22 「LOVE2015」
シュルツ「紅組のトリは、『西野ヒナ』さんです」
美卯「女子高生に大人気のシンガーソングライターみたいだね!」
シュルツ「まあなんでもいいんだけどね」
美卯「ヒナちゃんの曲なのに、胸ときめかないの?」
シュルツ「まあ檻の中に入っているティラノサウルスなら見てみたいけど、でも放し飼いにされているティラノに好き好んで近づきたがるやつはいないと思うよ」
美卯「あんなに地味で平凡な女の子なのに」
シュルツ「なんだろう。こう、本人がそれを言っているときには、はいはい乙乙って気分だったけど、他の人がヒナさんにそう言っているとブン殴りたくなるね」
美卯「シュルツくん終わりが近いからってもうだいぶ素が出てきちゃっているね」
シュルツ「世界に平和が訪れようとしているのだ」
美卯「あんなにヒナちゃんと仲良しなのに」
シュルツ「次言ったら名誉毀損で賠償請求してもいい?」
美卯「そこまでなの!?」
シュルツ「それではVTRをどうぞ」
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Q:あなたは誰のためにこの曲を作りましたか?
ヒナさん『そうですね……。わたし自身が愛するみなさんのために、ですね』
ヒナさん『日頃の感謝を歌に込めました』
Q:曲作りは難しかったですか?
ヒナさん『難しかったというか、実際はその、まだ詩が完成していないんですよね。メロディだけ先に作っちゃいまして』
ヒナさん『なので、そこから先は歌いながら即興で考えていければと思っています』
ヒナさん『がんばりますので、応援していてください』
Q:その発想、感動しました。ありがとうございました。
ヒナさん『こちらこそ、ありがとうございます』
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彼女らしからぬ普通のVTR映像が流れた後、学校の制服を着たヒナがステージに立つ。
彼女は遠い目をして、アーティストさながらの表情を作って、颯爽と背筋を伸ばしていた。
ときおり遠くを掴むように手を伸ばす。もうだいぶ世界に入り込んでいるようである。
やがてポーズを取った後、静止したヒナ。辺りに光が瞬き、そうして歌が始まる。
シュルツは気が進まないながらも、彼女を紹介した。
シュルツ「それでは歌っていただきましょう。『西野ヒナ』で、『LOVE2015』。どうぞー」
『LOVE2015』:西野ヒナ
作詞作曲:藤井ヒナ
きょうはいろんな人に 出会えた
人との出会いが わたしを変えてゆく
いつまでも 覚えていたい
すべての人を この記憶に閉じ込めて
イサギさんは 正義かっこいいな
キキレアさんは 闇かわいいな
ナルルースさんは ノーコンかわいいな
ミエリさんは 女神かわいいな
慶喜さんは ダメかっこいいな
ロリシアちゃんは しっかりものかわいいな
イラさんは 女騎士かわいいな
シルベニアさんは 魔女っ子かわいいな
美卯ちゃんは 相変わらずもうすごくかわいいな
プレハさんは 大人かわいいな
デュテュさんは 天然かわいいな
アマーリエさんは 毅然かわいいな
リミノさんは 凛とかわいいな
ミミニさんは ウサぴょんかわいいな
ルルシィさんは ゲーマーかわいいな
ルビアさんは お姫様かわいいな
愁さんは とにかくめちゃくちゃ顔がタイプ
マサムネさんは ゲスかっこいいな
椿ちゃんは 女装かっこいいな
廉造さんは お兄ちゃんかっこいいな
愛弓ちゃんは 妹ちゃんかわいいな
冷静な男さんは 冷静かっこいいな
おうどんエルフさんは エルフかわいいな
けんじくんは 置いとくとして
ブルーメちゃんは やっぱりかわいいな
きょうはいろんな人に 出会えた
人との出会いが わたしを変えてゆく
いつまでも 覚えていたい
すべての人を この記憶に閉じ込めて
ありがとう この出会いに ありがとう
あとみなさんの 連絡先 教えてほしいな
わたしも 教えるから
みんなで一緒に 幸せになろう
会場のみんなも 一緒に
世界はこうして 繋がってゆくんだね
わたしは今 愛を知ったよ
鳴りやまない拍手の中、シュルツは思った。
なに言ってんのこいつ。