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異世界で王位継承争いに巻き込まれた(字下げ版)  作者: しゃもじ
第一章 セラフィナの心配とオフィーリアの本音
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第八話 具体的な方策と懸念事項

 三人の間で、仮の婚約が成立した。


「正式な婚約は早い方が良いかしら?」

「どうだろうね。学生の間は黙っていた方が、周囲も静かそうだけど」

「それはあるわね」


 二人が今後の方策を話し合う。発表すれば騒ぎ出すのは間違いないので、セラの言うとおり黙っているのも手だ。学園にいれば、外部の雑音は遮断できる。


「両親にだけでも、考えを伝えておく?」


 セラの質問にリアが少し悩む。


「セラとアレクはそれでも良いけど、お母様に話したら多分漏れるわね」

「侯爵が追及するか?」

「聞かれ続けたら黙っているのは辛いと思うわ。お母様は優しい人だけど、強い人ではないから」


 ミュラ様は確かにそういう人だったと思う。小さい頃はよく話していたが、最近はあまり会っていない。


「それなら三人とも黙っていた方が良いな。ミュラ様にだけ話さないというのは、出来ることならしたくない」


 話すなら同時の方が良いだろう。俺の言葉に、二人が優しく微笑む。


「そうだね」

「そうしてもらえると助かるわ」


 二人が俺の意見に同意したことで、両親には当分話さない方針に決まる。周囲に動きがなければ、学生の間はそのままで良いだろう。


「あ、でも……」


 セラが何かに気付いたように声を出す。


「何か気になることでもあるのか?」


 セラは少しだけ真面目な顔で話し始める。


「正式な婚約を遅らせると、心配事も出てくるよ」


 セラがそんなことを口にする。心配事とはなんだろう? 無茶をしそうなのは、ベンジャミンかお婆様くらいだが。


「兄上が何かするとか?」

「違うわよ」


 違うらしい。俺の質問を冷たく否定する。


「入学式の後、女子生徒に囲まれていたじゃない」

「あら、そうなの?」

「満更でもなさそうだったわ」

「あら、……そうなの」


 そっちか……

 二人が訝し気な視線を向けて来る。リアの視線が少しだけ怖い。

 縁談の説明をしておいた方が良いだろう。


「入寮前に縁談の手紙を大量に預かった。彼女達はその相手だと思う」

「へえ……縁談……」


 リアが詰るように言い、二人の表情が一層険しくなる。


「縁談申し込みの大半は第二夫人狙いだ。俺がリアと結婚して王位に就くことを想定している。婚約が成立した場合の方がうるさくなるぞ」

「……本当に?」


 今度はセラが疑うように言う。女子生徒に囲まれたいと思われているのだろうか?

 ここは潔白を主張するべきだろう。


「俺は彼女達と結婚する気はない」


 明確に否定すると、二人の表情が少し和らぐ。


「それなら良いけど……アンジェリカからも声を掛けられていたよね?」

「あら、アンジェリカも? 彼女は確か婿を取る立場よね?」


 リアの言うとおりだ。

 熱心なのは彼女のように、婿を取る立場の令嬢だろう。


「アンジェリカは俺を婿に欲しいという縁談だ。他に二人、婿取りの縁談がある。全員新入生だ。これから顔を合わせることになる」

「断るのよね?」

「当然だ」


 リアの質問に肯定の返事を返す。二人を妻にすると先程宣言したばかりだ。婿に行くはずがない。


「でも、簡単に諦めるかな?」

「正式に婚約するまでは難しいかも知れないな」


 セラの懸念は正しいと思う。リアとの噂がある中で、縁談を申し込んで来ているのだ。簡単に諦めてくれるわけがない。


「あまり執着されるのは、彼女達にとっても良くないわね」

「他に良い相手がいれば、それが一番良いんだけどね」

「単純に俺の魔法力目当てなら、有望そうな学生を鍛えるんだけどな」


 リアとセラの言う通り、早めに他の男を見つけた方が良いだろう。自分の代わりを見繕うのもどうかと思うが、俺が縁談に応じないのは確定事項だ。出来るなら良い相手を紹介したい。


「アレクの代わりなんて……そんな学生いないよ」

「いるぞ。男子寮で少しだけ話をしている」

「いるの!?」


 セラが驚いている。隣のリアも少し驚いた表情だ。偶然か必然か……実は二人見つけている。


「そんな人、同じ年齢にいたっけ?」

「記憶にないわね」


 セラとリアは貴族のパーティーにもちゃんと出席しているので、同学年の貴族のことは頭に入っている。まあ、強くなるのはこれからなので、心当たりがなくても無理はない。


「それより、女子生徒への対応だな」


 俺が話しを戻すと、二人も男子生徒の話題を止める。


「そうね。アレクを婿に欲しい理由を聞いてから考えましょう」

「それ以外の子達は、気にしなくていいの?」

「アレクが王を目指さないと言えば、その内諦めてくれるわ」


 大半の令嬢は俺が王位につく前提だから、その対応で十分だろう。実際、王位に拘っているのはお婆様くらいだ。セラはリアに頷きを返す。


 方策が決まった所で、セラが疑問を投げかける。


「ところで、アンジェリカ以外の二人って誰なの?」


 俺は二人の令嬢について話をした。

 二人は少し話をしてみると言って、三人だけの内緒話は終了した。


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