表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

19 「聖夜にキミを抱きしめる」



シュルツ「いよいよ残すところもあと四組だねー!」


愁「そうだね、ここらへんで一気に点差をつけておきたい頃だね」


シュルツ「いやあ長い番組もそろそろ終わりだね。どう? ここまで白組の応援団長を続けてきて」


愁「思ったよりは嫌いな人が少なくてホッとしているよ」


シュルツ「思ったよりは」


愁「何人かはいた」


シュルツ「白組応援団長だよね?」


愁「応援団長も人間だよ。すべての人を平等に愛することができるのは、神さまぐらいなものさ」


シュルツ「なんかいいこと言っている風で、実は愁さんってものすごい薄っぺらい台詞を吐いているよね。ぺらっぺらだよね」


愁「僕と君の距離も、この一日でずいぶんと縮まったね。僕は嬉しいな」


シュルツ「微塵も思ってませんよね……」


愁「さて、どうかな」


シュルツ「じゃあえっと、今回のグループは」


愁「『三代目Kenji onlys』だね」


シュルツ「ひとりなのかグループなのかわかりづらいけれど、ソロらしいです」


愁「次も僕が嫌いじゃないタイプの人だといいな」


シュルツ「う、うん。それでははVTRをどうぞ」




 ** **




Q:あなたは誰のためにこの曲を作りましたか?


けんじ『そうだね、しいて言えば、クリスマスに寂しい思いをしている全世界の女の子のために、作った曲かな』


けんじ『これは完全に余談だけど、ぼくは今年の予定は“たまたま”空いていてね。ははは。ま、余談だけどね』



Q:曲作りは難しかったですか?


けんじ『難しかった……、と本来は言うべきなんだろうけど、ぼくはそうでもなかったかな(笑) やっぱりバンドやっていた頃もあったからね。いやバンドやっていたというと語弊があるかな、バンドをやろうとしていた頃、かな。でもやるのもやろうとしていたのも、まあ似たようなものだよね。ようは行動をしたかしていないかの違いでしかないんだからさ、ハハッ』


けんじ『だから言ってしまえば、ぼくはバンドをやっていないけれど、まあ99パーセントはやっていたと言っても過言ではないよね。そそっ、だから曲作りもすらすらできちゃったよ、ハハッ』



Q:その自信、感動しました。ありがとうございました。


けんじ『いえいえ、こちらこそ。それじゃあ今年は最高のクリスマスをみんなに捧げるよ。Merry Xmas!』




 ** **




 ぎんぎらりんの衣装に身をまとい、顔に派手なメイクを施し、さらには髪を逆立てたけんじがいた。

 彼は引けないギターを肩から下げ、ニヒリズムを口元に浮かべながら、カメラに向かって語りを入れる。


けんじ「それじゃあみんな、きょうは楽しんでいってちょうだいね」


 激しいドラムの音色が響き、けんじは強くヘッドバンキングを始めた。



シュルツ「それでは歌っていただきましょう。『三代目Kenji onlys』で、『聖夜にキミを抱きしめる』。どうぞー」







『聖夜にキミを抱きしめる』:三代目Kenji onlys

 作詞作曲:Kenji




 ラララ トゥナイ!

 寂しい子が いるのなら


 ほらおいで 僕が温めてあげる

 身も心も なにもかも


 さすがに財布は 温められないけどね(笑)

 イカしたジョークも飛び出る ぼくはけんじ


 I am a Kenji...Tonight!!



 クリスマス それは聖夜

 恋人たちの ラブリースイートタイム


 願いを叶えて あげる

 世界で一番 とびきり素敵な恋人を


 見えるだろうほら 瞳を開いて

 そう君の前! ぼくはけんじ


 I am a Kenji...ALL TIME!!



 逃がさない 捕まえて

 離さない どこまでも


 ああ 狂おしいほど

 愛しているんだ キミを


 キミも あとキミも

 隣のキミも そうキミも!


 いいじゃない みんなで幸せになろうよ

 きょうは神様の 誕生日 



 ぼくはけんじ キミは誰!

 その眼差しに ぼくはメロメロ


 踊ろう さあさ

 踊ろう 今夜


 ぼくはけんじ

 だからキミも


 Kenji power of Kenji!!





 ** **




シュルツ「『三代目Kenji onlys』さん、ありがとうございました」


シュルツ「なんというか、すごい、ソウルフルな曲だったね」


愁「あー」


シュルツ「どうかした? 愁さん」


愁「僕、この人嫌いだなあ」


シュルツ「えっ!?」


愁「なんかちょっと生理的に受け付けられないよね」


シュルツ「いや、別に、僕は……。どうでも」


愁「そっか、まあ人それぞれだからね」


シュルツ「ていうか、番組中にピリピリしないでくれない? ボクびっくりするから。びっくりしちゃうからね」


愁「うん、ごめんごめん、大人げなかったね。裏で説教してくるよ」


シュルツ「あ、はい……お好きに」


愁「では次は紅組だね。耳直しがしたいな」


シュルツ「そ、そうだね。次にいこう」




けんじより一言:フッ、やりきったぜ……。全世界の女の子諸君、ありがとう……。応援してくれてありがとう……。僕の電話番号は、080-XXXX-XXXXです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ