第二部 ラスカ編用語集【第0話~3話】 (2016年11月18日更新)
■第二部 焔帝 ラスカ・ヴォロノフ
◆第0話 「試される大地」
・[地名] 【北大陸】
別名、試される大地。中央大陸西部とはエルベ海によって北と南に分断、東部はアムーラス川によって、中央大陸東部と分断されている。人口の多くは西の北アリア半島に集中し、東へ行くに従い、人口は減っていく。
・[国名] 【モスキエフ大公国】:
北大陸の最東に位置する国。領土の広さは大バロウ帝国に匹敵し、北大陸のおよそ半分近くを占める。人口は1200万人ほど。コーカ暦1800年時点で、人口の65%が人族。35%を獣人族、エルフ族、ドワーフ族などが占めている。1475年の「大災害」後、元シンバ皇国のから難民が押し寄せ、人族以外の人間が増え、一時は人口の50%近くにまで達する。
・[用語] 【大災害】:
コーカ歴1475年5月に中央大陸のシンバ皇国で起きた、破局的災害のこと。一夜にして国土の大半が失われ、最終的な死亡者数は当時の人口の90%を超えたと言われている。原因は諸説あり、(1)魔力災害説、(2)魔神降臨説、(3)勇者召喚失敗説、(4)召喚勇者の反逆説、など様々。
・[用語] 【五月興国】:
シンバ皇国で起きた「大災害」の後、モスキエフ大公国に流入した難民たちにより、国の経済が興隆、急成長した現象のこと。一連の経済革命によって、モスキエフ大公国を北の最貧国から世界の中堅国家に押し上げた。流入した難民の数は500万人以上という空前の規模。今でもモスキエフ大公国の各地では5月になると、様々な祭りなどのイベントが行なわれている。
・[用語] 【五月の呪い】:
大災害の後、モスキエフ大公国に流入した難民たちが直後に多数死亡した現象のこと。シンバ皇国跡地に残った者たちの多くも同じ症状で死亡した為、伝染病か、「呪い」の一種との説が強い。モスキエフ大公国の各地で5月に行なわれる祭りは、元々は「呪い」を祓う為と言われている。
・[人物] 【イヴァン・ラージ】[1430年-1501年]:
大災害、五月興国の時の大公。二つ名は「雷大公」。
・[国名] 【ルシフ公国】:
人口約300万人の小国。経済的にも貧しい。「大災害」の際には、難民の流入を拒否した。国教の定めはないが、実質、エドラ正教が国教であった。二十日戦争敗戦の後、モスキエフ大公国の植民地となる。1582年、正式にモスキエフ大公国に併合され、国家としては消滅した。
・[用語] 【二十日戦争】:
コーカ暦1493年、モスキエフ大公国とルシフ公国の間で起きた戦争のこと。引き金になったのは、エドラ教を信仰していたオルセィ・エバンスという59歳の女性が、冬の最中にモスキエフ大公国に密入国した上に、行き倒れて凍死した事件。わずか21日でルシフ公国の首都ルシエルが陥落。モスキエフ大公国の勝利となる。エドラ教皇国の暗躍があったとされる。
・[人物] 【キェト・ヴォロノフ】:
エルフ族。元はシンバ皇国のエルフ族自治区に住む狩人であったが、「大災害」後、モスキエフ大公国に難民として、不毛のモスキエフ大公国東部に入植。その後、鉱山開発、食糧増産、地熱利用などが評価され、モスキエフ大公国の東方開発大臣など、要職を歴任した。第二部の主人公ラスカ・ヴォロノフの曽祖父。
・[用語] 【試される大地】:
キェト・ヴォロノフが公職中、好んで使った言葉。自然環境が苛酷な北大陸のこと。
・[人物] 【ウラジミル・ヴァーリ】
「雷大公」イヴァン・ラージの後を継いだ大公。イヴァン・ラージの母方の従兄弟。就任中、「先代大公はエドラ教を毛嫌いしていたようだが、特に、我が国の体制に反抗するわけでもない、信心深いだけの、ただの庶民ではないか」と語ったとされる。45年に及ぶ在任期間中、大きな問題は起きなかった。
・[用語][魔物] 【白地宮】:
始祖大陸で発見された二つの迷宮のうちの一つ。別名「絹の牧場」。シルクスパイダーとシルクスパイダーの餌となる小型の魔物を延々と召喚し続ける迷宮。アラトで繊維革命が起きた。
・[用語][魔物] 【大魔鉱宮】:
始祖大陸で発見された二つの迷宮のうちの一つ。別名「迷宮の王」。集めた魔力で延々と魔石を錬成し続ける迷宮。魔物が召喚されない為、集めた魔力のロスが無く、大暴走なども起きない。管理が容易で、莫大な富を産出し続けるという、アラト史上最も価値のある存在の一つ。アラトでエネルギー革命が起きた。
・[人物] 【ルワルドス・ヴァーリ】
ウラジミル・ヴァーリの跡を継いだ大公。ウラジミルの二男。就任中、民衆の要求に押される形で、公都モスキアに正式認可されたエドラ正教会の教会が設立された。
・[用語] 【教会税】:
エドラ正教会が提携国の民に要求する税金のこと。税率は2%~5%。エドラ教皇国との関係が浅い国ほど税率が高くなる傾向がある。通常、魔石の安定供給が交換条件となっている。常識的に考えて、国家主権侵害。
・[人物] 【エヴァ・ヴォロノフ】
キェト・ヴォロノフの妻
・[人物] 【シェーン・ヴォロノフ】
キェト・ヴォロノフの長女。二つ名は「氷帝」。A級冒険者。イェツ・エバレットと共に新大陸と東回り航路発見の航海に出た後、消息を絶つ。
※第一部エバレット回想編で、六海国(藩)霞浜村にて烏丸宗吾に斬られ、絶命。
・[人物] 【リィフ・ヴォロノフ】
キェト・ヴォロノフの長男。第二部の主人公ラスカ・ヴォロノフの祖父。
■第一章 エルフ族・立志編
◆第1話 「ラスカ・ヴォロノフ」
・[用語] 【巨人族】
男は身長3mを超える、アラトの古代種族。戦士格は2m以上の超ロングソードを振り回す。モスキエフ大公国東部に位置するアルフォ山脈よりさらに東にひっそりと住む。人口は5万人とも10万人とも言われている。交流が全くない為、詳細は不明。シンバ皇国軍10万人を、わずか100人ほどで殲滅したと言われている。当時のシンバ皇国皇帝は巨人族を『北威』と呼び、以降、アムーラス河を渡ることを禁じた。
・[人物] 【リョク・ホウフェン】:
巨人族との一戦で大敗した時のシンバ皇国皇帝。この一戦で、次代の皇帝予定であった息子を失っている。
・[地名] 【キエベ】:
モスキエフ大公国最東端の町。ヴォロノフ家が居を構える。
・[人物] 【ラスカ・ヴォロノフ】:
第二部の主人公。純血のエルフ族。男性。物語開始時で15歳。身長183cm、痩せ型。銀髪。天賦のスキル、ギフト「古代アラト語」を持つ。
・[用語] 【古代アラト語】:
始祖大陸以前のアラトの言語。巨人族と竜人族が使っていたとされる。
※「古代語」とは別。
・[人物] 【ケイリィ・レグルス】:
第二部の準主人公。エルフ族。エルフ族の血はかなり濃いが、純血ではない。物語開始時で15歳。金髪の癖っ毛。種族特性スキル(レア)「古代魔術」を持つ。
・[用語] 【冬学校】:
モスキエフ大公国で冬の間の数ヶ月間だけ行なわれる公教育。希望する8歳以上15歳以下の児童が無料で受講できる。ラスカの曽祖父キェト・ヴォロノフが当時の大公、ルワルドス・ヴァーリに進言し、創設された。
・[用語] 【簒奪】:
継承権の無い者がクーデターや内からの篭絡などによって、王位を奪うこと。
・[用語] 【種族特性】:
その種族が特別に持っている、あるいは強く持っている性質のこと。
・[用語] 【種族特性スキル】:
その種族だけに出現、あるいは継承出来るスキルのこと。
・[用語][スキル] 【国家】:※ステータス表示なし
本来の意味とは別に、ラスカが「人族の種族特性スキル」だと思っているスキル。ラスカ本人は帰属対象、得手不得手、傾向などと同じような意味で使っている。スキル効果は「国造りや国家運営を、生きる目的に出来る」ことらしい。
・[用語][魔術] 【氷柱蓮華】:
氷雪系大規模魔術の一つ。氷柱のサイズ、範囲は魔力量による。氷柱をランダムか規則的に屹立させるかは術者が指定出来る。
・[用語] 【二足のブーツ】:
意味は「二足の草鞋」に同じ。本業とは別に副業もあり、両立させていること。
◆第2話 「ケイリィ・レグルス」
・[地名] 【ハバストロク】:
人口約2万人の町。ラスカたちの実家からは30km以上離れている。大まかな人口割合は、人族45%、獣人族25%、エルフ族15%、ドワーフ族15%。人族の割合が半数に満たない町は稀。冒険者ギルド機構の支部の中では最北の支部がある。会員数は約1200名。
・[用語] 【飛び級】:
元は貴族から乞われたS級冒険者の要望から始まった制度。S級冒険者の推薦に限り、飛び級を認める特例措置。(1)10歳以下の場合、S級の推薦があれば、E級以下のランクを選択してデビューできる。(2)15歳以下の場合、S級の推薦があれば、D級以下のランクを選択してデビューできる。(3)16歳以上の場合、S級の推薦があれば、B級以下のランクを選択してデビューできる。
・[用語] 【冒険者ランク】:
G級~S級まで。G級~C級まではポイント制、B級~S級までは達成件数制によってランクアップする。G級~C級までは降級条件がなく、ギルドカードは更新さえすれば身分証として使える。
・[用語] 【冒険者カード】:
表面に名前と会員証の更新予定日。裏面には大きく階級が刻印されている。米軍のドッグタグのようなもの。認識票。階級によって、カードの材質に差はない。
・[用語][人物] 【A級クラン『カインの爪痕』】:
【拠点】モスキア
【リーダー】カイナ・クロッカス(35歳/人族/女性)
【構成員】16名以上
・[用語][人物] 【A級クラン『煉獄祭壇』】:
【拠点】モスキア
【リーダー】ホワン・ルッツ(42歳/人族/男性)
【構成員】18名以上
・[用語][人物] 【B級クラン『ヴェルキス五連星』】:
【拠点】モスキア
【リーダー】ブラカ・アリオール(33歳/人族/男性)
【構成員】12名
・[用語][人物] 【B級クラン『マクシム・グレコ』】:
【拠点】モスキア
【リーダー】シュトロ・カヴァエバ(78歳/エルフ族/男性)
【構成員】14名
・[用語][人物] 【C級パーティー『マルスの灯火』】:
【拠点】ハバストロク→モスキアに移動
【リーダー】ゲイリー・チャップマン(22歳/人族/男性)
【構成員】6名
・[用語][魔物] 【長っ鼻】:
魔物の一種。正式名称はディーマンモス。雄は10tを超える。可食部位は50%に達する。北大陸では狩猟調整が施されている為、討伐報酬はない。
◆第3話 「最後の楽園」
・[用語][人物]【マルスの灯火】:
ハバストロク出身のC級パーティー。新進気鋭の若手6人組パーティー。リーダーは人族ゲイリー・チャップマン22歳。斥候を兼任。将来を嘱望されている。
・[人物] 【スヴェン・ウォーカー】:
「マルスの灯火」所属の剣士。人族21歳。身長約195cm。人を食ったような性格。イタズラ好きで手癖が悪い。
・[人物] 【ルシス・カラク】:
「マルスの灯火」所属の槍士。人族22歳。数世代前に獣人族の血が入っている。身長約190cm
・[スキル] 【鑑定(生物)】:
相手の情報をスキャンするスキル。知り得る情報はスキルレベルに依拠。対象の体内魔力に触れる必要がある。
※『鑑定(非生物)』、『鑑定』とは別。
・[スキル] 【ステータス偽装】:
事前に自身のステータスに好きな情報を書き込むことで、『鑑定(生物)』に対し、偽装出来るスキル。鑑定系の魔眼すら騙す。ただし、天然モノの『ステータス偽装』は希少で、取得条件も不明。一般的には『魔導礼賛』の「魔導王」イブン・アブドゥラヒムが開発したスクロールを使う。スクロールの場合、一回だけの使い切りの為、『鑑定(生物)』を使われた時点で、効果を失う。常時発動スキル。
※『鑑定(生物)』に対しては偽装可能だが、『鑑定』に対しては偽装することは出来ない。
・[人物] 【イブン・アブドゥラヒム】:
クラン『魔導礼賛』リーダー。五大国の合資ギルド『始祖極性』所属。レミントラ帝国最強の盾にして、二つ名は「魔導王」。スクロール版『ステータス偽装』の開発者。人族とエルフ族のクオーター。コーカ暦1796年時点で89歳。
・[用語][スキル][魔術] 【スクロール】:
元々は始祖大陸の遺跡から、「石板」の形で発掘された古代遺物。その構造と仕組みを解明したのが『始祖極星』所属の「魔導王」イブン・アブドゥラヒム。魔皮紙を使う。魔力を込めることで、1回使い切りの魔術、あるいはスキルが使用出来る。魔術に関しては中級魔術、一部の無属性や回復魔術が発動可能なスクロールは開発済み。ただし、スキル発動可能のスクロールは『ステータス偽装』のみ。
・[用語] 【鑑定書】:
教会が発行するステータスの一覧。人族は5歳(=洗礼)、それ以外の種族は成人となる16歳で教会に発行してもらうケースが多い。身分証明書にもなる。司教が『鑑定(生物)』を使って鑑定したもの。
・[用語][スキル] 【古代魔術】:
エルフ族の種族特性スキル(レア)の一つ。古代語を使った魔術や精霊魔術などの取得、学習、理解、使用の際にプラス補正が掛かる。ケイリィ・レグルスが保持しているが、彼の場合はギフト。後天的にも取得可能。ただし、難しい条件がある。
・[用語][スキル] 【古代アラト語】:
始祖大陸以前のアラトの言語。巨人族と竜人族が使っていたとされる言語。[スキル]【古代アラト語】はギフト。ラスカ・ヴォロノフが保持。
※[スキル]【古代語】とは別。
・[地名][用語] 【旧シンバ皇国領】
本来の意味はかつて「大災害」前に中央大陸に存在したシンバ皇国の跡地。現在は、強力な魔物や変異体の魔物が跋扈する無法地帯を意味する。一応、五大国の管理下にあるとされているが、未踏破、未発見の迷宮も数多く、容易には管理出来ない広大な土地。 冒険者に残された「最後の楽園」と言われる。
◆第4話 「100セラ銀貨と五大国」
◆第5話 「フクロウの尻尾」
◆第6話 「雲を掴むために」
◆第7話 「特権」
◆第8話 「賭け」
◆第9話 「金のためではなく」
◆第10話 「」