7 「Love Forever」
シュルツ「えーじゃあ、白組ー」
愁「ファイトー」
慶喜「おー……っす」
シュルツ「なんかひとりのせいで暗いな」
愁「家に帰ったら明るい部屋が待っていてくれるのにね」
慶喜「いや、まあ……、へへっへへへ」
シュルツ「ていうか、なんかプロフィール見たら既婚者らしいじゃん、こいつ。どういうことなの? リア充なの?」
愁「そうだよ、僕たちとは比べ物にならないほどの幸せ者だよ。僕たちみたいなのが少し恨んでも、まあバチは当たらないんじゃないかな」
慶喜「いや、まあ、はい。愁サンは色々と大変でしたもんね。ぼくもわかりました。やっぱり男は顔じゃないんですね。心なんすね……」
愁「その心のせいでキミは今、締め出されているわけだけども、それについてはどう考えているのかな?」
慶喜「愁サンは口もうまいなあもう!」
愁「それでは次のグループは『乙女は辛いデスオールスターズ』だよ」
シュルツ「VTRをどうぞー」
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Q:あなたは誰のためにこの曲を作りましたか?
三島優斗『そうだなあ、やっぱり、俺たちのことをずっと応援し続けてくれている、ファンの子のためにかな』
九条椋『……優斗と同じ意見というのは癪だが、その通りだ。僕たちはアイドルとして彼女らに報いなければならないからな』
三島優斗『へへっ、椋ちゃんは真面目だなあー』
九条椋『ふんっ、お前が適当すぎるだけだ!』
Q:曲作りは難しかったですか?
七海光『ま、そりゃーね。普段バンドとやっている曲が全然違うからさ。でもその分、逆に燃えたね。仔猫ちゃんを絶対にメロメロにしてやろう、ってさ』
一ツ橋樹『みんなで力を合わせて作ったからね。とても充実した時間だったよね』
八宮龍旗『曲作りというのは面白かったな! またやってみたいぜ!』
Q:そのチームワーク、感動しました。ありがとうございました。
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そしてステージに並ぶのは、九人の煌びやかな少年たち。
スポットライトを浴びる彼らは、まさしく輝いていた。
その美貌、まるでゲームの中から抜け出してきたかのように、美しい。
九人は一糸乱れぬ動きで並ぶと、メロディと共に体を揺らす。
――さあ、ショータイムが始まるのだ。
シュルツ「それでは歌っていただきましょう。『乙女は辛いデス・オールスターズ』で、『Love Forever』。どうぞ」
『Love Forever』:乙女は辛いデス・オールスターズ
作詞作曲:AgapE
知らなかったな こんな気持ち
ずっとずっと 待ち続けていたんだ
夕焼けに照らされた キミの笑顔
影と影が抱き合って ボクたちはひとつに
シャララ シャララ
恋に囚われた このココロ
まるで翼の折れた 天使のようだね
胸が痛いよ ずっとキミと
一緒にいられると 思っていたから
シャララ シャララ
目を閉じて 今ここで
悪い魔法使いは もういない
運命なんかに 負けないで
時計の針を 永遠に止めよう――
Control my own destiny......
Love Forever......
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シュルツ「『乙女は辛いデス・オールスターズ』さん、ありがとうございました」
愁「なかなかいい余興だったね」
シュルツ「ボク思うんだけど、愁さんって性格悪いよね? そうだよね?」
愁「それを本人に問う君もなかなかのものなんじゃないかな」
ヒナさん「いやあ、感動しましたね」
シュルツ「ひい」
愁「あれ、慶喜くんは?」
ヒナさん「歌の途中ではけていきました。スタッフの方に『あなたがMCだと、ちょっとテレビ的に見栄えが……』って言われていました」
愁「まあ仕方ないね」
シュルツ「慶喜さんかわいそう。……っていうか、今のオールスターズを見たけど、ヒナさん大丈夫なの?」
ヒナさん「? なにがです?」
シュルツ「いや、ほら、魂が抜け出る的な……。生ステージだよ、生ステージ」
ヒナさん「大丈夫です! テレビの前ではそんなヘマはしません! その代わりさっきたっぷり裏でビクンビクンしてきましたから!」
シュルツ「無駄にプロ意識」
愁「それじゃあ次は紅組だね」
ヒナさん「ええ、負けませんよー」
シュルツ「そのときボクは、バチバチと火花を散らすこのふたりを見て思った」
シュルツ「最強の矛であるクレイジーサイコビッチ・藤井ヒナ。そのビッチ波を涼しい顔で受け流している最強の盾、緋山愁」
シュルツ「このふたりに挟まれたボクの運命は、再びこの日、激変してしまうのではないだろうか、と」
シュルツ「一般人のボクは、戦々恐々としていたのであった……」
三島優斗より一言:よっ、久しぶり。メリークリスマスだな、○○ちゃん。ん、寒いか? ったくしょうがねーな。ほれ、入れよ、俺のコートの中にさ。温めてやっからさ。へへへ。