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わがまま女神の開拓誌 ~自分の島を観光地にしちゃおう!!~  作者: 青衣
第3章【火曜の火山《燎煉》】
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渾身の一撃に賭けて

これは危険な賭けごとだ

 私は風呂場の縁になぜか立たされたのだが、智美に何やら囁かされては模範的な行動で女神としての威厳を示してほしいと言われたが、違うよね? これは絶対違うと直感で断言できるが……絶対的な暴君の智美の前ではどんな正論でも無意味。

 彼女が白と言えば黒ですら白に染まる……。

 それを拒もうならば白は赤の飛沫で満たされるんだろうなぁ。


 だったら私も腹をくくっていっそのこと女神様らしく威厳を見せつけてやらなきゃいけない。

 目の前には煮えたぎるお風呂、そして私。


「いい? 絶対冥綾の事を押しちゃいけないのよ? 絶対の絶対よ!!」


 ほら出ちゃったよ、このネタ……しかも強調して2度も言わなくて良いですからね。

 と言うか七刻から出たこともない彼女がなぜそんな【こちら側】のネタを引っ張ってくるのかは不明だけどその辺よくわかってない。

 結界があると言っても、たまにゴミとかなら認識せずにすり抜けて来るからそのゴミが本なり記録媒体だったりして七刻の文化として根付いたと言うことも考えうる。

 ただし結界は人や船などは通り抜けたとしても七刻には上陸は不可能、不可視だし触ることも叶わないのだからね。


「押しちゃいけないのね!! わかったわ。」


 そういうと結愛は平然と煮えたぎる沸騰に浸かってはポケーっと恍惚とした表情、真に受けてくれる辺り年中イヤイヤ期の彼女も素直なんだなぁって可愛らしく思えるけど智美の表情から察するに本題は瑞穂の次の行動にかかってる。

 結愛が素直でこうなることは智美にお見通し、こんなのが通用しないと言うのは計算通りと睨んでるからあとはどうするかは言わなくてもわかるんじゃないかなぁ。


 頼むから押して欲しいと切実に願わないわけがないだろう。

 何でって言われれば誰も真に受けず不発に終わって智美はつまらないと感じてしまえば彼女自身から突き飛ばされるハメになるのは十中八九わかりきったことだ。

 突き飛ばされるのが可愛らしく思えるように投げ入れたり、パイルドライバーされることだってあり得るから怖いわけなんだ。

 そう言うわけだから瑞穂よ……空気を読んでくれよ?


「え、えーと。」


 瑞穂だってこのネタがわからない訳じゃなさそうな表情をするも本当に押して良いのか反応に困り果ててるが問題ない。

 いっそのこと一思いにやってくれた方が身のためだぞ?

 最悪私の命にかかってるから早くして欲しい。


「冥綾さんっ、ごめんなさいッ!!」


 背中にドンッという感覚が伝うが……そう、それでいい。

 人間1度は死ぬのが美徳……私はスローモーションを体感するかのように前のめりになっては熱湯にダイブした。
















 なんということだろうか。

 別に熱湯に浸かっても今の状態じゃ反応に困ってしまいかねないほど何ともない。

 すまない……私は冗談が通用しない頭カチカチだからどう反応して良いのかもわからないから、期待して損したってクレームはお断りだ。


「あ、あー……熱いナー、溺れちゃいそうダー。」


 頑張れ私、完全に滑ってるけどやらないよりはマシ……って、結愛も智美も白い目で見るんじゃないっ、恥ずかしさで死ねるだろうがッ!!

 あまつさえ瑞穂までドン引きしてメンタル壊れそう。

 棒読みがいけなかったのか?




 この棒読みがいけなかったのかぁあぁっ!?




 ダメだ、この静寂な雰囲気を作った私がいかにも悪者じゃないか。

 もう無心で肩まで浸かってほとぼり冷めるまで瞑想だ。


「冥綾もダメねぇ~。」


 智美がため息付きながら【あらヤダ、困った】なんて表情してるけど、なんなら自分がリアクションしてみろって言いたい……言いたいのに言えない自分が情けない。

 自分同士なのに言えないこの歯痒さってモヤモヤするのは気のせいじゃないよね、皆にもあるよね!?

 正論言っても力で負けるから言えないって言うのがさぁ。


「あっ、沸騰してるのに温かく感じる。 不思議。」


 そう思ってる矢先、覚悟を決めた瑞穂が恐る恐る片足をチョンッて入れてみるも思いのほか体感温度としては40度近い感覚にしか感じられなく安心したのか、全身浸からせては何事もなかったかのようにホッとしてる。

 なんにせよ火曜力が身体に馴染んでる証拠で私もうれしい限りだ、今のうちに思い出を作って武勇伝の1つに【熱湯風呂に浸かった】という項目を加えておいても良いかもね。


「頑張った証拠に冥綾の身体を私が洗ってあげるわ。」


 風呂の最中に用具入れに普段入っててもおかしく無さそうなデッキブラシが既に壁に立て掛けてあって、入ったときは不思議に思えたがそんなところに伏線なんてわざわざ置いていかなくても結構。

 身体洗いのスポンジで1度体験したことはあるが垢こすりみたいにザラザラしてたとなるとデッキブラシだったら確実に肉がゴッソリとられてガイコツになるのは間違いなしッ!!

 逃げたくても逃げられない私だが、恨みなんて作った覚えはないんだが……どうしてなんでしょうかね?


「それはねぇ、冥綾が可愛いからに決まってるでしょう?」


「その役割り恵麻で良くない!? こんなリアクション薄い私に求められてもできるわけ無いし。」


 この言葉が私の人生の中で衝撃的な墓穴を掘ったという出来事になるのは言うまでもなく、戻れるなら10秒前にロールバックしてでも本気で思った一瞬だったに違いない。

 いやはや、口は災いの元って言うから何気ない言葉でも取り返しはつかなくなるもの……言ったあとに気がついては時既に遅しってね。


「リアクションの力が上がるわよ?」


「げっ。」


 結愛がキリッとした表情で親指立ててグッドマーク寄越して頑張ってって声援送ってるように思えるけど私は中指おっ立ててふざけんなって言い返しても良い? 良いよね?


 そうだ、瑞穂は七刻に来たばかりだからリアクション鍛えてもらうのが1番だと思うよね!?

 頼むからそうだと言ってくれ、じゃないと明日からガイコツとして生きていくのはゴメンだよ。

押すなと言われれば言われるほど……

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