女神の湯浴みは格別だ
お湯が熱くてこりゃシビれる
頭と身体を念入りに石鹸で洗っては……洗ってはなんだけど、よく考えると夜朧にはシャンプーもボディーソープも無いわけだから石鹸が主流なのだがこう考えてみると普段とは味わえない感覚で新鮮味があるものだ。
風見の酪農関係が作った牛乳石鹸は安価で肌もスベスベになる、安心安全の石鹸。
それを毎日使っているためか聖奈の肌はしっとりスベスベで、髪の毛なんて髪止めがスルンと落ちそうなほど滑らかに美しい。
それがとても羨ましければ、女の私でもついつい見とれてしまうほど可愛くて……自分がもし男だったらどうなっていたことやらか。
さて、一通り洗ったことだし……早速湯船にじっくりと浸かってお湯を堪能しようじゃないかッ!!
湯気が立ち込める熱い源泉に脚を入れると、身体全身が痺れるような感覚が脳髄にまで伝い、さっそく苦笑いする私だがこんなところで徹底してちゃ風呂好きと呼ばれて呆れるほどだろう?
こんなに熱いのに聖奈なんてすぐ肩まで浸かってしまえるんだが、久々にここまでの熱さのお湯に入る私なのだ……じっくり慣れなきゃ即のぼせて大変なことになってしまうだろうな。
とりあえず濡らしたタオルは頭の温度を下げのぼせ防止に効果的、あらかじめ乗せておいて正解だ。
「はぁ、久誰かと入るとまた違った楽しみがありますよね。」
彼女はずっと独りでこのお風呂に入ってきたに違いない、ここを納めるためだけの責任として長としての威厳を守るため夜朧から出ることを許さず……そう思うととても寂しくて辛かったんだろうなぁ。
でも今は私がいる、こんな笑顔の聖奈の顔を見れて幸せだよ。
だからもう安心しても良いんだ……開拓をして賑やかになったらもう寂しい思いはしないし、させたりしないからな。
私も微笑み返す。
お互い同じ結愛という存在そのものだから、これだけで何を言いたいかわかるはずだ。
否、わかる……聖奈も頷いてくれたのが何よりの証拠ってね。
安堵した私のアホ毛に鍾乳石から垂れた水滴が1つ……。
水滴の弾かれた勢いで揺れたアホ毛が楽しそうに嬉しそうにユラユラと揺れているのは私の心の現れなんじゃないかな。
これは別な意思を持ってるといっても過言じゃないくらい正直だな、聖奈のもちなみに揺れてるぞ?
それにしてもじっくり見ないとわからないかもだけど洞窟の天井はとてもきれいで星空のように思えるのは私だけか?
松明の明かりが揺らめく以外の光源は天井に散りばめられた天然の月曜晶と呼ばれる曜力の結晶化したものだけで微弱ながら淡い光を放っている。
紺のような青のような深い色が闇の中でまさに星のように瞬くのは幻想的で時間を忘れそうなほどさ。
「そう言えば明日は恵麻様が水道を引いてくれるためにお越しになられるそうですよ。」
絵麻が?
あぁいや、絵麻っていうのは水曜神でな? 同一人物といえども聖奈の良き親友と言えるのかな。
時雨という夜朧から2つ隣の地方にある浄水場の所長さんでイジリ甲斐のある変態と言えば分かりやすいが、類は友を呼ぶというからそういう聖奈もどちらかと言えば受け身だから攻めの私とは愛称が……おっといけないヨダレが。
「しかし、これで毎日安心してきれいな水が使えるようになるな!! おいしい水も飲み放題だ。」
水道を引いてその上に長屋を巨大化させて配置させる、もうすぐで夜朧は完璧に城下町として華やかに生まれ変わるんだ。
そうしたらもう豊かな暮らしには少しずつだけどなっていって野菜クズなんか毎日食わなくてすむ生活になれる。
観光地として見所も増やせばガッポガッポの……と、それはまたまとらぬ狸の皮算用ってやつ、今は考えるのはやめておこうか。
あとはこのペースで行くともう数日で夜朧の開拓が終わってしまうとなると、やはり寂しさって言うものがあるのかな。
意外と話せば夜朧の頭カチカチ連中も優しくて話のわかるヤツらだったな。
けど、これが旅なのか良くわからないが一期一会という言葉が良く似合う……いや、再びここに来ればまた会えるんだが今はそうやって良いこと言ってこの場を良くくくり閉めたい。
そんな気がする、というか気にしたら負けだぞ?
さぁ、2章も最後に近づいてるかな




