あきらめないムチ!
前回のあらすじ「ムチちゃんにはスキルがないムチ」
ムッチーノ先生の言葉に、ムチちゃんは目の前が真っ暗になったムチ。スキルがないと冒険者として活躍できないムチ……とーちゃんを手伝えないムチ……ムチちゃん、悲しいがいっぱいになって泣きそうムチ……目に涙が浮かんできたムチ。うまくしゃべれないムチ。
「う、う、うえぇえええええええん」
泣いたムチ。いっぱいいっぱい泣いたムチ。
気がついたらかーちゃんがよしよししてくれて、やっと泣き止むことができたムチ。
「もうじゅうぶん泣いたムチね。ムチちゃん、スキルが無くたってムチちゃんは立派なムチムチ族ムチよ。ムチちゃんはかーちゃんととーちゃんの息子ムチ。──ムッチーノ先生、たしかスキルがなくても生活魔法は使えるムチよね?」
「使えるムチーノ」
「ならムチちゃん、ムチちゃんは生活魔法を極めちゃうムチ!生活魔法でムッチムチの魔法使いになって、ムチちゃんの夢をかなえるムチ!」
そうムチ。絶望している暇なんてないムチ。ムチちゃんは生活魔法をムッチムチに極めて、ムッチムチの魔法使いになるムチ!
燃えてきたムチよ~!!
■とうちゃんパート
夜半。ムチムチランド唯一の酒場に足を運んだムチ。かつての戦友が話があるとのことムチ。西部劇で見るようなスイングドアをくぐると、正面に目当ての男を見つけたムチ。相変わらずな気障な恰好に心の中で苦笑したムチ。
「急に呼び出して何の用ムチ?息子のことムチか?」
「そうムチーノ。お前にだけは話しておこうと思ったムッチーノ」
「息子に、何かあるのか?」
「視えなかったムチーノ……瞳術を極め、神眼とも魔眼とも呼ばれたこのムッチーノにも、ムチちゃんの器の底が視えなかったムッチーノ。直言するムチーノ。アレはヤバいムチーノ。お前もムチちゃんのことをそれとなく見ていてほしいムッチーノ」
「──わかったムチ」
椅子から立ち上がり、帰ろうとすると、
「一杯ぐらい飲んでいくムチーノ。店への礼儀ムチーノ」
結局三杯のグラスを呷ることになったムチ。偶には男同士の酒というのも悪くはないムチ。