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なかなか、思った通りの表現ができず読みにくいと思いますが。宜しくお願いします。


家の中に案内され、まずは部屋へ通される。そのまま勧められ紫苑はお風呂へ。

「天地丸さん、粗茶ですが」

お茶を一口飲む。茶の香りが口の中に広がり、かすかな苦味が心地よく感じられる。

「はー・・・美味い」

「よかった。はい、おかわりどうぞ」

お茶を注ぐ。幸せそうに微笑みながら、二人穏やかな時間を過ごす。

「天地丸さん、紫苑さんには伝えないの?」

「何のことだ?」

「貴方のこと。本当の姿」

「!どうして知ってる。答えろ!!」

二人は正面から視線を交わす。


「翡翠、君は何者なんだ」

「私には視えるから、感じるら。天地丸さんの想いも夏津さんの現在(いま)も、天地丸さんに夏津さん、凛菜さん。たとえ自然(かみ)の理から外れても、想いも魂魄も共にあるのがわかるから。そして、天地丸さんを包む想いと絆に。その絆は理を越える程に強く、禁忌と分かって、それでも押さえきれない想いだから」

「翡翠、君は・・・」

「翡翠さん、お先にいただきました。すごくいい湯でしたよ」

久しぶりのお風呂に上機嫌の紫苑が居間に入ってくる。

その瞬間、なんともいえない雰囲気が辺りを包む。

「天地丸さんも疲れたでしょう。先に湯浴みをどうぞ。その間に紫苑さんは夕食(ゆうげ)の支度を手伝ってもらえますか?」

「あっ、はい」

二人で厨に向かうも襖に手をかけたまま、翡翠は天地丸を見つめる。

「着替えは用意しておきますから、ゆっくりとどうぞ」

二人の姿が消えると、ゆっくり呼吸を整える。

すっかり冷めたお茶を一気に飲むと湯浴みへと向かった。



身体を洗い、湯船につかる。

「ふー、いい湯だな」

湯船いっぱいに身体を伸ばし、顔を洗う。お湯のぬくもりが疲れを癒す。ゆっくりと筋肉を揉みほぐす。

「翡翠・・・か」

何か大切なことを忘れている気がする。が、どうしても思い出せない。

「なんだ、この感覚は・・・翡翠、ひすい」

疲れとお湯のぬくもりで少しうとうとする。

「・・・たとえ魂が無くなろうと、俺は愛だけになって・・・・・・を捜しきっと見つける」

微睡みながら言葉があふれる。


「・・・きっと見つけるから、どれほど刻が過ぎても、ここに来るから。俺達二人で築いた未來(さだめ)のこの場所に来るから、今度こそ守れるように、誰よりも強くなってきっと迎えに来るから」

微睡んでいた意識が急にはっきりする。

「な、んだ?いまのは・・・・・・夢、いや違うな」

お湯で顔を洗うも、少しのぼせたのかいまいちすっきりしない。

「あー、わかんねぇ」

(でも確かなのは、俺の命の奥、魂の奥にある源が、魂の真源(しんげん)が何か大切なことを訴えてるんだ)

そこで考えるのはやめた。暫くただぼーっとしてから湯浴びから上がった。



「ふー、さっぱりした」

居間に入るといいにおいが食欲を刺激する。

茄子の味噌汁と炊きたてのご飯、焼き魚に焼いた茸に果物とこの森そのものがご飯になっている。

「それじゃあ、いただきましょうか」

全員で手を合わせる。

「「「いただきます」」」

ご飯と味噌汁をよそってもらい食べる。久しぶりのまともな食事。

「んまい!」

ご飯と味噌汁を一気に食べて、おかわりをする。それを翡翠は幸せそうに微笑みおかわりをよそう。

今度はゆっくり味わって食べる。

(ん?気のせいか、昔の傷の痛みが消えていく。・・・まっいいか、何よりこうしてまた同じ刻の中にいられら)

「翡翠さんはずっとここに住んでるんですか?」

「ええ、もう永い間ここに一人でいます」

「でも一人だと危ないんじゃ」

「大丈夫よ。この地には鬼は入ってこれないから。たとえ純血の鬼でもね」

翡翠の言葉に紫苑は戸惑った。この世界には存在しない鬼のいない地、それがこの場所だと翡翠は言ったのだ。

「翡翠さん、それって」

「そうですね。あとで話しましょう。それより天地丸さんや紫苑さんの話を聞かせてください。私は永い間、この地から出てないので現在(いま)外界(そと)の事を教えてくださいませんか?」

「私も天地丸さんと出逢うまで村からほとんど出たことないから」

「話ってもな、はっきり言って鬼の話しばっかりだからな。でも、そうだな俺の知ってるなかで一番大きい街は豊だし人も多いな、祭もやったりしてたし。数十人の符術士が街を守って」

旅の間を思い出しながら語る。楽しかったことも辛かったことも。話し終わる頃にはちょうど食事も終わる。

「「ごちそうさま」」

「お粗末様です」

お茶を一口飲み一息つく。

「あの翡翠さん、さっきの話しの続きを教えて下さい。なぜ此所には鬼が入れないのか」

そこで、翡翠は語る。神代の伝承を遥かなる刻の物語を。



現在から、幾千・幾億もの昔。この世界にまだ人間が生まれる以前、創世の神を含む八柱がこの世界を創る。が、其処には存在(いる)はずのないものがいた。それこそが刻の初まり、鬼源(きげん)より存在する真(神)なる鬼。そして人はその始まりの鬼が餌のために生み出した。

八柱はかろうじて真(神)なる鬼を封じると、傷ついた身体を癒すためこの世界を去った。

八柱の神が去ったあとは十柱の神が天地(あめつち)の一族と呼ばれ、この世界を治めながら鬼の一族と戦い続ける。けれど天地の一族は人間を見限りこの世界を去った。



「この地は天地の一族の一柱が降誕した場所。だから鬼や邪なものは近づけないのよ」

「初めて聞いた。でもその話って、三十年前に全ての鬼を封じた一族の話しに似てますね」

「そうね。では、夜も更けてきたしそろそろ休みましょうか」

「ふぁ、それじゃお言葉に甘えて翡翠さん、天地丸さんお休みなさい」

「はい、お休みなさい』

「お休み」

紫苑が居間を出ていくのを見送っていると、翡翠がお茶を持って来た。

「天地丸さん、先程の話しには続きがあります」

そう語る翡翠の表情はどこか複雑で



「現在から数千年前、鬼源から存在する真(神)なる鬼の封が解かれました。その頃には天地の一族は人を見限りこの世界を捨てようとしていました。ただ最後にと、すべての不浄を滅する為、鬼も人間もこの地もすべて滅する、天地の一族のすべての力を受け継ぐ神を秘神(ひめかみ)を創り出しました。人形(ひとかた)をした、力の器と解放するだけの繰神(くりがみ)、この不浄の地を滅するためだけに生を受けた秘神・・・・・・」

何かを思い出したのか必死に耐えていた表情が、泣き顔に変わる。

「ちょっ、な・・・ひ、翡翠」

無意識に、まるでそうするのが当然のように翡翠の涙を拭っていた。

「天地丸さん」

翡翠はその手をとると頬を寄せ唇を添える。


「秘神は媛神としての名を受け、この地に降誕しました。何の感情もなくただすべてを滅するために。でもね天地丸さん、媛神はこの不浄の地を選んだの、天地の一族の中で最高位の力と位を持ちながら、そのすべてを捨て、世界よりもただ一人の男性(ひと)を選んだの、たとえそれが禁忌であっても初めて感情を愛する想いを教えてくれたから。でも天地の一族は禁忌をおかしたものを見逃すほど慈悲深くないの。でも媛神を滅することは一族全ての力を持ってしても不可能。だから一族は天は彼を殺した。二度と私に会えないように魂すらも滅ぼして。そして絶望から私は・・・・・・・・・」

「ま、まさか、翡翠・・・君が」

「貴方が生まれた時からずっと傍に感じていた。ずっと視ていたの。本当は話すべきじゃなかった。天地丸さんが此所に来たのは偶然・・・ごめんなさい。それでも私は傍にいたかった、触れたかった。その為だけに私は耐え・・・・・・・久遠の刻のなかで待っていたの。貴方に逢うために・・・天地丸さん、ありがとう。私は貴方を貴方だけを愛してます」

唇が重ねられる。長く短い口づけ。

その瞬間全てを思い出した。

久遠の刻のなかで、再び絆が結ばれ、悠久の刻が始まる。










次は過去ですが、重要な部分だけでさらっとまとめたいと思います。

サブタイトルが思い付かない。

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