準備をしながら、自身の考えを話すと逆にルナールにも聞き返す。その問いに微笑をたたえながら、ルナールは言う。


「私は、レオン様がいればそれでいいですから。私を奴隷から救ってくれたレオン様が幸せになるなら、なんだってしますよ。私は」


 少し怖い返答にダンは肝を冷やしながらも、テントを立てる手は止めない。

 テントを完成させ、荷物の整理を行っていた二人であるが、微かな衣擦れの音にルナールは手を止める。


「ダンさん、何か聞こえませんか?」

「え? なにも聞こえていませんよ。何か聞こえたのですか?」

「森の方から衣擦れの音が」


 ルナールの言葉を聞き、ダンは素早く思考する。


(ここらには、人は住んでいないはずだ。森には最低でもD級の魔物がいるはず。本来ならなにもいないはずだが、ルナールさんは獣人、五感が人よりも鋭い……)


「……ルナールさん、一応、レオン様に報告を」

「そうですね」


 ダンの言葉にそう応えるや否や、ルナールは、レオンの匂いをたどり、全力で駆け出す。

 ルナールが走り出した後も、ダンは森に向かって、警戒を続ける。

 数分の時が経ち、森からゾロゾロといかにも山賊といった風貌の男達が現れる。


「何者だ。お前達、ここがタスフェルド領の領主の屋敷と知っての狼藉か?」

「ぷっ、はっはっは!」


 男らにダンが強い口調で詰問するが、それを意に解するどころか男の一人が笑い出し、それが感染するように全員が笑い出す。


「なにがおかしい」

「いやいや、屋敷って、それのどこが屋敷だよ。ぼろぼろすぎだろ。村人だって、もう少しまともな家に住んでるぜ。もう、普通に幽霊屋敷の方がマシだろ」

「……これから改修する」


 あまりに図星すぎて、ダンもそういうしかない。


「あー、なんかすまんな」


 そんな様子のダンを不憫にでも思ったのか、最初に笑い出した男がそんなことを宣う。


「お前に同情されても嬉しくない。それで、お前達はどこの誰だ? まさか、本当に山賊というわけでもあるまい」

「ふん、分かってて聞いてるだろ?」

「伯爵の差金か」


 ダンの言葉に男は口角を上げ、嘲笑う。


「さあな。俺たちは山賊だから、お前達から金品を奪いに来ただけだ」

「下衆が」

「下衆で結構。よし、ここは、お前ら3人が殺れ。残りは俺と一緒にメイドを追って、ガキを殺しにいくぞ」

「へーい」


 男らは、悠然とルナールの走った方向に向かう。それをダンが許すはずもなく、


「お前たち、私がここを通すとでも?」

「3人もいれば、十分殺せる。じゃあな」

「お前の相手は俺たちだ!」


 男らを追おうとするダンに残った3人が行手を阻むように立ち塞がる。


「チ、邪魔だ!」


 ダンは、懐に忍ばせていた短剣を手に駆ける。


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