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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode04 短編増殖

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密輸防止の魔石チェッカー

~前回のあらすじ~

スーとシー、二人と一緒に仕事をする約束をした。

 その日の夜。

 俺は魔王城に戻り、南の国に行くことを伝えたうえで、スラ子の名前をカリーヌと改名した。


「カリーヌ……なんと素晴らしい名前。ありがたく拝領します、魔王陛下」


 昨日まではルシルのお古の黒いドレスに身を包んでいたカリーヌだが、今は俺が絹糸からアイテムクリエイトで作った青いドレスを着ている。

 どうやら、カリーヌという名前は気に入ってくれたようだ。

 と思っていると、カリーヌは横目でマユをちらちらと見ていた。

 なんだ? と思ったら、マユが横にいたウォータースライムを頭に被り、


「実は、カリーヌさん、堅苦しい喋り方があまり好きじゃないみたいなんです。コーマ様がよろしければ、彼女に普通の話し方をさせてあげられないでしょうか?」


 カリーヌは恥ずかしそうに俯いた。

 それにしても、ウォータースライム、すっかりマユの発声装置になっているな。

 ウォータースライムが仲間になってから、マユは友好の指輪を付けずに首飾りにして持ち歩くことが多くなったという。

 今も指につけていない。


「そういうことならいいぞ、カリーヌ。ていうか、俺も堅苦しい言葉はあんまり好きじゃないからな。俺のことも好きに呼んでいいぞ」

「……本当によろしいので?」

「ああ。武士に二言はない」


 武士じゃないけど。


「ありがとう! じゃあ、お兄様って呼んでもいいかな?」

「ぐほっ」


 なんだ、これ。やばいだろ、やばすぎるだろ。

 なんで妹キャラなんだよ。


「スライムは全て元をただせば一匹のスライムから分裂していく存在なので、仲間は全員兄弟という認識なんだそうです」


 マユさんが説明してくれた。

 そんな人類皆兄弟みたいな考え方がスライムにはあるのか。


「スライムの強さはほぼ均等ですが、それでも僅かな差異があるので、自分より強い相手を兄、自分より弱い相手を弟みたいに思うみたいです」

「な……なるほど、それで俺がお兄ちゃんなのか。よくわかった」

「じゃあ、お兄様って呼んでも――」

「いや、そこはお兄ちゃんだろ」

「え、でも……魔王様なんだし」

「フランクな口調で話したいと言ったのはカリーヌだろ。お兄様だと堅苦しさが抜けないからな」


 やばい。かなりの性癖が暴露されていく気がする。

 マユが友好の指輪を指にはめていなくて本当によかったと思う。


「うん、わかったよ、お兄ちゃん」


 ぐはっ、俺に……まさか俺に……妹萌え属性があったなんて。


「カリーヌ、お前は俺の妹だ」


 アンちゃんという妹をクルトに奪われた時にあいた穴が埋められていく。いや、今でもアンちゃんは勇者のお兄ちゃんと呼んでくれるけど。


「で、コーマの性癖が暴露されたところで、話を戻したいんだけど」


 ルシルがじと目で見てくる。コメットちゃんまで、俺を蔑んだ眼で見ている気がしてきた。

 な、べつにいいだろ。妹の一人や二人、好きになったって。


「コーマ、南の国に行くの?」

「あぁ、ラビスシティーの南の国、コースフィールドにな」


 コースフィールドは広大な草原の国だ。その草原の中に街が点在しているだけでなく、遊牧民も多くいるという。

 ラビスシティーを囲む四国の中で唯一の共和制の国であるのも特徴の一つらしい。


「楽しそうね。決めた、私達も行くわ」

「無理に決まってるだろ」

「無理じゃないわよ。どうせどこかの町で滞在するんでしょ? なら、その町でこっそり持ち運び転移陣を使って私達を呼べばいいじゃない」

「呼べばいいって……」


 まぁ、転移陣を広げるくらいなら別にいいんだけどさ。

 クリスも今回は同行しないし、コメットちゃんの知り合いもいないだろうから、彼女が外に出ても問題ない。

 むしろ、こういう国外旅行の機会でもないと、二人は迷宮の中に引きこもらざるを得ないからな。


 逆に、外見が変わりすぎたタラならいつでも外に出して上げられるが。


「……コメットちゃんも外に出たい?」

「え……あ、はい……」


 そうか、コメットちゃんも外に出たいか。

 でもなぁ、そうなるとカリーヌを一人残すことになるしな。

 さすがに生まれ変わったばかりの女の子を一人で残すのは忍びない。


「じゃあ、カリーヌさんは私と142層でお留守番ですね」


 俺の心情を察してくれたのか、マユが助け船を出してくれた。


「頼んでいいか?」

「はい。ウォタちゃんもカリーヌさんが一緒だとうれしいみたいですから」

「……あぁ、ウォータースライムのウォタちゃんか」


 マユのネーミングセンスは俺と通ずるところがあるな。

 侮りがたし。



   ※※※


 翌朝。俺はスーとシーとの待ち合わせ場所のラビスシティー南門前にいた。

 朝だと言うのに、門の外に出る行商人が凄い列を成している。まるで誰もがこの町から逃げ出そうとしているようで、俺が知らないだけでこの世の終わりが近づいているのか? と思ったが、そうではないらしい。

 魔石のチェックが行われているのだと言う。

 ラビスシティーの一番の特産品である魔石。

 迷宮に生息する魔物が落とす他は入手方法がないため、この町で買うのが一番安い。

 その輸出の量を調整するために、魔石を扱う商人には、それぞれ購入可能な限度量を設定。

 一定以上の魔石を持ち出せないようにしている。もちろん、商人以外は魔石の持ち出しは厳禁だとか。

 もともとは魔石のチェックはそれほど厳しいものではなかったのだが、なんでも、どこかの誰かが「アイテムバッグ」なる密輸に便利なアイテムを開発してしまったせいで、チェックに時間がかかるようになってしまったそうだ。

 本当に、後先考えずに発明品を店に並べる奴の気がしれない。


 ……すみません、俺のせいです。


 そういえば、魔石に反応する「魔石チェッカー」というアイテムを以前に作った覚えがある。近くに落ちてる魔石に反応するアイテムだ。

 それを渡して帳消しにしてもらうか。

 作ったときは便利なアイテムだと思ったのに、俺のアイテムバッグの魔石にまで反応してずっと音が鳴りっぱなしだったためお蔵入りとなったアイテムだが、逆に役に立ちそうだな。


 などと考えていたら、スーとシーがやってきた。


「お待たせ、コーマ」

「よぉ、スー。随分待たされたよ」

「……ごめんなさい」

「いまのは冗談だ、冗談。謝らないでほしい。今来たところだから」

「ほら、コーマ、シーに謝りな。シーには冗談が通用しないんだから」


 俺は心からシーにだけ謝罪した。


「にしても、これ並ぶのか。町の外に出るのも一苦労だな」

「え? 並ぶわけないでしょ?」


 スーはそう言うと、列を無視して、門番のところに近付いていき、


「通してもらっていいわよね。この二人は私の従者だから」

「勇者ブローチを御呈示してください。はい、スー様とその従者様ですね。どうぞ、こちらへ」


 正門の横の小さい扉をくぐり、俺たちはチェックも何もされずに門の外へ出た。

 へ? これだけ?


「クリスとは町の外に出たことはなかったのかい? 勇者ならこんなもんだよ」

「はぁ……こんなことなら魔石を置いてくるんじゃなかったな」


 魔石だけではなく、危険なアイテムは全てアイテムバッグから出して魔王城に置いてきた。

 そして、門を出た俺の目の前に広がるのは――どこまでも続く大草原だった。


「コーマ、シー、竜車を借りてくるからそこで待ってな」


 スーがそう言い、門の横にある竜車小屋へと向かった。

 そういうのは従者の俺達がするんじゃないか? とシーと話したが、


「……姉はだいたいのことは自分でやりたがるのです」


 と消えそうな声で説明してくれた。町の人混みの中だと確実に聞き逃していた。

 へぇ、クリスとはえらい違いだな。

 あいつは俺に頼ってばかりな気がする。


「……それは、コーマ様が頼りになる殿方だからだと思いますよ」

「それはありがたい評価だが、そこまでのもんじゃないよ」


 俺はそう言い、再び前を見た。

 どこまでも続く草原。そして、地平線。

 日本では絶対に見ることのできないその光景に、俺は圧倒された。


 冒険が始まる勇者の気分ってこんなのだろうか?

 そんなことを思いながら、俺はその景色を目に焼き付けた。


 おそらく10分後には飽きているであろうその景色を。

~今回裏で作っていたスライム~

スライムの核×魚の骨(低価値の骨ならなんでもいい)

……………………………………………………

スカルスライム【魔法生物】 レア:★★


兜の代わりに獣の頭がい骨を被っているスライム。

見かけどおり、骨のあるスライムだとよく言われる。

……………………………………………………

骨のないスライムが多い中、お前はなかなかの逸材だ。

タラとは気が合いそう。


……あ、このスライム図鑑っぽいあとがき、本編とは何の関係もありません。

ただ、ネタで作ったのが30匹くらいあるから書いているだけです。


~~~


3章のあとがきをここでします。


   ~あとがき~


3章を作るきっかけとなったのは……お盆休暇すら貰えない仕事をしているから、せめて小説の中でくらい海に行きたい、というものでした。


文庫本1冊分を目標に、30話くらいの作品にしようと思ったのに、気付けば40話。長かった。そのせいで、はじまりの話の内容を忘れてしまう始末。途中で話のストックが切れてしまい、本当にこの一角鯨を倒せるのか? となっています。


さて、ベリーが語っていたとおり、この一角鯨、昔はなんとメデューサの石化能力により石になった後に封印されたそうです。

神話の好きな人なら知っているかもしれませんが、ケートスという巨大鯨を倒した方法と一緒なんです。で、そのケートスというのが、ポセイドンによって作られた、という説があります(他にもいろいろ説はありますが)。

ケートスをモデルにした一角鯨が、ポセイドンの槍によって殺される、というのは皮肉な気がしますが、でもポセイドンに作られた一角鯨の角だからこそ、そこからポセイドンの槍ができた、となれば少しは納得していただけるでしょうか?


ただ、ポセイドンって地球の神なのに、なんでファンタジー世界に普通に出てくるのか? その謎は、もしかしたら作者は何も考えていないのかもしれません。


4章は短編集となりますので、それほど本編は進行しない予定でしたが、可愛い妹ができちゃいました。

さて、次の話から、暫くはちょっと危ないネタに入ります。

ルシルのフルコースネタです。

今まで以上にギャグテイストになりますが、これからも「異世界でアイテムコレクター」をよろしくお願いします。

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