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プロローグ
「ボク、お兄様の英雄譚が聴きたい!」
「え? 私の英雄譚?」
金髪の青年が、銀髪の少女の言葉に呆気に取られる。
「うん。お兄様が目醒めた時の話が聞きたいの!」
少女の言葉に青年が頬をかきながら、申し訳なさそうに言う。
「でも、私はツクモが考えるような英雄譚は話せないよ。ほら、他の兄弟の方が面白い話できると思うよ」
「ボクはお兄様の話が聞きたいの」
「……う」
少女の言葉に少したじろぎながらも、観念したかのように息をはく。
「仕方ないなぁ。いいよ、じゃあ、始めるとしようか。伯爵家に転生して、捨てられた私のーー
ーー反逆と商売の英雄譚」