18 「シークレットゲストx2」
シュルツ「えー、という感じで、シークレットゲストです」
愁「いったい誰がやってくるんだろうね」
美卯「美卯たち応援団長も知らされていないんだよね!」
愁「もしかして、僕たちの知っている人かな?」
美卯「だったらドキドキだねー」
シュルツ「うん、そうだね。いや、うん」(カンペを見つつ)
シュルツ「ごめん、絶対にキミたちは知らないわ。ていうか、ボクも知らないわ」
シュルツ「誰だろう……、え、どうしよう。え、誰なんだろう」
シュルツ「え、こんな人たちスタジオに呼んでいいの? 一応手錠とか、ボタンを押すと爆発する首輪とかつけておく? つけておかなくていい? あ、そう。まあめちゃめちゃ強い人たちいっぱいいるもんな」
シュルツ「じゃあ、お呼びします」
愁「ん、直接こっちに呼ぶ形なんだね」
美卯「歌は歌わないの?」
シュルツ「いや……、うん、まあ、それではお呼びします」
シュルツ「シークレットゲストのおふたりです!」
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冷静な男「初めまして」
おうどんエルフ「こんにちはー」
シュルツ「あ、はい」
愁「冷静な男……?」
美卯「おうどんエルフさん……」
冷静な男「私は冷静な男なのである。冷静になろう」
愁「うん、冷静だよ」
冷静な男「そうか。ならば私の出番はもうないな。人は皆、冷静であるべきだ。冷静であるがゆえに私はいる。皆で冷静になろう」
愁「そうだね」
冷静な男「冷静な私は冷静に去る。ではな」
愁「はい」
シュルツ「ボク、じっと見ていたら『冷静』って文字は本当にこんな文字だったかな……? って気分になってきたよ」
美卯「それで、あの、あなたはエルフなんだよね? なんでおうどん?」
おうどんエルフ「好きだから、かな」
美卯「あ、そうなんだ。美卯もケーキ好きだけど、でもケーキ人間って名前つけないよ」
おうどんエルフ「そこは文化の違いだね」
美卯「舞台袖でナルルースさんとリミノさんが、必死に『違う違う!』って手を振っているんだけど」
おうどんエルフ「人間だっていろんな人種がいて、いろんな国籍があるでしょ? それなのにエルフだけをひとくくりにしようというその考え方はなんか違うと思う」
美卯「あ、ごめんなさい。そうだよね、確かに。ごめんね」
おうどんエルフ「ううん、大丈夫。おうどんの神様は誰にでも微笑んでくれるから。ね?」
美卯「うん、ありがとう。ところで名前はなんていうの?」
おうどんエルフ「おうどんエルフ」
美卯「……うん、そっかあ」
シュルツ「あ、理解を諦めた顔だ。あれよくボクがヒナさんにやるやつだ」
愁「それでは次のゲストにいこうか」
美卯「おうどんエルフちゃんは歌わないの?」
おうどんエルフ「うん、その代わりにみんなにおうどんを振る舞って帰るよ!」
美卯「なにそれ嬉しいー」
シュルツ「視聴者さんは嬉しくないかもしれないけど、嬉しいなー」
愁「じゃあみんなでおうどんを食べながら、食レポでもすればいいんじゃないかな」
シュルツ「いや、そういう台本に書いていないお仕事はちょっと」
美卯「シュルツくんって図太いんだか小心なんだかわかんないよね」
おうどんエルフ「じゃあおうどん食べて、心も太くなろうね! なんておいしいところをもってっちゃった! おうどんだけに! おうどん、だけに!」
シュルツ「あ、はい……」
美卯より一言:スタジオには冷たい風が吹き抜けてゆきました。