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第6話 六日目

更新遅れました。もう日にちをまたいでいます

 私の名前は中野一成。千葉県船橋市出身。東京律政大学卒業。元防衛省役人。47歳。衆議院千葉2区選出。当選回数は5回。所属政党は与党平和党。現時点での役職は衆議院安全保障委員会委員長だ。党内の派閥も党に5つある派閥のうち第4派閥に所属しているということもありまあ、同じよう党といいながらも政権の中枢部からは相当離れていると考えてもいいぐらいであった。

 そんな私であるが、急に周りが騒がしくなってきたのであった。それは、昨日の総理の党本部での会見においての発言が大きかった。それが、以下の発言である。


 「みなさん、私の第2次内閣は発足からちょうど500日経ちました。ですので、そろそろ内閣改造を行いたいと思います。各派閥の方からの推薦は今回はお断りです。国務大臣につきましては私が一本釣りをする予定ですが副大臣、ならびに大臣政務官につきましてはみなさん個人の意見を尊重したいと思いますので希望を書いた紙を幹事長にまで提出してもらいます。期限は明々後日とさせていただきます」


 佐藤総理の内閣改造宣言は平穏であった党内に一個のあらしをもたらした。

 私自身は大臣になるつもりはないのでどうでもいいような話であったが、周りにいる同僚議員たちはみな大臣になりたいという大臣病にかかったかのように総理に露骨にアピールをはじめたり、派閥の領軸に頼み込んだりしている。かくいう、私は派閥の会議に出ているが自分以外の人に大臣になってもらうように頼む予定だ。

 大臣になんかになったらマスコミからいいように狙われるのが落ちだ。だったら、裏方で政策を練って操った方が私の分野である。それが、官僚出身の私なりの政治生命であると信じている。


 ◇◇◇


 いよいよ明日が内閣改造の日だ。

 多くの平和党議員が明日という日を心から待っている。ただ、退任する大臣にとっては明日という日が来てほしくないのかもしれない。でも、やはり多くの議員が自分こそが次の大臣だという高い自信を持って明日を望むこととなる。

 さて、誰が大臣になるのかどうか私にとってはどうでもいい話だ。

 そういえば、まだ現在の内閣の閣僚について見ていっていなかった気がする。では、ここで第2次佐藤内閣の閣僚名簿を見ていきたいと思う。


内閣総理大臣 佐藤俊彦


副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融担当)川崎俊介


総務大臣  児島大地


法務大臣  清水直治


外務大臣  大井寛


文部科学大臣  遠野美佐子


厚生労働大臣 荒田翔


農林水産大臣  森謙光


経済産業大臣 金沢美智也


国土交通大臣兼水循環政策担当兼海洋政策担当 中川秀樹


環境大臣 小清水香織


防衛大臣 伊集院悟


内閣官房長官 神本茂


国家公安委員会委員長兼内閣府特命担当大臣(防災担当)兼拉致問題担当  赤井浩一郎


内閣府特命担当大臣

(沖縄及び北方対策担当)

(消費者及び食品安全担当) 大林持家

(科学技術政策担当)

(宇宙政策担当)

情報通信技術(IT)政策担当


内閣府特命担当大臣

(少子化対策担当)

(男女共同参画担当)

行政改革担当     鳥取加奈子

女性活躍担当

国家公務員制度担当


内閣府特命担当大臣

(経済財政政策担当)

経済再生担当    安芸岩男

社会保障・税一体改革担当


内閣府特命担当大臣

(国家戦略特別区域担当) 羽田慎太


 これが第2次佐藤内閣の閣僚名簿だ。ちなみにこの中で参議院議員なのは鳥取内閣府特命担当大臣、清水法務大臣の2人だ。基本的に参議院議員というものは1内閣においてバランス的に2人ぐらいは入閣するものとなっている。特に法務大臣は参議院枠と言われており参議院議員が就任する割合がかなりの確率で高い。今回の内閣改造において入閣を目指す参議院議員の多くが望みとして欠けているのがこの法務大臣という役職だ。死刑執行などの署名や指揮権と言われる検察の捜査を強制的に切り替えさせるなどといった力を持っている法務大臣なのであるが、政治的には特に重要しされておらず軽い役職に見られているのが現状だ。

 まあ、私としては法務大臣など全く興味がないのでどうでもいいようなことであるが。

 さて、そんな私であるが今日のところは予定という予定はなかった。党内は明日の内閣改造のことでいっぱいであり会議などを行っている余裕のある人間なんて私のような大臣の座に興味を持っていないやつか逆に大臣を退任する奴ぐらいだ。

 なので、私は自分の部屋にいた。この自分の部屋というのは衆議院議員会館という建物だ。各国会議員に部屋が割り当てられておりそこに私はいる。


 「暇だな」


 会議も何もない日でありかつ仕事という仕事も珍しくなかった。いや、仕事ができなかったというのが正しい。おそらく、この内閣改造に合わせて私は衆議院安全保障委員会委員長の座から離れることとなる。と、成るとその仕事の予習みたいなことをしても無意味になってしまう。結果として、私の次の仕事が決まっていないので何もできない。することができない状況になってしまった。

 そんなわけでテレビでも見ることにしてみた。

 テレビ番組はニュースについてで、明日の内閣改造について話をしていた。ついでなのでこの話を聞いてみよう見てみようと思った。


 ─テレビ─


 さて、明日の内閣改造ですが、有力候補について見ていきたいと思います。

 まず現時点ですが留任することが決定している閣僚は、川崎副総理、大井外務大臣、神本官房長官の3人です。ほかにも留任することが決まっている大臣は今のところこちらには出ていません。

 また、厚生労働大臣には先ほど宇間部秀人さんが内定したとの情報がこちらに来ました。

 おお、ただいま速報が入りました。

 防衛大臣には中野一成さんが内定しました。中野さんが防衛大臣となることとなりました。


 「え?」


 テレビの中で突然私の名前が呼ばれて驚いた。

 すると、いきなり──


 ぶるるるる


 部屋に備え付けられている電話が鳴り響いた。

 私は電話に出る。


 「もしもし、中野です」


 「中野君。入閣が決まったそうじゃないか。おめでとう」


 電話の相手は中村さんであった。中村さんの声はやや上ずっておりうれしそうであることが伝わってきた。


 「いやいわ、まだ正式に決まったわけでは……」


 「そんなこと言うなよ。それに各メディアで取り上げられているぞ。ブラフである確率もあるかもしれないが政歴が長い人間としてはこれはほぼ決定したパターンだ。だから素直に喜んでいいんだぞ」


 そう言って中村さんは電話を切った。

 しばらく私は受話器を持ったまま呆然と立っていた。

 本当に私が大臣に? 

 それが嘘か真実なのかわかるのは明日のことであった……

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