3話:商工会長のやさしさ1
すると、私はこの地区の商工会の会長をしている松前和宏だと名乗った。ここのおばあさん、近藤幸子さんは戦争で肉親が1人もおらずに昔から,ここで菓子店を経営していたと言った。だから、君は、ここの店を続ける事もできるし、店をたたんで土地建物を売り払うこともできると教えてくれた。君の希望する方法で処理してあげると言われ、お礼を言った。そして少し考えて店舗と土地売って現金に換えて、どこかにアパートを借りたいと言った。
わかった希望通りにすると言い一緒に書類を探しても良いかと聞くので結構ですと答えるた。その後、哲二と探し始めタンスを引出をあけタンスの中身も出して押し入れなども探して20分ほどして店の権利書、土地の権利書、少しの着物、3冊の預金通帳が見つかった。次に松前さんが君は、おばあさんと養子縁組とか何か特別な契約してるかと言われ、してないと言うと、じゃー明日、私がついていってあげるから通帳のお金を君の預金通帳に移動させようと言ってくれた。
正式に手続きするには書類がなさそうだから、私が何とかしてやろうと言ってくれたので、ありがとうございます。宜しくお願いしますと頭を下げた。そのうちに葬儀社の人が来て、棺の中におばあさんを入れてドライアイスを入れた。うちに葬儀任せてくれますかというので葬式をするほどのことはありませんと言うと、松前さんが私の知ってる近くのお寺に和尚さんに言って弔ってもらうように手はずを取ると言っくれた。
明日に近くの店の人にも声かけて集まれる人だけで、この店で簡単なお経を上げてもらおうと言った。いつ葬儀所が開いてるか葬儀社の人に電話して欲しいと言うと、電話をして明後日の午前10時からなら空いてるそうですと言われ、それでお願いした。これで、手はずは整ったと松前さんが言い、明日また来ますと言って帰って行った。その後、次々の近所の人は弔問に来てくれ、食べるものを持って来てくれ、哲二君、気を落とさないでね。こんな時に、お母さんがいないなんて可哀想と言ってくれた。
そうして、その晩、あまり眠れず、生まれてから今迄の過去を振り返った。すると、おばんさんが急に愛おしくなり、涙が吹き出てきた。翌日は会社に電話入れて家族に不幸があったので数日休みますと言い御飯を炊いて食べて朝9時過ぎに松前さんが来て一緒に銀行へ行こうと言った。そして松前さんの車で、おばあさんの預金のある三菱銀行へ行き哲二の口座を開設してから、おばあさんの口座から預金の移動の手続きを取って必要書類を書いた。1時間ほどで手続きが終わり、次に市役所に行って行うべき手続きを教えてもらって哲二が1人で出かけて行き、手続きを取った。