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12 「HERO」



シュルツ「…………」


ルルシィ「というわけで、最近ソシャゲにハマっちゃってハマっちゃってやばいんだよね。ネトゲは相変わらず続けているんだけど、あのフルダイブの心地よさを味わっちゃうとねえ」


ルビア「だからって時間を浪費する先がソシャゲっていうのは、どうなんですかぁ……」


ルルシィ「大丈夫大丈夫。大学卒業した先は、ちゃんと進路決まっているからね」


ルビア「なにをするんでしたっけ」


ルルシィ「ふふふ、あの快感をもう一度、だよ。ソシャゲはとてつもなく楽しいけれど、魂を震わせるほどの快感はガチャでSSRとかを出したときしかないわ」


ルビア「一応味わえるんですね……」


ルルシィ「だからわたしはこの場で宣言をします。わたしはね、VRMMOを作るのよ。ほら、イオリオ、シス、レスター! 見ているか! わたしは世界発のVRMMOを作る! わたしに任せろー! バリバリ!」


シュルツ「………………」


ルビア「さっきからこのぬいぐるみの子、喋りませんけど、どうしたんですかぁ?」


シュルツ「いや、まあ、はい。和久井先輩……、すみません……」


ルビア「ふぇ? どうしてあたしの名前を……、ってそりゃ総合司会さんなんですから、知っていますよねぇ」


シュルツ「あ、はい、そうですね。はい。じゃあそろそろ次のグループにいきましょう」


ルルシィ「おー」


シュルツ「それでは『ザ・美形ズ』です。VTRをどうぞ」




 ** **




Q:あなたは誰のためにこの曲を作りましたか?


マサムネ『そうだな。ま、世界平和のためってところかな。音楽で世界を救うんだよ。ラブアンドピースさ』



Q:曲作りは難しかったですか?


マサムネ『ン、そうでもねえよ。俺たちはすでに判断材料を集め終わっていた。ならばその理論のもとにメロディを構築すればいいだけだ。な、愁?』


愁『そうだね。まあ作業の大半は僕がやっていたんだけどね』


マサムネ『そりゃそうだろうよ。俺たちはグループなんだからさ。俺の知恵と、お前の腕が合わされば、敵はいねえよ。ま、お前を使いこなせるやつなんて、俺ぐらいもんだけどな』


愁『うん、そうだね。これからもよろしくね』



Q:ところでそのお名前は誰が決めたんですか?


マサムネ『フッ、所詮は素人か? そんなのは俺が付けたに決まっているだろう。パッケージングというのは一目見ただけでそれがなにかわかるものでなければならないだろう。だったら俺のつけたこの名前こそがベストだ』


愁『うん、そうだね。ありがとうね』


マサムネ『ああ、愁。俺に任せておけ』



Q:その冷静さ、感動しました。ありがとうございました。





 ** **




 というわけで、スポットライトが降る。

 逆光の中、背中合わせでふたりは立っていた。


 ひとりは天井を見上げ、ひとりは下を向いている。

 素肌が見えるシャツを羽織り、大胆な衣装であった。



シュルツ「それでは歌っていただきましょう。『ザ・美形ズ』で、『HERO』。どうぞー」







『HERO』:ザ・美形ズ


 作詞:MASAMUNE

 作曲:緋山愁




 誰かが呼ぶ この俺を呼ぶ

 稲妻閃き 嵐呼ぶ


 どんなときでも そばにいる

 イケてるメンズが ここにいる


 声高にさあ 腕を突き上げ

 名を呼べば 助けに来る


 困ったとき どこからでも

 壁を突き破り 出てくるぜ



 ヒーロー! ヒーイズアヒーロー!

 ヒーロー! ユーアーザヒーロー!

 


 夢見る瞳を 守るため

 幼き命を 救うため


 どんなときでも そばにいる

 イケてるメンズが ここにいる


 かすれ声でさあ 涙が落ちて

 その音で今 助けに行くぜ


 ピンチのとき どこからでも

 空を引き裂き 出てくるぜ



 ヒーロー! ヒーイズアヒーロー!

 ヒーロー! ユーアーザヒーロー!



 ヒーロー! ヒーイズアヒーロー!

 ヒーロー! ユーアーザヒーロー!



 ヒーロー! ヒーイズアヒーロー!

 ヒーロー! ユーアーザヒーロー!



 ヒーロー! ヒーイズアヒーロー!

 ヒーロー! ユーアーザヒーロー!



 ヒーロー! ウィーアーザヒーロー!




 ** **




シュルツ「『ザ・美形ズ』さん、ありがとうございました」


シュルツ「あのキレのあるダンスは、たぶんあれだよね。めちゃめちゃ練習していたやつだよね」


愁「いや、そうでもなかったよ。すぐに覚えられたかな」


シュルツ「あ、お疲れ様です。戻ってきたのか」


愁「武芸に比べたらあの程度は遊びだからね」


マサムネ「そ、そうさ、まあな……。ハァ、ハァ……」


シュルツ「この人めっちゃ息切れているんだけど」


愁「演出だよ。彼は慎重で冷静な男だからね。涼しい顔で出てくるよりも、汗水を垂らして現れたほうが好印象を抱かせられると思ったんだろう」


マサムネ「ふっ、さ、さすが愁だな……、俺が認めた男だ。なにもかも見通していやがるな……」


シュルツ「ていうかキミに、すごい根本的なツッコミをしたいと思うんだけど……」


マサムネ「ほう、俺にか。良いじゃねえか、総合司会のシュルツと言ったな。総合司会の役職を与えられているのならば、その仕事っぷりを示してみるといい。給料の分は働くんだな」


シュルツ「うわあ、ボクこいつ苦手だなあ……。いや、まあそれじゃないや。あのね」


愁「(ニコニコ)」


マサムネ「うむ」


シュルツ「キミ……、別に、美形じゃないよね……」


マサムネ「…………えっ?」


シュルツ「いや、確かに愁さんは美形だけど……、でも、キミは、別に」


マサムネ「えっ? いや、……えっ?」


シュルツ「しかもその名前自分でつけたって……、やばいよね」


マサムネ「……」


シュルツ「…………」


愁「それでは次のグループへ進もうか。次へどうぞ」




マサムネより一言:え、あれ? いや、薄々気づいていたけど、本当に? 愁、これマジで?


愁より一言:うん、それは僕の立場からはなんとも言えないかな。


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