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間話 モエナとポルク


「はぁ……見つかりませんね」


 あれから一月、お勤めの傍ら、儀式で神託のない前例を探してはいるけれどまるで見つからない……もしかして、私が聞き逃していた? そんなことはありえない。はずだけれど……ポルク司祭にも迷惑をかけてしまいましたし……

 そういえば、ポルク司祭が本殿で用事ついでに調べてくると言って、半月、そろそろ帰ってくる頃ですね。

 そんなことを考えていると、書庫の扉が開かれる。


「モエナ司祭、ここにおられましたか」

「ポルク司祭! 帰られたのですね」


 噂をすれば影、と言わんばかりのタイミングでポルク司祭が帰ってきました。あら? 何か、心なしか笑顔ですね。


「見つかりました」

「え?」

「前例が見つかりましたよ。神託のない儀式」

「!」


 本殿の書庫の各地の報告書の一つに記録が残っていたようです。本当にポルク司祭には頭が上がりません。それを調べるのにどれだけの時間を要したのか。


「本当にありがとうございます」

「いえいえ、大したことではありません。では、前例をお話ししますね。報告書を挙げたのはオルテシアの辺境のネピアという街です。ここで、当時、成人を超えているにもかかわらず職業適正の儀を受けていない青年がいたそうで、その青年に適正の儀をすると、神託がなく、その後、青年に職業を聞くと『略奪者』と答えたそうです」


 『略奪者』ーーまさか。


「『略奪者』、100年前の邪神討伐の英雄……」

「その通りです! 『略奪者』はこれ以後、出現していない。このことからユニーククラスと言われているのはご存知ですよね?」

「はい……」

「つまり、レオン様も何かしらのユニーククラスの可能性が……」

「!」


 何という事でしょう。レオン様がユニーククラス……100年ぶりのとてつもない……って、


「それでは、速くその旨をシルフィード伯爵に伝えないと」

「そうですね。私も一緒に行きますよ」

「そんな、色々ご迷惑をおかけしているのに……」

「本当のところは私もユニーククラスかもしれないレオン様にお会いしたいのですよ」


 ポルク司祭……


「わかりました。では、用事もないので今からいきましょう」

「ええ」


 しかし、レオン様はもうすでに旅立った後だった。


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