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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Final 蒐集の末

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異世界に行く方法

 車は全速力でキャンパスの門を通り抜けた。

 さっき車両進入禁止の看板があったが、お構いなしだ。後ろからも車がついてきている――さらにその後ろを見ると、さっき俺たちが入ってきた門が自動的に閉まっていった。最初から俺たちを迎え入れるために門を開けていたらしい。

 幸い、大学の中は誰もいない。夏休みだろうか?

「コウ、今日は大学を全面休校にしてもらっている。カリアナの人たちに言ってくれ。壁の中なら自由にしてもらっても構わないってな。胸に黄色いカードをぶら下げている奴らは、片言だが異世界の言葉も通じるって伝えてくれ」

「あぁ、わかった……ってあっちの言葉がわかるのか?」

「こっちもいろいろと勉強してるんだよ」

 俺はカリアナの皆に親父から聞いたことを伝えた。

 そして、皆ははじめての日本の生活を楽しむらしい。

「火神先生、待ってください! どうしたのですか、急に」

 後ろの車から降りて来た黒スーツの男たちが親父にそう声をかけた。

 だが、親父はそれを無視する。

「コウ、急げ。この建物の四階だ」

 と親父が言った。そこには綺麗な煉瓦造り風の建物がある。まぁ、鉄筋コンクリートの建物に煉瓦のタイルを張ってあるだけっぽいが。

「よくわからないが、四階だな――階段よりこっちの方が速い」

 と俺は親父を抱え上げると、一度木の枝の上に飛び乗り、さらにそこからジャンプして開いていた四階の窓から建物の中に入った。

 とたんに、警報装置らしきサイレンが鳴りだした。

「バカ息子! 窓には赤外線の警報装置があるんだ、当たり前だろ!」

「そんな常識知らねぇよっ!」

 けたたましいサイレンの音に耳を塞いでいると、ひとりの親父と同じ白衣を着たポニーテールの女性が現れた。

「やれやれ、うるさいね」

 と彼女はそう言うと、壁にあった機械に暗証番号らしきものを入力し、指をかざした。

 サイレンの音が鳴りやむ。

「コウ、元気にしてたかい?」

 ポニーテールの女性は見た目ニ十歳くらいでどこか見覚えがある女性が俺に声をかけた。

「…………えっと、どちら様でしょうか?」

「やれやれ、私の顔も忘れちまったのかい?」

「……もしかして、母さんっ!? なんで若返ってるんだよっ!」

「お前がくれた薬を研究したら肌の若返り薬ができたんで、私が実験台になってるのさ」

 と母さんは豪快に笑った。

 アルティメットポーションから若返り薬を作るなんて……って、あ。そういえば、メイベルたちに渡しているアルティメットポーション入りの化粧水も大人気だったな。

 と思っていたら、母さんが俺の肩を抱き寄せ、

「ただいまくらい言いなさい。どれだけ心配したと思ってるんだい」

「……ただいま。でも俺――」

「わかってるよ。あっちに行きたいんだろ?」

 と母さんは言うと、部屋の中に案内してくれた。

 そこにあったのは部屋を埋め尽くす巨大な機械だった。

 何の機械かはまるでわからない。

 が、話の流れからすると――

「これが異世界に行くための機械なのか?」

「試作品だけどね。理論上は行けるはずだよ。ただし、膨大なエネルギーが必要になる」

「エネルギー……か」

 俺の中の神の力は既に失われている。

 使えそうなアイテムも全部ルシルに預けてしまった。

「日本のエネルギーじゃダメなのか?」

「そうだね。東京都の全ての電力を集めたら行けるはずだよ。ヤ〇マ作戦のようにね」

 ……母さん、こんな時にアニメの話題はやめてくれ。ていうか、さすがにそれは不可能だろう。

「安心しな。うちには優秀な娘がいるからね」

「娘? 俺があっちに行っている間に妹でもできたのか?」

 俺が嘆息まじりに言った。こんな時に冗談を聞いている暇はない。

「あぁ、とびっきり優秀なコウの妹だよ。いい加減にこっちに来て自己紹介しな」

 母さんがそう言うと、機械の陰から幼い外見の――だが生まれたばかりとはどうしても思えない、白衣を着ている少女が現れた。

 褐色肌、黒髪の少女――そして彼女は――

「鈴子っ!?」

 そう、彼女は闇の神子の鈴子だった。

 無事に日本に行けたのは、親父の話で知っていたが。

「……お久しぶりです、コウマさん」

「お前が俺の妹なのか?」

「そうなります……精神年齢なら姉かもしれませんが」

 精神年齢が姉って、俺がガキってことか?

 と思ったが、そういえば鈴子はもともと日本で十数年過ごしてから記憶を持ったまま異世界に転生し、さらに十数年過ごしている。

 精神年齢は二十歳を越しているということか。

『僕もいるよ』

 姿無き声が聞こえて来た。

「……その声はミュートかっ! なんでお前がいるんだ!」

『まぁ鈴子が心配だったからね。ちょっと分身としてついてきたんだよ。いやぁ、こっちの世界は凄いね。ついついテレビを見すぎて夜更かししちゃうよ』

「精霊がテレビっ子になるなよ。でも闇の精霊だから深夜に行動するのは正しいのか」

『まぁまぁ、そのおかげで力を蓄えて、君を下の世界に送ってあげられるんだから』

 とミュートはとても楽しそうに言った。

『僕が君の欲望をかなえてあげるよ』

コーマ「……………………異世界に……戻れる?」



あと七日で最終話になる予定です。

来週の土曜日完結!

と言っても、そのあと番外編が続くのですけどね。

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