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8 「シャイニング・レイ」



シュルツ「さ、次は紅組の番です」


美卯「紅組応援団長の美卯でーす。っていうか、もう夜中の四時だよお、眠いねえ」


シュルツ「確かに眠いけど仕事なんだからそんなこと言っちゃだめだろう!」


美卯「は、はい、ごめんなさい。目がクワッとしてた、今。目がクワッと」


イサギ「まあまあ、眠いのは仕方ないだろう。眠い時に寝なければ、パフォーマンスが落ちる。パフォーマンスが落ちては、戦い抜くことは難しい」


シュルツ「いきなり出てきてなんなんだあんたは。ていうか、なにと戦うの?」


イサギ「……悪と戦うんだ」


シュルツ「悪て……」


美卯「なんかこういう人、美卯の友達にいるかも」


シュルツ「だいぶ特殊じゃない!?」


美卯「いっつも黒い服着てて、片目を眼帯で隠していて、翼とかシルバーのネックレスとかジャラジャラ下げていて、『右腕が疼く……』とか言う感じの……」


シュルツ「そういう特殊な人は、うちの会社にもいるな……」


イサギ「お前たち、好き勝手言っているな……」


美卯「でもイサギさんは、かっこいいよねー」


シュルツ「えっ、そうなの?」


美卯「かっこよくない?」


シュルツ「いや、う、うん、どうなんだろうね、ボクはちょっとコメントを控えさせてもらおうかな、うん」


イサギ「別に誰にカッコいいと思われようが、かっこ悪いと思われようが俺は気にしないさ。どうせ自分の生き方を曲げるつもりはないしな」


美卯「ほら、こういうの!」


シュルツ「あっ、ちょっとかっこいいかもって思っちゃったかも! やばい、この人なんかヒナさんみたいな魔力がある! かかわっちゃいけない類の人だ! 目を逸らそう!」


イサギ「それはそうとして、なんで俺は呼び出されたんだ? スタッフから次の出場者が俺に関係があるからと」


美卯「それは見てのお楽しみだよー」


シュルツ「それでは『ISAGI GIRLS BAND』、VTRをどうぞ」(目を逸らしつつ)




 ** **




Q:まずグループ名の由来を教えてもらえますか?


プレハ『うん、『ISAGI GIRLS BAND』で提出したけど、あたしたち『P・R・A・D』に変えたんだ』


リミノ『みんなの頭文字を取ったんだよね、プレハお姉ちゃん』


プレハ『やっぱりそっちのほうがいいかな、ってね』



Q:あなたは誰のためにこの曲を作りましたか?


プレハ『そうだなー、んー、これはホントにごまかしているわけでもなんでもなくて、あたしたちみんな大切なもののために歌うんだよね』


アマーリエ『あたしは新しく生まれてくる子どもたちのためにも、歌いたいわね』


プレハ『うん、うん、つまりそういうことかな?』



Q:曲作りは難しかったですか?


プレハ『だって、どう思う?』


デュテュ『と~っても大変でしたぁ~。でも、みんなで顔を合わせて作っていくのは、それ以上にすっっっっごく楽しかったです!』


プレハ『あはは、たまに意見がぶつかり合うときもあったけど……でも、うん、楽しかったよ』



Q:その笑顔、感動しました。ありがとうございました。




 ** **




 揃いのスーツのような衣装を着た四人は、それぞれの楽器を手にしていた。


 プレハはベース、アマーリエがギター、リミノがドラムで、デュテュがキーボードだ。四人は目を合わせるとリズムを合わせ始めた。


 リミノがドラムを鳴らすと、それぞれも楽器に命を吹き込んでゆく。

 プレハがマイクに口を近づけて、「さあみんないくよー!」と呼びかける。


シュルツ「それでは歌っていただきましょう。『P・R・A・D』で、『シャイニング・レイ』。どうぞー」







『シャイニング・レイ』:P・R・A・D


 作詞作曲:P・R・A・D




 今響き渡る 私たちのSound

 光貫く すべてがShining

 

 目まぐるしく 変わるVision

 夢見た先が 未来のVersion



 行こう どこまでも行こう

 前だけを見て Get on


 Crash なんて しないわ

 Brush up しながら


 願いを届けるわ

 この手で 駆けてゆけ


 going going go!!



 変わる世界の Speedに

 愛嬌すらも 忘れずに


 繰り広げるわ Storyを

 熱狂なんて 当たり前


 変わる世界の Speedに

 愛嬌すらも 忘れずに


 繰り広げるわ Storyを

 熱狂なんて 当たり前


 live live believe!!





 ** **




シュルツ「『P・R・A・D』さん、ありがとうございました」


美卯「パフォーマンスもかっこよかったねー!」


シュルツ「ところどころ魔法をぶちまけていたような気がするけど、高度に発達した科学は魔法と見分けがつかないからね。きっと気のせいだろう。この世界には魔法なんてないんだ」


美卯「どうだった? イサギさん、恋人なんだよね」


イサギ「……」


美卯「え?」


シュルツ「おいおい、ちょっとキミィ、テレビ番組で黙るとかないんじゃないの? プロ失格なんじゃないのぉ?」


美卯「うわあシュルツくんなんかすごいねちっこい顔してるう」


イサギ「素晴らしい……」


美卯「えっ」


シュルツ「お、おう」


イサギ「俺はやはり、この世界を守らなければならないな」


美卯「あれ、なんか感動が変な方向に」


シュルツ「そういう感じの歌だったかな……? なんで魂に火がついてんの?」


イサギ「それじゃあ行ってくる。どこかで困っている人の涙を拭うために。じゃあな」


美卯「あっ、えっと」


シュルツ「なんか跳んでっちゃったんだけど」


美卯「か、かっこいい……のかな?」


シュルツ「わからない。ボクにはもうなにもわからない」


美卯「自由な人だったね……」


プレハより一言:イサギはその後、ひったくりを掴まえて近くの警察に感謝されて帰ってきました。


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