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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Final 蒐集の末

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コーマと彼等の繋がり

「この念話イヤリングを使って、世界中の皆に言葉を伝える。これで作戦が実行できる」

 闇の精霊ミュートの力、そして現代科学における力を浴び変異した通信イヤリング――念話イヤリングの説明をルシルにした。

「もっとも、言葉によって伝えられるくらいに単純な陣なら――の話だが」

「それは大丈夫よ。でも――ひとつ気がかりなことがあるのよね」

「なんだ?」

「コーマ、友達いるの? 百人は最低欲しいんだけど」

 ……ぐっ。

 確かにそれはある。

「いや、まぁ、メイベルとかならきっと」

「あと九十九人」

「……成せばなるだろっ! ルシル、俺が――俺たちが描くべき陣の形を教えてくれ」

 と俺はルシルに陣の形を聞く。

 すると、ルシルは俺が預けたアイテムバッグから、ユグドラシルの枝を取り出し、その陣を土の上に描いた。

「マジ……なのか? 本当にこれでいいのか?」

「本当よ」

「でも、このマークならば既に世界中にあるんじゃないか?」

「世界中にあっても、私がこの魔法を発動させてから描かないと意味はないのよ」

 いや、確かにこの陣ならば言葉でも伝えやすい。

 でも、これを伝えるのは、少々恥ずかしいというか、冗談だと思われる可能性もある。

「コーマ、やっぱり友達の数が心配?」

「いんや、なんというか、俺たちにもってこいの模様だと思ってな」


 と俺は念話イヤリングを強く握った。


「コーマ、世界中に伝えるなら魔力が足りないわ」

「ということはあれか?」

「あれね――」


 とルシルが言うと同時に、俺の中の衝動が膨れ上がる。

 だが、不思議と今までと違う。

 壊せという言葉ではない。


 ただ、単純に成すべきことを成せという気持ちが溢れてくる。

 そうか、神の力は世界を滅ぼし、新たな世界の構築を望んでいた。

 そして、その願いが既に叶おうとしている。だから、今、神の力は俺に成すべきことを成せと望んでいるのか。


 今なら――


 と俺は力を解放した。

 俺の表面に浮かび上がった竜の鱗が消え失せる。

「コーマ、いったい――」

「神様が協力してくれるってさ。俺の言葉を世界中に伝える手伝いをな」


 そして、俺は念話イヤリングを握り、叫んだ。


「みんな聞いてくれ!」


   ※※※


 その言葉は、ベリアルによって滅ぼされた学園の跡地で陣を描き続けているコメットの耳に届いた。

 彼女は涙を流し、

「お帰りなさいませ、コーマ様」

 と日本から戻った姿なき主人のことを思い、さらに無言のグラウンドに陣を描き続けた。


   ※※※


 その言葉は、西大陸の大聖堂にある転移陣の傍で、壁に陣を描き続けているタラの耳に届いた。

 彼は軽く瞳を閉じ、

「お帰りをお待ちしておりました」

 とそう言うと、静かに壁に陣を描き続けた。


   ※※※


 その言葉は、極東大陸のルシルとコーマがともに暮らした家に置かれているノートに陣を描き続けているマネットの耳に届いた。

 彼は糸でノートを捲りながら、

「僕を巻き込んだんだ。勝手に退場したときはどうしてやろうかと思ったけど、とりあえずお帰り」

 とそう言って、鉛筆でノートに陣を描き続けた。


   ※※※


 コメットちゃん、タラ、マネットの言葉が俺の耳に届いた。

 この念話イヤリング、双方向で言葉が通じるのか?

「陣の影響ね。本来はその念話イヤリングは一方通行でしか言葉が通じないはずだけど、三人が描いている陣を通じてコーマに声が届いているの」

 とルシルが説明した。

 なるほど、そいつはわかりやすい。

 つまり、陣を描く人間が増えれば増えるほど、彼等の声が俺の耳に届くってわけか。

 俺はその声が溢れるようにと願い、この世界で知り合った大勢の皆に言った。

「いきなり声をかけて驚いているかもしれないが、まぁ、そういう魔道具を使っているから気にしないで聞いてくれ。あ、周囲を探しても俺はいない。俺は今、ラビスシティーの地下深くにいるから」

 と一応注意をしてく。

「みんなに頼みがあるんだ。俺に力を貸してくれ。この世界は現在、ちょっとした危機に見舞われている。最近、あちこちで地震が起きているよな? それが、まぁちょっとした危機の予兆ってやつなんだけどな」

 それがどんな危機なのかは俺は明確には言わない。

 世界が滅ぶだなんて知られたら、世界がパニックになりかねない。

 俺の願いは、皆が知らない間にとっとと全員で新しい世界に転移してしまって、またいつもの日常を過ごすことなのだから。

「そのちょっとした危機を回避するために、皆に簡単な、そして絶対に必要なお願いがあるんだ」

   ~あとがき劇場~


コーマ「残り四話! なんか、いよいよクライマックスって感じだよな」

ルシル「本当よね。コーマに友達百人もいるのかが見どころよね」

コーマ「そんな見どころは嫌だな。でも、これって次回に大量に過去の登場人物が出てくる感じだよな」

ルシル「もしくは誰も出てこないかもしれないわね」

コーマ「だから、なんで俺に友達がいないとお前は思いたいんだよ」

ルシル「じゃあ、コーマの友達って誰?」

コーマ「えっとメイベルとか」

ルシル「それは元主人と元奴隷って関係でしょ?」

コーマ「ぐっ、確かに。他にはジョー……ジョー……そう、あいつがいるよ。セイキマツ!」

ルシル「コーマ、今特定の誰かを思い出そうとしてその名前が出なかったから別の人を言ったわよね?」

コーマ「うるせぇな! きっと次回にわらわらと湧いて出てくるよっ!」

ルシル「わらわらと湧いて出るって、コーマの友達は虫か何かなの?」

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