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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode04 短編増殖

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プロローグ

 魔王城の中で、「アイテムクリエイト」が連呼された。

 なんとも素晴らしい光景か。

 まだ見ぬアイテムが増えていく。

 それもこれも全て、“スラ太郎”のおかげだ。スラ太郎、つまりはスライム。

 俺の言うことなら何でも聞く可愛らしい愛玩動物。


 雑食で何でも食べる。また、その増殖方法は分裂による無性生殖。

 ただし、分裂した場合、最大HPはそのままだが、現在HPが半分になる。

 そこで、俺は思った。ポーションを置いておけば、スライムは分裂し放題じゃないのか? と。

 だが、ちょうどポーションを切らしていた(蒼の迷宮で使いすぎたため)。代わりに、アルティメットポーションを飲ましたのだが、まさかの結果になった。

 人間にとっては何ともなかったアルティメットポーションは、スライムに使うと過回復を引き起こした。

 つまりは細胞増殖がかなりやばい状態で増え……1匹のスライムが100匹になり、うち50匹がスライムの核を残して死んでしまった。

 俺はスライムに申し訳ないことをしたと思ったのだが、ちょうどその場で俺の過ちを見ていたマユさんが友好の指輪でスライムと会話したところ、


「むしろ一度に50匹にもなれたのは喜ばしいことである」


 とのこと。さらに、


「50の核も死んでいるわけではない。できれば魔王陛下にはこれらを利用してください」


 と言ったそうだ。俺には鳴き声をあげているどころか、ぷるぷると可愛らしく震えているだけにしか見えないのだが。

 どういうことかというと。

 そして、とりあえず、スライム49匹を元の39階層に、転移陣で帰ってもらい、スラ太郎と命名したスライム一匹に俺のこれから行う行為を見てもらったわけだが。


……………………………………………………

スライムの核【素材】 レア:★


スライムの中に一つある核。これが壊れたらスライムは死ぬ。

逆に核さえ無事なら、魔力さえ取り込めばスライムとして生き返る。

……………………………………………………


 こんなもんがなんの役にたつんだ?

 そう思っていた。だが……とんでもないことが起こった。

 例えば、鉄のインゴットとスライムの核でアイテムクリエイトをすると。


……………………………………………………

アイアンスライム【魔法生物】 レア:★★★


鉄の身体を持つスライム。高い防御力を持つ。

錆びやすいので海水が大の苦手。

……………………………………………………


 ゴーレムというよりは、メタルスラ○ムみたいな感じだが。

 素早く動き回るだけでなく、俺の言うことをしっかりと聞いてくれる。

 マユさんに通訳してもらったところ、


「このような素敵なボディーを与えてくださり感謝します。魔王様には永遠の忠誠を誓います」


 とスライムとしての記憶を持っていた。次に、宝箱の空箱を使ってアイテムクリエイトをすると、


……………………………………………………

ミミックスライム【魔法生物】 レア:★★★


宝箱に擬態しているスライム。宝箱を開けると襲ってくる。

メダル収集が好きで、よく小さいメダルを集めて取り込む。

……………………………………………………


 ほぉ、ミミックスライムは収集家なのか。ランチボックス型のミミックは嫌いだが、こいつとはいい友達になれそうだ。

 ん? 説明文を読んでいるとなんかやばい悪寒がしたが……気のせいだよな。

 他にもただの石と合成すると、


……………………………………………………

ストーンスライム【魔法生物】 レア:★★


岩肌のスライム。転がる攻撃で冒険者にダメージを与える。

最近、肌の乾燥が気になっている。

……………………………………………………


 乾燥肌というか、岩肌だからなぁ。

 それにしても、魔物がアイテム……玩具の兵隊みたいな感じか。

 ちなみに、スライムの核だけでもアイテムクリエイトが可能で、


……………………………………………………

スライム【魔法生物】 レア:★


普通のスライムと変わりのないスライム。

ただし、生殖能力を持たない。

……………………………………………………


 と言われた。なるほど、生命として基本である子孫を残す能力がこいつらにはないのか。

 とはいえ、生まれたスライム全員は俺に感謝している様子。

 普通のスライムとして生き返ったスライムはちょっと不服そうな目をしている。いや、目はないんだけど。

 他にも金と組み合わせた「ゴールドスライム」や、蒸留水と一緒に組み合わせた「ウォータースライム」、毒薬と組み合わせた「イロージョンスライム」などが生まれた。

 スライムの核8個を組み合わせて作ったエンペラースライムとかも強そうだ。

 そして、極めつけはこれだ。

 アルティメットポーションとスライムの核を組み合わせたスライム。


……………………………………………………

大天使アークエンジェルスライム【魔法生物】 レア:★×8


周囲にいる者に癒しの効果を分け与えるスライム。

“病院要らず”の異名を持ち、全ての医者の天敵ともいえる。

……………………………………………………


 凄いものができた。ちなみに、エリクシールと組み合わせても同じスライムができるらしい。

 頭の上に輪っかが浮かんでおり、背中から四本の翼が生えているスライムだ。

 神の使いがここに降臨した。一角鯨の巨大牙とスライムの核を組み合わせると、ユニコーンスライムというのができるらしいが、素材がないから作れないな。


「スライムにもここまで多くの種類がいるんですね」

「おっ、マユさんがしゃべった」


 ウォータースライムで顔を覆って、マユが喋った。ウォータースライムは、表面がゼリー状だが、中身がほぼ水という変わったスライムだ。

 また、スライムの核が透明のため、弱点がわかりにくいのも特徴。

 水の中では会話できるマユならではの発想だが、見方を変えたら、スライムに食われてる絵図にも見えるから怖い。

 実際、ウォータースライムの攻撃方法も今みたいに顔を覆って相手を窒息死させるものらしいからな。

 それにしても、本当にスライムの種類が多い。

 こうなったらコレクターの血が騒ぐじゃないか。

 つまり、全ての種類のスライムと名の付く魔法生物を集めたくなってきた。

 そのためには、スライムの核がもっと必要だ。

 

「コーマ、ただい……ちょっと、なんなのよ、このスライムの山は!」


 ちょうどその時、ルシルが散歩から帰ってきた。

 食べて寝てばかりだと部下に示しがつかないぞと言って、一日に一度はこうして散歩をさせている。


「おぉ、ルシルか。凄いだろ、最強のスライム軍団だぞ」

「スライム軍団って……ゴブリン軍団よりも弱そうだけど、これは凄いわね」


 ルシルは金のゴールドスライムを手に取って持ち上げた。

 少し重そうだ。金は重いからな。


「その様子だと、コーマも立ち直ったようね」

「まぁ、いつまでも落ち込んでいられないからな」


 そう、俺はちょっと前まで挫折していた。

 竜化。破壊衝動制御率が100%にすると、スキル吸収スキルを手に入れてアイテムからスキルを吸収できる。

 魔王城に帰り、しばらく経った頃、俺は試しに竜化してスキルを修得しようとしたのだが。


【破壊衝動制御率96%】


 と、どれだけ頑張っても100%に至ることはなかった。あの時、もっとスキルを覚えておけばよかったと後悔の念が押し寄せてくる。

 覚えたいスキルが山ほどあったのに。


「スライム……そういえば、スライムが仲間になったら使ってみたい薬があったんだった」


 前にも一度作ったんだが、何故かなくなってしまったアイテム。


……………………………………………………

魔物強化薬【薬品】 レア:★★★★


弱い魔物を強くするための薬。

弱ければ弱い魔物ほど強くなる。

……………………………………………………


 最弱種のひとつと言われるゴブリンに飲ませても力の神薬程度の効果がなく、二つ作ったはいいが一つは放置していたはずだった。

 いつの間にかなくなっていたが、スライム相手なら効果があるんじゃないだろうか?


「スラ太郎、これを飲んでみろ」


 たった今作りだした、紫色の液体をスラ太郎に飲ませた。

 すると、スラ太郎の身体がみるみる輝きだす。

 そして――


「魔王陛下、貴重な薬をいただき、ありがとうございます!」

「すぐに服を用意しろ!」


 半透明の裸の爆乳少女を目の前にして、俺は思わずそう叫んでいた。

 スラ太郎は雌でした。スライムって性別ないんじゃなかったのかよ。

 いや、進化して性別ができたのかもしれないが。


「はい、すぐに用意します!」

「待ってくれ、マユさん、あんたの着ている服を脱いで渡してとは一言も言っていないから!」

「じゃあ、私の服を脱いで――」


 慌てる俺を見て、ルシルが意地悪そうな目で俺を見てきたが、


「ルシル、お前の服はサイズ的に(胸のあたりが)絶対に無理だ」


 ルシルが噛み付いて来た。

 結局、ルシルが大人の姿だったころの服をコメットちゃんに仕立て直してもらい使うことに。


 その後、俺は一つの大事な決断を下した。

 スラ太郎の名前をスラ子に変えた。

~スライム~

スライムは魔物かアイテムかと聞かれたら、魔物でしょうね。

ただし、作品によっては錬金術における失敗作、みたいな感じでスライムが登場したりするので、本作では魔物とアイテム、両方で扱っている。


スライムはゲームの影響で、とても弱い魔物である、とされている。

半面、一部の小説作品の中では、剣の攻撃が効きにくく、魔法攻撃が弱点などという設定を加えられ、「え? 本物のスライムってこんなに強いの!?」がネタとして使われやすい。

また、スライムを弱いものとして扱い、そのスライムを最強として扱う、という有名な作品がある。


そう、「スラ○ム冒険記」です。


スライムが勇者となって冒険するフルカラー漫画。

他にも、Drスラ○プアラレちゃんの続編の中でも、ア○レちゃん、がっ○ゃんと一緒になって魔王(ミル○ラース)に攻撃したりと、最弱なのに最強をウリとしたスライムが多い。


ドラ○エ、魔道○語、アトリエ○リーズなどにおいても、スライムやその亜種は可愛らしい外見のおかげでマスコット的なキャラクターの位置付けを持っている。

また、仲間になれば、大器晩成型でものすごい成長をする、というのはファンタジーゲームにおいてもファンタジー小説においても変わりないですね。


ちなみに、スライムが弱いものという位置付けになったのは、

日本を代表するゲーム「ドル○ーガの塔」の中で最弱モンスターとして登場したからだとも言われています。

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